誘う森

吉永南央さんの『誘う森』を読みました。

福山洋介は、妻、香映が自殺して以来、眠れない日々を過ごしていた。
彼女の死後、自殺現場となった自宅に住むのが苦しくなり、
廃業した食堂を借り、二階で寝起きするようになった。
また、会社の配慮により、最長三ヶ月の長期休暇をもらえることになった。

そんな洋介が、認知症の元警官、角谷氏のふとした言葉から、妻の自殺に疑問を持つ。
彼女は、根口の森での自殺者を減らそうと、ボランティアまでしていたのだ。
それに、当日まで自殺する気配は一切無かった。
さらに、元々が妻の実家の持ち家だとはいえ、洋介が断っても義妹の瑛子が
未だに洋介の自宅の片付けをしているのも、気にかかる。

調べれば調べるほど、現れてくる香映の実家の暗部。
あまりにも残酷な結末に、言葉もありません。
それでも、自然に死が訪れるまで生き抜くってどういうことなのか、
しっかりやり遂げなくてはならないのでしょう。