
門前仲町の立ち飲み、「ますらお」に入り、カウンターにポジションするとお店の奥にあるテレビは大相撲中継。フラッシュバックするあの熱狂。あれは自分が16歳の時だった。
大相撲春場所、彗星の如く現れたソップ型の若者は初日に横綱双羽黒を破ると、翌日は大関大乃国を退けた。更に翌日朝潮を破ることで場内は異様な雰囲気となった。日ごとにボルテージが上がる彼の取り組みはまさに熱狂だった。4日目には若嶋津を、5日目は北天佑に土をつけ、なんと1横綱4大関を撃破した。圧巻は7日目、稀代の大横綱、千代の富士を破る大金星を上げて熱狂は最高潮に達した。その彼こそが、白いウルフと仇名された益荒雄(ますらお)関である。ハンサムで爽やかな好漢が起こしたムーブメントは、益荒雄旋風と呼ばれ、その年の大相撲をおおいに盛り上げた。今でこそ、観なくなったがあの頃、自分は相撲が好きで、毎日盛り上がる益荒雄の取り組みに熱狂したのを覚えている。
果たして、この立ち飲み「ますらお」の由来となったのが、この伝説の力士なのかは分からない。けれどお店に入って大相撲中継が流れていると、どうしても白いウルフを思い出してしまうのだ。
さて、「ますらお」のカウンターに立ち、何にしようかとメニューを眺める。ビールか、それとも「チューハイ」か。ほぅ、「チューハイ」は200円。思っていたよりもかなり安い。まずはそれでいってみるか。
うむむ。サントリープレモルのグラス。これが実は苦手だ。底が細くなっているグラスは損した気分になる。
「チューハイ」は透明。一口いただいてみる。炭酸は強めだ。うん。悪くない。これでしばらくいくか。
つまみは「ポテサラ」(250円)から。これが結構な山盛りだ。じゃがいもの処理が変わっている。やや粒状になっているのは何故か。しかも和えているのはマヨネーズではない。いや、マヨネーズかもしれないが、もしかすると自家製ではないか。ねっとり感がないのだ。これはうまい。
頭上にある黒板をゆっくり眺める。魚の造りがメインらしい。お刺身は大体500円。高いとは感じない。そうするとメインは日本酒か。厨房は5人で対応。それぞれパート毎に人がいる。揚げ物担当、お刺身担当、飲みもの担当。まるで割烹料理のようだ。いや、和服を着た女将のような方もいる。これは案外、立ち飲み割烹を志向しているのか。
食べてみたいメニューがあった。
「肉詰めピーマン揚げ」(350円)。
肉詰めピーマンとかロールキャベツとか、そういう手間をかけるものが無性に食べたくなるときがある。けれど、そういうものって、なかなか居酒屋にはないのだ。
この「肉詰めピーマン揚げ」がホントに旨かった。いや、旨すぎて、思わずもうひとつお代わりしようと思ったくらい。これと「チューハイ」の相性は抜群で、「チューハイ」おかわりで対応。
さて、第二部は日本酒タイム。いろんな銘柄があるが、一杯500円は決して安くない。おや?「冷や酒」250円というのもある。それで充分。
つまみは「〆鯖」(500円)。
この〆方がまた絶妙。鯖の甘味が伝わってくる。浅く〆たっていう感じ。これをちょびちょびいただきながら、「冷や酒」もちびりちびり。たまんねぇ。
久しぶりに武骨で筋の通った立ち飲みに出会った。それはまるで益荒雄のよう。さすが門仲。群雄割拠の居酒屋で揉まれて鍛えられて。益荒雄は関取としては短命に終わった。在位僅か20場所。小結以上を経験した関取では最短である。「ますらお」にはどうか息の長い店になってほしい。
いい店だ。また来たい。いや、必ず来る!
開店当初はマスターと和服のお姉さんしか居ませんでしたよ。
さすが繁盛店。
こりゃなかなか良さげな店ですね♪
開店当初は2人のみ!驚きですね。そうすると、はじめから割烹コンセプトではなかったか。しかし、これだけスタッフの多い立ち飲みって初めてみました。北千住の「徳田和良」並み。
モノノフさん。
見た目的には〆鯖という感じではないです。なるほど、生寿司ですか。
門仲に来られたときは、「だるま」だけではなく、こちらにも足を運んでみてはいかがですか?
人手ないのに串焼きやってるから、魚に比べたら大して旨くないし手間かかるから止めれば良いのにと思ってました。
健康上の理由だとか。
知らなかったです。親方名跡も変更になっているようです。