
僕が骨董まがいのものを買いだした20年以上ほど前からまもなくの頃に、とある場所で偶然に占いの八卦の陰陽算木組合せの図柄を描いた器が眼に留まり、こんなものが器の絵になるんだと興味を惹かれて買ったのがこの汲出碗5個セット。
適度な大きさの汲出碗で表側は青磁釉、内側は染付でこの算木文がグルリと、中央見込部には二つ巴文が描かれその周りは何か渦巻風のような模様などがあって、こちらの方はその当時はどういうものかは知らなかった。
確か信州の神社の祭礼でのフリーマーケットに混じって長野市内の骨董屋が品物を並べていて、そういう場所だったから並べられた品は少なくて、逆に面白い図柄があるなとすぐ眼に飛込んできた。湯呑みにも猪口にも両用に使えそうと、加藤唐九郎などは湯呑みぐらいの大きさのぐい呑で酒を飲んだそうだが、さすがに呑ん兵衛の僕でも日本酒では手に余る大きさではあるが。
買ったときに日本のものじゃぁなさそうと聞けば、売り手はよく分からないと。僕は中国の2級品かなぁと、でもなんとも趣きを感じた好きな器で大事にしていたから、その後あまり使うことはなくて過ぎてしまった。今回陶芸の先生のもとに持込んで判断をと、陶芸家ではあっても骨董の目利きではないからと言われるものの、かなり雰囲気がいい汲出で確かに日本物じゃない感じだと言う。それとこの見込みの図は陰陽道の太極図で、グルリと取り巻く八卦の算木パターンの順序と位置方向には決まりがあるんだそうだ。
器内全体の図案の調子から加えられたと思われる太極図周りに出ている渦巻状の線と雲みたいな図柄の描き方や八卦パターンの絵の感じはかなりおおらかなもので、中国だったらもっとキッチリ描くだろうから、これは細かいところは気にせず味わいがあって日本人好みの韓国物じゃないかと。そういえばこの太極図は韓国の国旗の中央にあった形だ。
高台内の変な記号みたいなものも漫画チックで、この意見には僕も賛同します。