こっぱもちの部屋

主に、読書感想のブログです。他に、日常生活で楽しかったことを書くと思います。

『手のひらの幻獣』三崎亜記

2015-10-31 19:45:18 | 読書感想
日野原柚月は、ハヤカワ・トータルプランニング社で表出者として働いている。
幼い頃からイメージのままに動物の姿などを出現させる力を持っている者が幾人かいて、それらの人々を表出者と呼ぶのだ。

特殊な能力があると、それを軍事に利用しようとするのは、現実でも物語でもよくあること。
とはいえ、ここまでやるとは、この世界の政府も腐っています。
だからこそ、国民は国家を見張っていなくてはならないのでしょう。もちろん、現実でも。

柚月たちが、今後も生まれてくるであろう表出者を守り切れるよう願うばかりです。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

『捏造のロジック 文部科学省研究公正局・二神冴希』喜多喜久

2015-10-29 19:31:12 | 読書感想
二年前に論文捏造疑惑で日本中を騒がせた‘‘PAX細胞’’についての論文が、Future誌に再び投稿された。
今度は疑惑の中心にいた二人だけでなく、興国科学研究所フロンティアプロジェクトセンターにテーマリーダーの一人として在籍する辰巳優梨子の名も載せられていた。
辰巳本人は関わりを否定し、査読をセンター長の東堂が頼まれたことで、発覚を未然に防ぐことができた。

ただ、その論文に使われた画像が実験室で使っている共用端末にしか保存されていず、実験室のセキュリティレベルからすると使えたのは辰巳チームのメンバーだけなのだ。
犯人は、チームのメンバーなのか?

東堂は、研究が進まずクビ寸前の円城寺に、文部科学省研究公正局から派遣されてきた二神冴希のお目付け役として同行することを命じた。

最初は、例の事件に乗って喜多さんは何をする気なのかと疑心暗鬼になりました。
でも、結末に至って、真っ当な科学者に対する信頼を損なわないような内容になっていましたので、ホッとしました。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

『ザ・リッパー 切り裂きジャックの秘密(下)』シェリー・ディクスン・カー

2015-10-28 19:26:55 | 読書感想
ケイティは、巫女のミセス・トレイに存在を認知されなかったことから、とうとう、19世紀のトビーにレディ・ベアトリクスを助けるために未来から来たことを告白した。
トビーも最初は信じなかったものの結局は認め、コリンには内緒で行動することとなった。

切り裂きジャックの正体以前だが、犠牲者が出る前に食い止めようとすることもうまくいかない。
順番が入れ替わるだけだったりするのだ。
歴史は変えられないのか?そして、犯人は誰なのか?

今回のことで、ケイティは二重の困難に直面します。
そして、大事な人にミセス・トレイと同じ助言をされます。
どんなに大変な試練かは、読んでいただけると分かります。

面白いSFミステリでした。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

『江呂黒軟歩の純愛』梶尾真治 『小説新潮2015年11月号』より

2015-10-27 19:29:10 | 読書感想
ぶよぶよぬらぬらした飛行物体がどこからともなく現れて、無差別に地上を焦土と化し、人類が築いた文明を完膚なきまでに破壊していった。
生き残った人々は敵の目を避けて、わずかに焼け残った廃墟に隠れ棲むしかなかった。

江呂黒氏は、それまで研究のため山中に籠っていたが、都市に戻り、その変わり果てた光景に呆然とした。
しかしそんな中、侵略者に対抗する方法を研究するため、研究者を集めている人物がいた。
その意気に呼応し、江呂黒氏も仲間になって研究を始めようとしたのだが、図らずも研究者の一人の女性に恋をしてしまい、研究が手につかなくなってしまった。

果たして彼らは侵略者たちを絶滅させることができるのか?

はい、確かに梶尾さん自身も仰る通り、エログロですね。
正直言って、気持ち悪いです。
と言っても、それを凌駕するほどの面白さがありますので、私は気に入っています。

今回、エログロナンセンスの特集らしいのですが、梶尾さん以外にも気になるタイトルや作家さんがありますので、あとは初めから順番に読んでいきたいと思っています。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

『ザ・リッパー 切り裂きジャックの秘密(上)』シェリー・ディクスン・カー

2015-10-25 19:43:29 | 読書感想
ケイティことキャサリン・レノックスは、ボストン在住の十五歳の少女。
三年前に両親と死別。
姉のコートニーとクリーヴスおばあちゃんの仲が険悪なため、長い間、姉に会うことができないでいる。

従兄弟のいるロンドン滞在中、マダム・タッソー蝋人形館にある「ロンドン・ストーン」に、二人の仲を修復する願い事をするつもりが、展示中の切り裂きジャック事件に影響され、最後の犠牲者・先祖のレディ・ベアトリクスを助けたいと願ってしまう。

気がつくと、1888年ヴィクトリア朝のロンドンにいた。
果たしてケイティは、切り裂きジャックを捕まえることができるのか?

ジョン・ディクスン・カーを読む前に、孫娘の著作を読み始めています。

それにしても、偶然にも従兄弟のコリンとその友人のトビーと同名の人物が、ケイティが精神だけ乗り移ったらしいキャサリンと身内だっていうのは、楽というかご都合主義というか(ゴホンゴホン)。

当時の上流階級の女性としては八方破れなケイティが、うまく情報をつかんで捜査・推理できるかは、19世紀のコリンとトビーにかかっていますね。
それともケイティに感化されて、どちらかが推理の冴えを見せるのか、続きが楽しみです。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする