小寄道

日々生あるもの、魂が孕むものにまなざしをそそぐ。凡愚なれど、ここに一服の憩をとどけんかなと想う。

北朝鮮の核

2005年05月18日 | 国際・政治
 現在、公式の核保有国はアメリカ、ロシア、中国、フランス、イギリスの5カ国。
 公式とは核不拡散条約に加盟している国のことであるが、インド、パキスタン、イスラエルも核保有国であるが条約に加盟していないので、非公式の核保有国という位置付けである。
 今から5年ほど前に突如、北朝鮮が核不拡散条約から脱退した。その時点で、北朝鮮が核を保有したという見方がなされた。いや、それは単なるポーズであり、意思表示をしただけだという憶測も流れた。
 いずれにしても北朝鮮が核保有国になるという国家戦略を採用したことは間違いない。
 同時にアメリカは偵察衛星からの監視を北朝鮮に常時向けることになる。

 核保有国になることのメリットは明らかである。それは非公式核保有国のイスラエル、インド、パキスタンの場合では、国連における政治的発言権などが飛躍的に高まったとされる。いうまでもなくアメリカが一目を置くことで、パワーポリティックスが高まるのだ。
 インド、パキスタン両国が突如核実験を行ったとき世界は驚愕したが、国際的な制裁もなく、事実上対外的な国家威信は高まったといえる。この事実を見据えた北朝鮮は手段を選ばずに核保有国になることの道を選択したわけだ。
 但し、北朝鮮は金生日のもとで非民主的独裁政治が行われており、市場経済を導入できない孤立国家である。経済的には困窮の一途を進みいつ破綻してもおかしくない。
 それを打開するため方策として核保有国になるという非論理的な国家戦略がとられたわけだ。
 ここまでが一般的な認識である。

 さて、「非論理的な国家戦略」と書いたが、北朝鮮はそうは思わない。
 韓国航空機爆破テロ、麻薬密輸、偽造紙幣製造、誘拐拉致など国家レベルでの国際犯罪を積み重ねているにも関わらず、国際的な制裁を受けていない。
 なぜか。その理由は二つ。
 〇中国がバックに控えている。
 〇アメリカが泳がせている。
 中国にとっては北朝鮮は同盟国。ロシア、アメリカ(この場合在日米軍)を牽制するために北朝鮮が核を保有することはやぶさかではないと考える。北朝鮮にヒットマンという犠牲的役割を担わせてうえで、自国の安全を保ちながら次の一手を進められる。
 アメリカにとっては、極東地域が不安定であることは、現在の軍事予算重視の経済パラダイムを維持できる。ネオコンを頂点とする産官軍癒着の秩序体制は保たれる。また、中東問題から手を引けない状態が続くなか、北朝鮮に深くコミットする国家的利益は少ないと考えられる。

 したがって、北朝鮮は核を保有し、それを何らかの形で国際的にアピールする。
 しかし、それで終わりである。核を保有しても、自国の経済的困窮も餓死者もなくならない。金生日体制はいずれメルトダウンする。その後は分からない。
 最悪のシナリオは、アメリカが動くことである。北朝鮮が核を保有したからといって、イラクのときのように余計なことをしないでいただきたい。
「悪の枢軸国」だなんて誹謗するような発言も止めてもらいたい。
 金生日くんはいまだ幼児的性格を残す困ったちゃんなのだ。悪口を言われると黙っていられない。
 それが核を持とうと思った最大の要因だからだ。ただ、ブッシュくんも困ったちゃんだから怖いのだ。

 最後に、日中朝平和ドクトリンというのがこの21世紀の課題テーマだという。
 これは維新後の勝海舟も提唱していたし、その考えに共鳴したのは坂本竜馬だった。誠に素晴らしい平和的イメージだ。あの当時は日本がイニシャティブをとれたが、今は違う。
 中国に主導権を持たさないとまずい。そういう認識を日本の政府関係者にもっていただきたい。
 中国が約400発の核、韓国(北朝鮮が併合された後)が5発、そして日本が0発。それを踏まえた後でのアジアの平和構想を打ち立てる。
 おらが一番という中華思想の中国をなだめ、いじめられっこだった韓国の話を真摯に聞く。
 それが日本の役割だし、大人の外交というものである。



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