こっぱもちの部屋

主に、読書感想のブログです。他に、日常生活で楽しかったことを書くと思います。

『黒猫の回帰あるいは千夜航路』森晶麿

2016-04-30 19:37:26 | 読書感想
今回、パリで大規模な交通事故が発生した上に黒猫と連絡がつかず、やきもきしている最中、ペルシャ美学の小柴教授が空飛ぶ絨毯に乗って失踪してしまったという話を後輩の戸影から説明された。

空飛ぶ絨毯はともかく失踪は間違いないので、付き人は奥様のところを訪ねるが・・・。

他に、黒猫に横恋慕していたミナモが再登場して粉かけたり、新人女優に劇作家が約束していた彼女を主役にした脚本の行方や黒猫の姉・冷花が幼いころにやった過ちなど、様々な謎が解き明かされていきます。

同時に、黒猫と付き人の関係も少しずつ変わっていっているようで、今後の展開も楽しみです。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

『レジまでの推理 本屋さんの名探偵』似鳥鶏

2016-04-28 19:26:23 | 読書感想
大学生の青井くんは、本屋さんでバイトをしている。
ただ、店長が大抵バックヤードなどでさぼっているため、店長業務も肩代わりしている面がある。
でも店長は、客の変わった相談などに素晴らしい推理力を発揮して解決してしまうところもあるのだ。

海外に留学する男性に、連絡もしてくれなくなった彼女が送りつけてきた本の意味や、バイトの池部くんが本当に友人のサイン本を盗んだのかということなど、書店員が真剣に推理してくれます。

ラストはかなり衝撃的な話ですが、果たしてどういう結末になるのか、ぜひ、お読みになって下さい。
面白いですよ。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

『杏奈は春待岬に』梶尾真治

2016-04-27 19:27:47 | 読書感想
白瀬健志が十歳の春、春待岬にある洋館で杏奈という少女に出会った。

それから数年後、彼女が「秋彦兄さん」と呼ぶ老人によると、彼らは未来から‘‘クロノス’’というタイムマシンに乗ってやってきたのだが、部品の脱落で目的の時代に到達する前に到着し、妹が一年のうち春の数日しか実体化しないという状況に陥ってしまったらしい。

健志は‘‘クロノス’’を修理して杏奈を正常な状態に戻すことを誓うのだが・・・。

幼かった健志が杏奈と同世代になり、やがて彼女を追い越していく。
それは健志にとって、あまりにも過酷な現実で、だからこそ、この結末は本人にとっては幸せでも、周りから見ると残酷で切ないものなのでしょう。

元々、‘‘クロノス’’を操る者たちに課せられた試練、もしくは罰なのかもしれません。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

『怪獣の夏 はるかな星へ』小路幸也

2016-04-25 19:25:13 | 読書感想
1970年の夏休み。

小学生のナナロー、ユリコ、マット、アキコちゃんの4人は、<橋波川>の下水口など、あまり人が見ないところにチョークで描かれた怪獣の絵を発見した。
アキコちゃんのアパートに住む美大生・ハヤトさんも、その見事さを認め、不思議なことが大好きな写真館のキリシマさんは、その絵を写真に撮ってくれた。

実はその絵は、それから起きたとんでもない事件の前兆に過ぎなかった。

小路さんが、ウルトラマンへのオマージュとして書いたと思われるこの作品。
この話でも、それらしき人物は登場しますが、あくまでも主役は子どもたちです。
彼らが、どのようにして怪獣を倒すのかはもちろん、そこまでの過程に何を思うのかが主題です。
ウルトラマン世代じゃない方々にも、お勧めの怪獣小説です。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

『プロローグ』円城塔

2016-04-24 19:32:19 | 読書感想
今回、図書館から入荷の知らせが届いた時。「あれっ?これって読んでいなかったっけ?」と思いました。
市外からの図書と聞いて、「ああ、そうか。以前、借りた時読み切れなくて返却したんだった」と思いだしました。
間抜けです(^^;)

それはともかく、この小説。
そもそも出だしで使用言語が語り手にも特定できていず、「わたし」が二人以上いたため、一応、それぞれに名前を付けたというところから、読み手にとって混乱する元になったのかもしれません。
その上、語り手ばかりかそれぞれに編集者もいて、その中で一番上位にいる語り手もはっきりしないため、混乱する一方。

コンピュータプログラムについてや、古事記や日本の歴史についても語りだしたりして、混乱に拍車をかけます。

メタフィクションのようで違うし、ご本人は私小説と仰っていますし、結局、分かりません。
最後にしれっと登場する円城さんも、ああですからねえ(笑)

あ、ここまで書いて、けなしていると思っている方もいらっしゃるかもしれませんが、違うんですよ。
円城さんの作品に慣れていない方には、なかなかお勧めできませんが、ちゃんと面白いんです。
覚悟のある未読の方は、ぜひ!
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする