三十路の食卓

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映画の圧倒と消化不良

2012-05-17 09:44:36 | 食日記
〈4月25日の食事〉
朝:目玉焼きトースト
昼:お弁当(玄米ご飯、牛肉と野菜のオイスターソース炒め、カボチャサラダ、キャベツのおかか和え)
夜:映画館にて。鶏のココナッツミルク煮のサンドウィッチ(ル・プチメックで買ったもの) アイスカフェラテ

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ぽっかりと空いてしまった夜の二時間を、映画に充てたのだ。

事務所から、東京では唯一の上映館がある新宿に向かう。
開演は18時50分だから、予告編を見ながら夕食を済ますとちょうどいいだろうと、サンドウィッチを買い込んで席に着く。
磐石の構えである。

そして、予告編を見ながらのサンドウィッチ。
ココナッツミルクを使って煮た鶏が、サンドウィッチの具としては予想外ながら、すっごく美味いんだ。
これを選んでよかったなと思いながら、映画の無断撮影・違法アップロード禁止のCM(頭がビデオカメラでスーツ姿の、あのパントマイムのやつです)が終わる頃には完食。
これで上映中に周りの迷惑にならなくて済む。
ここまでは予定調和なくらい予定通りであった。

映画には圧倒された。
「心に訴えかけるもの」とは「圧倒」か「共感」である、と私は分類しているのだが、これはまさしく「圧倒」。
スクリーンいっぱいの画が、包み込む音が、じわじわと私の五感を攻めてくる。
ほっといたら呼吸を忘れるほどに、言ってしまうと凄まじい。
事実、とても息苦しい。

異変を感じたのは、映画の中盤より前であった。
どうにもこうにも胸が苦しく、胃がむかむかする。
ああこれは消化不良を起こしているぞ、というのが感じられる。
脂汗まで出てきたのであった。

非情なことをよく「血も涙もない」と言ったりするが、そこへくるとこの作品は、血も涙もありあまるくらいに描かれている。
だが、暴力・残虐表現やグロテスク表現ってかっこいいだろう?という風に存在する血ではない。
心の混沌を意味する血であり、切ない血であるはずだ。

だがしかし、私には刺激が強かったようだ。
フィクションでこういう体調になるなんて初めてかもしれない。
それだけ演者が、話が、真に迫り圧倒的だったということだろう。

映画が終わる。
まだ呼吸がうまくできない。
劇場が明るくなり、あらわになったのはパンの入っていた袋。
そうだ。
サンドウィッチだけじゃ足りないかもな、途中で小腹減った時用のオヤツパンも買っておこう、などと思っていたのだった。

ガサゴソしなくても済むようにと、袋を開けきったそのてっぺんに、小振りの甘いパンがのぞいている。
劇中はおろか、終わってからも食べたくはならなかったことは言うまでもない。
胃もたれは、その日の間じゅう、続いた。

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