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BASEBALL馬鹿 BLOG

オレたちの「深夜特急」~ラオス編  ルアンパバン ⑤~

2010-07-29 13:46:38 | オレたちの「深夜特急」
ルアンパバンに滞在して7日目の朝、子ども達の喚声で目が覚めた。
早速、宿の外に出てみると、子ども達が大きな水鉄砲を持って大人達に水を掛けまくっていたのだ。
おや、何が起きたんだろうとわたしが唖然とした顔で眺めていると、どこからともなく子ども達がやってきて、わたしにも容赦なく水を掛けていった。もしかすると、これが噂に聞く「水掛け祭り」なのか。
タイの旧正月にあたる4月に水をかけてお祝いするという「水掛け祭り」。タイ語でソンクラーンという儀式は、このラオスでも行われるのだった。

子ども達は嬉々とした顔で水を掛けてくる。
よし、ここは馬鹿にならなきゃいけないと思い、階下に行って濡れてもいい服に着替えて、わたしは出直した。

まず、わたしも武器を調達しないといけない。
そこで、市場まで出ることにした。
だが、市場まで行く僅かな道のりで、わたしは幾度となく子ども達の襲撃を受けるのだった。彼らはまるでヴェトコンのように、ひょいと現れては、的確にわたしの胸元に水をかけ、風のように消えていく。それにひるんでいると、次の子どもが現れ、すばしっこい動きでわたしを翻弄した。

こうして、市場に出るまでにすっかりわたしはずぶ濡れになってしまったのだ。
さて、色とりどりの水鉄砲が売られている中、わたしは巨大な機関銃のそれをチョイスして前線に出た。
だが、わたしの場合水の補給がままならなかった。
子ども達は我が家の水を補給して戦線に出てくるが、まさかわたしもそこで水を頂くわけにはいかない。

そこで、わたしはふんだんに水があるメコン川に向かうことにした。
だが、メコン川に行くまでの道中で、わたしは集中砲火を浴びることになる。
子ども達だけの攻撃は、いつしか家事から解放された大人達も入り交じり、まさに町中が水掛け一色に染まったのである。
子ども達の攻撃はゲリラ的であったが、大人達は大量破壊兵器の如く、トラックに大きな樽を用意して、荷台上から洗面器で水をぶちまけていた。それにやられてしまえばたまったものでもない。

しかし、トラックに気をとられているとゲリラ戦の餌食になってしまう。
ゲリラ兵に注意を向けていれば、トラックから大量の水がわたしの頭上からかけられることになる。
もはや、わたしは濡れ鼠だった。
結局、わたしの機関銃は一度も火を吹くことも、いやもとい水を吹くこともなかった。わたしは投降しようと両手を上げたが、そんなことはおかまいなしにと水を浴びせかけられ続けたのだった。

夜からは、町から少し離れた広場に特設の会場があつらえられ、イベントが開催された。音楽の演奏や華々しいショーが行われ、楽しい宴となった。恐らく全町民が会場に足を運んだと思われ、多くの人でごった返した。
わたしも酒を飲みながら、すっかりいい気分になった。
ルアンパバンでのソンクラーンは幻想的なものだった。
ここに来て1週間、ここに留まるか、そろそろ出発するか、そんなことは明日考えればいいさ。
いや、一生考えなくてもいいかな。
夜空にはおびただしい数の星が瞬いていた。


※当コーナーは、親愛なる友人、ふらいんぐふりーまん師と同時進行形式で書き綴っています。並行して語られる物語として鬼飛(おにとび)ブログと合わせて読むと2度おいしいです。
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2 コメント

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楽しんでんねえ (ふらいんぐふりーまん)
2010-08-09 10:53:21

水かけ祭り。

暑い国では、涼感もあって盛り上がりそうな祭りだね。日本よりは空気も乾いてるから、濡れてもとんでもなく不快ではなさそうだし。

しかし、機関銃まで買ったとは。(笑)それと一緒に、背中にしょえる水タンクも買っとくべきだったね、ゴーストバスターズみたいに。(古っ!!)

祭りの後機関銃、どうしたの?

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思い出 (熊猫刑事)
2010-08-09 13:14:07
楽しい思い出のひとつだよ。

ソンクラーンがタイやラオスの正月。世界がグローバルスタンダード化する中、こうした行事も廃れゆくのか心配だよ。
この時の写真があるはずなんだが、見つからないんだ。見つけ次第アップするよ。
少数民族の服を来てる貴重なショットだ。

機関銃は子どもにあげちゃったよ。
あれ持ってカンボジアに戻ったら狙撃されるかもね。
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