入試会場に入っていく娘を見届けて、自分は上野の山に向かった。
やれやれ。さてさて。
そんな思いが交錯する。合格発表まで飲むのは自粛しようかな。そんな気持ちもあった。神様はきっと不埒な部分も見ているだろう。そんな逡巡もある。けれど、娘が受験に臨む、それだけ成長したという、その思いに乾杯するのも悪くはないとも思う。いやいや、そんなのはただただ飲みたいだけの言い訳だろ?そう言う人が圧倒的に多いだろうと思う。けれど、自分は無性に嬉しかったのは確かだった。自分が選んだチャレンジに一人臨んでいることを。
アメ横に行けばなんとかなると思った。
上野の山を超えてアメ横に。前を歩く、若者2人を見て、もしやと思った。自分と同じ目的地に向かっていないかと。案の定、彼らは「たきおか」の前まで行き、天を仰いだ。シャッターが閉まっているのだ。すると若者の一人はもう一人の男に小声で呟き、踵を返した。どうやら、行き先に心当たりがあるらしい。ついていってみようか。自分も来た道をとりあえず戻った。
緊急事態宣言により、飲食店の営業時間は大幅に変わっている。「食べログ」だって、情報適宜更新できないものか。「Go To Eat」で儲けたんだから。
若者らが入った店は「鳥道酒場」。この店は全くノーマーク。だが、日曜日朝の8時半。しっかり営業していた。政府の要請もなんのその。自分も彼らに続き、店に入ったのだが、店内は凄まじかった。カウンターを除き、ほぼ満席だったから。
朝から飲みたい輩がこれだけ多いのかと改めて思った。だって、朝の8時半。しかも日曜日に満席という事実。しかも比較的空いていたカウンターも、自分が座ってから30分後には、全て埋まってしまった。
まずは「チューハイ」(300円)で様子を見る。値段は安いが、コップが小さい。したがって、お得感はそれほどない。それなら、「ホッピー」の方がお得だ。セット400円の「ナカ」200円。3杯分で800円だから。
ただ、「チューハイ」とホッピーでは焼酎が違う気がした。実は、「チューハイ」の後に「ホッピー」白をオーダーしたが、味が違う気がした。ちなみに「チューハイ」は宝焼酎である。
つまみはいずれもいまいち。
「煮込み」は味が薄く、串焼きは身が小さかった。なお、串焼きは2本縛りで1本が100円である。
「ねぎま」と「牛ハラミ」をオーダーしたのだが。
BGMがまた滅茶苦茶。
沢田研二がかかったと思ったら、ヨーロッパの「ファイナルカウントダウン」が流れ、そして中村あゆみに。次は何かなと注目していると、「ハートのエースが出てこない」ときた。
お店もお客も音楽も、混とんとしているのが、いかにもアメ横らしい。要請を突っぱねる心意気は買いたい。日曜の朝の満席という、まるで異世界にでも紛れ込んだような体験はなかなか刺激的だった。
赤羽とは違う、不思議な酒場である。
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