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居酒屋さすらい 1988 - 昭和の邦画シーンように - 「両国酒店」(徳島市南内町)

2023-02-25 21:25:14 | 居酒屋さすらい ◆地方版

「ひととき。」を出て、行くお店は決まっていた。往路、店の前を通過した「両国酒店」。さっきはびびっていたが、一杯ひっかけて腹をくくった。

酒店の2階部分に人影が見えた。営業はしているらしい、

階段をあがり、意を決してドアを開けた。

びびり気味だったが、なんてことはない。お客さんは誰もおらず、優しそうな女将さんがたたずんでいた。テーブル席はなく、横に長いカウンター一本。ビル自体が古く、店内も古いが清潔だ。どこに座ろうか悩んだが、店内、やや左寄りに座り、お酒の燗をお願いした。女将さんはやかんにお酒を注ぎ、燗をつけてくれた。

文字通り、コップ酒。

思わず心の中で叫びたくなる。「雁之助は〜ん」と。

一口、ちびりと飲んでみる。うわ、温かくてうまい。なんだか一瞬のうちにお店に溶け込んでしまっかのように、リラックスできた。

「今夜は寒いですね」。

と女将に話しかけた。天気予報は来週、スーパー低気圧の到来を告げていて、太平洋側も積雪するとのことだった。

女将は、「なんか、来週四国でも雪が降るって」。

「ひととき。」の女将は、いかにもおばちゃんらしい大きな声で話したが、「両国酒店」の女将は優しい小さな声だった。

思わず、仙台の「源氏」の女将を思い出した。大田和彦さん曰く、日本三大割烹着女将のお一人。「両国酒店」の女将は割烹着こそ着ていなかったが、その所作は落ち着きはらっていた。

お料理は「湯豆腐」をお願いした。寒い日と燗酒にぴったりな酒の友。

女将が作ってくれた「湯豆腐」は姿形は申し分なく、ねぎをどっさり盛って、感動的ですらあった。

「お店はもう長いんでしょうか」。

ぽつりぽつりとした会話がまた始まった。

「父が始めた酒屋さん。2階でお酒を飲めるように営業して」。そのお父さんが亡くなった後、娘である女将さんが続けたという。

「でも、もうわたしの代で終わり」。

なんだか、古い邦画の世界のシーンに自分がいるような気がしてきた。

もし、自分がこの近所に住んでいたならば、このお店に通うだろう。

一杯目のお酒を飲み干し、おかわりを。

いかん、いかん、ついお酒のピッチが早い。

この日は2軒とも女将のいるお店に行ったが、やはりお酒を飲みながら話しをするのは楽しい。N新聞のH部さんが、女将のいる店にハマるのもよく分かった。

結局、自分がいる間は誰もお客さんは来なかった。それも少し寂しい。そして自分は3杯のコップ酒をいただいた。

会計は1,000円しなかった。申し訳ないから、お釣りは置いてきた。

いつか、このお店の歴史が終わる日は来るだろう。もう一度来たい、心から、そう思わせるお店だった。

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