こっぱもちの部屋

主に、読書感想のブログです。他に、日常生活で楽しかったことを書くと思います。

『あきない世傳 金と銀(2)早瀬篇』高田郁

2016-11-30 19:42:56 | 読書感想
相変わらず、四代目徳兵衛の放蕩が目に余ることで、後添いに来てくれる娘はいそうにもない。

そこで、番頭の治兵衛は、聡い上に礼儀作法も身について口も固い幸を後添いに迎えてはどうかという提案をお家さんの富久にした。
富久の説得のあとも、幸に断られるのを案じて母親の了解を先に取り、最後に幸を説得をした。

何とか承知した幸だったが、商売の仲間が幸を認めても阿保ぼん徳兵衛は、月の障りもない子どもを嫁にとへそを曲げて、初潮が来るまで眼の届かないところで寝るように言い、歯を染めるのも禁じた。
また、町内への祝儀銀も支払わないと決めたから、幸は町内では下女扱いとなってしまった。

果たして幸が一人前のご寮さんとして扱われ、阿保ぼんが心を入れ替える日がやって来るのか?

幸は、店の者にもあきないの事を学ぼうとし、次第に実際の店の大黒柱・次男の惣次にも認められるようになります。

今回の結末は、阿保ぼんには気の毒ではありますが、正直ホッとしました。
そして、その時の惣次の対応も良かったです。
ただ、幸の気持ちがどうなるのかは、分かりませんけどね。
これからの「五十鈴屋」がどうなっていくかも、楽しみです。
とはいえ、また一波乱あるのでしょうねえ。
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『ノッポさんの「小さい人」となかよくできるかな?』高見のっぽ

2016-11-27 19:26:51 | 読書感想
NHK教育テレビ『できるかな』でおなじみのノッポさんが、主に「小さい人」との交流の仕方の本を書かれました。

私もちょっぴりではありますが、幼い頃の自分自身が大人のどんな言動で喜んだり傷ついたりしたかを覚えています。
でも、ノッポさんみたいなエキスパートではありませんので「小さい人」と接するのは難しいと感じてしまいます。

そんな「大きな人」 に、ノッポさんが手ほどきをしてくださるわけです。
何度も読み返したくなる内容で、 ノッポさんご自身が「小さい人」だった頃の話もたくさん楽しめます。
とても優しい本ですので、ぜひ、お読みください。
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『ストレンジャー・イン・パラダイス』小路幸也

2016-11-26 19:31:30 | 読書感想
舞台となるのは<晴太多>。
何となく大分県を思わせる名産品のある地域。

ここで生まれ育ち、東京のIT企業で広報をしていた三十歳の土方あゆみは、いろいろあって故郷へ戻り<晴太多> を再生するために<晴太多いきいき課推進室室長>として働いている。

実際、東京のベンチャー企業<スリー・フィンガー>に働きかけてサテライトスタジオを作り、三人の若者がやってきて働いている。

他に、あゆみの幼馴染の綾那が離婚して戻ってきたり、アウトドアの達人で自称<ニート>の春本が空家に住み着いたりと、何も無いようで変化が起きている。

あゆみは、何もないが土地も水も晴れの日もたくさんあるということを宣伝文句に、新しい住人を呼び込もうとしていた。
果たして<晴太多>に若い住人はやってくるのか?

読んでいくとやって来るのはワケアリそうな人ばかりで、ちょっぴり不安になりますし、あゆみの過去が古い住人の一部の心の闇を刺激する部分もありますし、心配になります。
でも、あゆみや彼女に協力する人々が誠実に動くことで、未來に少し灯りが見えるように思えてきました。
バラ色ではありませんが、前向きになれそうな物語でした。
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『松本城、起つ』六冬和生

2016-11-24 19:43:57 | 読書感想
松本市に住み、地域密着型お気楽歴史オタクを満喫していた高校三年生の少女・矢諸千曲は、両親に本業を思い出させようと予備校の申込書を叩きつけられたと思われるが、それに抵抗し、家庭教師として信州大学生の巾上岳雪に白羽の矢を立てた。

次の模試で志望大学A判定がとれなかったら、自分のことはクビにして娘さんを予備校に入れることを提案したのだが、その肝心の判定結果が出た日、千曲はそれを見せぬまま岳雪を松本城見学に案内した。

はぐらかし続ける千曲に岳雪が腹を立てていると、松本城が崩壊し・・・気づくと1686年の松本藩の藩士・鈴木伊織となり、千曲は女子高生姿のまま、松本城に祀られている二十六夜神さまと名乗っていることを知らされる。

その年は、貞享騒動という百姓一揆が起こり、多数の死者が出るはずだった。

直接、一揆の首謀者となるはずの農民たちに接した岳雪は、何とかして彼らを窮乏から救い、同時に元の時代に戻ろうと願うのだが。

「『松本城、起つ』って何?早川書房で時代小説?」
タイトルを知ったときには、かなり戸惑いました。
なるほど、ある種のタイムスリップものなのですね。
とはいえ、似たような悲劇的状況を二回繰り返させられたときには、どうしたものかと思いました。

結局、何でしょうねえ?岳雪のある決心が状況を動かした、ということでいいのでしょうか?
あと、宇宙人?大きな蛾?あれの正体といいますか、それと世界観も気になるところではあります。

疑問符はいっぱい付くのですが、とても面白いSFですので、ぜひ、お読みになって下さい。
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『蜜蜂と遠雷』恩田陸

2016-11-23 19:44:39 | 読書感想
日本で行われる国際的なピアノコンクール、第6回芳ヶ江国際ピアノコンクールに、最近亡くなった伝説的ピアニスト、ユウジ・フォン=ホフマンが直弟子にしていた異例な少年、風間塵が出場することとなった。

ホフマンによると、彼を『ギフト』とするか『災厄』にしてしまうかは、審査員、いや、彼を『体験』する皆にかかっているという。

恩田さんは、他に、天才少女と呼ばれながら、母の死をきっかけに第一線を退いた栄伝亜夜。
彼女の幼なじみで、ジュリアードに進んだマサル・カルロス・レヴィ・アナトール。
そして、音大まで行ったものの「普通のところ」にいたくて、プロを目指さなかった高島明石にスポットを当てています。

果たして、彼らの中で優勝するのは誰なのでしょうか?

コンクールの中で、彼らが交流を深め、高め合っているのは、通常、よくあることなのでしょうか?
そして、音楽を聴いているうちに風景が見えてくることも?

読んでいくうちに、私自身、これらの曲をこれほどまでじっくり深く聴けて、味わうことができたなら!と思えてきました。
本当に、ここまで音楽で高みに登れたらとも感じます。

何より、プロとして音楽に携わる方々は、この物語を読んで腑に落ちるものなのかということも気になりました。

でも一番は、この物語でとても深く感動できたことで、感謝したくなりました。
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