小寄道

日々生あるもの、魂が孕むものにまなざしをそそぐ。凡愚なれど、ここに一服の憩をとどけんかなと想う。

公平をめざす人工知能、囲碁から政府へ

2017年03月15日 | うんちく・小ネタ

 

 

昨日の新聞に、人工知能のコンピュータが世界のプロ棋士を悉く打ち負かした「アルファ碁」の話題があった。何故そんなに強くなったのか。人工知能(AI)が加速度的に進化したことの背景には、低コストによるメモリの大容量化、CPU(演算処理能力)の高速度化の実現がある。つまりはビッグデータの処理能力が飛躍的に高まったからであろう。と私は単純に思っていたのだが、どうやらそんな生やさしいものとは違った。

新聞以外の情報も読んだのだが、「アルファ碁」の強さの秘訣とは、複数のプログラムが絶妙に融合されていることらしい。ちなみにプロ棋士の大橋六段は、取材に対してこう語った。

「アルファ碁は大局観が極端に優れている」「部分と全体の区別がなく、序盤から常に盤全体をみて打つ」

「大場を(大きな陣地確保が期待できそうな場所)を優先している」

「人間は序盤に、遠く離れた位置にある石が中終盤でどう関係してくるか正確に評価することは不可能に近い」が、アルファ碁はそれを楽々とこなし「打った瞬間は悪手に見えても十手進むとがぜん輝いてくる」そうだ。

そして驚くことに「勝率計算のための対戦シミュレーションにおいて、意味のないランダムな一手を必ず入れる」というプログラムが組み込まれている。人間同士の勝負でこんなことをやれば普通なら形勢不利に陥るはずだ。ところがアルファ碁では、途中で一手パスしても、勝てる局面を目指すように作られているので、その一手が相手をかく乱するのではないか。

具体的には「棋譜に記録された熟練した棋士の手と合致するよう試みることで人間のプレーヤーを模倣するように訓練。次に、ある程度の能力に達すると、ディープラーニングを用いて自分自身と多数の対戦を行う」ことで訓練に深みを加えたのである。また、画像認識を取り入れて、厖大な棋譜の読み込みを瞬時にこなしていることも強みだ。

参りましただ、こりゃ。


このアルファ碁についてネット記事で検索したら、実際は「Master」と名乗るアルファ碁のバージョンアップ版で、開発元はなんとグーグル(Google)である。

グーグルはいま、自動運転の車の開発など人工知能の分野でめざましい進境を示している。つい最近では、グーグル・クラウド上において「AIの民主化」をめざすと発表したばかりだ。

(1)計算能力(コンピュート)の民主化、(2)アルゴリズムの民主化、(3)データの民主化、(4)才能(タレント)の民主化という四つの民主化を進めていくというもの。

もし、この「AIの民主化」が実現したら行政の仕事は大幅に簡素化されるだろう。税金の徴収やら予算策定、決算管理など、現実に役所が行なっているような煩雑な作業が大幅に縮減される。さらには、人間その員数の適正化だ。政治家でさえ現行の半分いや十分の一の人数で、民主的かつ合理的な為政システムが構築されると考えられる。

つまり理想的な「小さな政府」づくりには、リバタリアニズムなぞの究極的な思想はいらない。人工知能が自ら飽くなきディープランニングを続け、そして公正で民主的なシステムがつくられるのだ。

公的機関に試験的にでもAIを導入してほしい。少なくとも国有地の適正な管理と評価、その公正な売買がスピーディに行われるであろう。いま問題となっている、豊洲や森友などの国民を蔑ろにする案件は一掃されるはずである。

正確な統計に基づく最適な計画と過不足ない予算配分。適正なるスタッフ人員とスケジュールによる予算執行、そして厳密なる決算と税の収支結果。そのすべてのフィードバック・データに基づいたディープランニングの、さらなる永遠進化だ。人工知能はほとんど「神の領域」ではないか。怖いぞな、もし。


まあ、国の行政システムにアメリカ産のAIを採用したはいいが、プログラミングいかんで国が乗っ取られる可能性なきにしもあらず。その意味でも、グーグルが示した「AIの民主化」は卓見である。

余談だが、経済成長しか頭にない経済評論家のみなさん。人工知能にその成長変数をアルゴリズムに組み込んだらどうなるか、考えたことありますか。


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