どうやらようやく酒場にありつけそうだった。幕張メッセで取材を終え、昼飯もろくに食べてないからヘロヘロになりつつ、16時に会場を後にした。海浜幕張周辺で酒場を探してもいいのだが、いろいろと不都合なことがあってやめた。駅前に行くと、キッチンカーが4台くらい止まっていて、気になったがスルーした。目指すはとりあえず船橋市。船橋に行くか西船に行くか、相当悩んだ。最終的に西船に行こうと思った。西船橋駅で降りて、また乗り換えるコストと手間が面倒だったから。それならば、久しぶりに「よっちゃん」に行こうと思っていた。けれど西船橋駅に着いて、改札を出る前に気が変わった。あまりにも久しぶりだから、なんか億劫になったのだ。踵を返して、総武線乗り場へ。船橋に行くことにした。目指すは「一平」。
しかしまさか、2022年の酒場初めが「一平」になるなんて。この展開は全く読めなかった。船橋駅到着16時半。そろそろ混雑しているかなと「一平」の戸を開け放つと、手前の席がいくつか空いていた。
「よかった」と思うのも束の間、通された席に座ると、右隣のオヤジが横柄な態度でこう言った、
「一つ空けて座れよ」。
顔は微妙に笑っていたが、やや怒り気味。あぁなんだ、ソーシャルディスタンスか。
「いや、つめて座るかと思って」。
と自分が言うと男は憮然としたまま、にこりともせずに自分の動作を見守っている。
さて果たして、この制度、いつからこうなったんだろ。去年来たときもコロナ禍だったが、ソーシャルディスタンスではなかった。まぁ仕方ない。気を取り直して飲もう。
「ボール」と「肉豆腐」、「煮卵」を2個、ください。
あぁ、淀みなく言えてよかった。いきなり出端を挫かれ、動揺していたが。
そして待望の「ボール」が来た。気持ちを鎮めて楽しく飲もう。
そう思ったのも束の間、今度は向こう岸のカウンターに座る男がスマホを取り出し、電話をし始めた。すぐに終えるだろうと思いきや、その電話がなかなか終わらない。隣のおっさん、ここは出動する場面じゃないか? コロナ警察、一発注意してやれ。しかし、当然そうはならなかった。男の長電話は少しずつヒートアップしてきた。どこかに問い合わせをしているようだが、男はこう言った。
「あんたじゃ話にならん。ゼネラルマネージャーを出せ」。
語気は穏やかだが、内容は辛辣だった。
店の中が嫌な雰囲気になりつつある。
うわぁ、幸先悪いなぁ。
電話の相手も嫌な客に捕まったと思っているだろう。金曜日の17時前。
まだまだ長く続くだろうと思われたその電話も呆気なく終わりが来た。恐らく、電話の相手が「ゼネラルマネージャーから折り返す」と言ったのだろう。男は「じゃ、電話待ってます」と言って電話を切った。店内に安堵の空気が漂った。
男はそのまま会計してもらうのだが、その額1,100円。人となりが透けて見えるショボい飲み方だった。
その後、「ウィンナー」、「ハムエッグ」をオーダー。
さて、気を取り直して楽しく飲もう!
考えてみると「一平」はかなり厳密にコロナ対策をしている方だと思う。消毒の徹底。ソーシャルディスタンス、そしてアクリル板。ただ換気と検温はしていないが、そうした対策も熟慮した結果だと思う。コロナ対策を最も厳しくしているのは赤羽の「まるます家」。それに次ぐのが「一平」かしら。頑張っているなという印象はある。
「ボール」を4杯飲み、さて次の展開へ。なんだかんだあったが楽しく飲めた。
「珍来」あるかなとスマホで検索。だが、この船橋市街に「珍来」はなかった。でも、何かしらあるだろうと「一平」を出た。
自分なら客からそんなこと言われたら即店を出ます。
そこまで人間ができてないんで。
おはようございます。
隣人問題はどこにでもある身近なものですね。家でも職場でも。そして酒場でも。
>自分なら客からそんなこと言われたら即店を出ます。
以前の自分ならそうしたかもしれません。まぁまぁ、たまにはこういうこともあるということで。
私はそういう風に言われたことはないなぁ。