こっぱもちの部屋

主に、読書感想のブログです。他に、日常生活で楽しかったことを書くと思います。

『活版印刷三日月堂 小さな折り紙』ほしおさなえ

2020-02-29 19:51:00 | 読書感想
 
今回登場するのは、川越観光案内所のマドンナ、三日月堂のワークショップを訪れた事のある高校生の小枝と侑加、生まれて三日でなくなったあわゆきの両親、弓子の母カナコの大学時代のゼミ仲間とその娘の楓、友人の結婚式の招待状の印刷を頼んだ事があるデザイナー、そして、弓子が昔通っていたあけぼの保育園の現在の園長。

全ての人々が、弓子や三日月堂に様々な形で関わっていますが、私が特に心惹かれたのは、マドンナの「わたしの人生もそう悪くないのかもしれない」という心の声と、あわゆきの父親のディズニーランドへの違和感、楓の祖母の家の万葉集にちなんだ庭、そしてあまんきみこさんの『車のいろは空のいろ』に収録されている「すずかけ通り三丁目」の朗読と活版印刷された冊子です。

どれも、私にとっては強く共感を覚えるエピソードでした。
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『降りてゆく』草上仁 SFマガジン2020年4月号掲載

2020-02-28 20:17:06 | 読書感想
 
『アイランド』に住む『ハイ』ソサエティの娘、8歳のユリエは、飼い犬のチロがスカイパークの工事中のブルーシートから落下していったのを追って、タブーとされている900階より下に降りて行った。

ユリエより1つ上級のリュウジさんは「死んでるに決まってるさ」と意地悪を言うけれど、動じなかった。

超高層マンションに住む人々の偏見から、読者自身が自らの偏見を見つめ直せるか、ですよねえ。
大切な局面で、ユリエになれるのが理想なのですが、私自身、なれるかどうか・・・いや、ならなければいけませんよね!
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『本好きの下剋上 司書になるためには手段を選んでいられません 第三部 領主の養女IV』香月美夜

2020-02-20 20:14:06 | 読書感想
 
今回、マインの本当の姉・トゥーリが10歳になるのを機に、ギルベルタ商会とお針子としての本契約であるダブラ契約ができるようになった。
しかし今後、マインが本を作っていくにあたってエーレンフェストを出ていく可能性を考えると、土地にも縛られるダブラ契約よりも、3年ごとの更新が必要で不安定でも身軽なダルア契約の方が、マインと離れずにいられる事を思うと悩んでしまうトゥーリなのだった。

一方、本筋である新しい印刷機が完成しご満悦のマインは、さらにより良い紙の材料を求めてイルクナーに向かう。
ギルとルッツを中心にして、ここで、新たな紙の研究を行うのだ。

こうして見ると本作りは順調に感じられるが、実は、義父ジルヴェスターの身内からマインを害そうと考えられる人物が登場する。

はい、また不穏分子登場です。
ただ、まあお付きの女性騎士・アンゲリカのために似合うドレスをデザインしたり、不穏な空気を読めない発言をするヴィルフリートに、新しい素材から作った紙のハリセンをお見舞いしたりと、楽しみどころ、笑いどころもたくさんです。
一番好きなのは、貴族の奥様方に人気のフェルディナンドの絵姿を、何とか再び商品化するために、フィクションでは定番の「この物語は架空のものであり~」でごまかそうと画策しているところです。さあ、フェルディナンドにこの言い訳が通用するのか、今後が楽しみですよね(笑)

波乱も予感しつつ、マインの本作りの今後が楽しみです。
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響ホールワンコインコンサートvol.20 西本幸弘(ヴァイオリン)平山麻美(ピアノ)

2020-02-18 20:31:39 | コンサート
九州交響楽団のコンサートマスター、西本幸弘さんによる45分間のコンサート。
ピアノに、大学時代の同級生だという平山麻美さんが来てくださいました。

1曲目は、クライスラーの「愛の喜び」
いい曲なのですが、私は2曲目の「愛の悲しみ」の方がヴァイオリンの音色がふくよかで好きだと感じました。

というわけで2曲目は同じくクライスラーの「愛の悲しみ」
切なさも好きなのかな?有名なのは~喜びなんですけど。

3曲目は、モーツァルトの「ロンド」
音のミルフィーユかサンドウィッチと仰っていました。
楽しいですよね?

続く4曲目は、チャイコフスキーの「ワルツ・スケルツォop.34」
難曲らしく、大学2年生の頃にチャレンジしたコンクールの課題曲だったそうで、玉砕なさってそうです。その時にピアノを弾いてくださったのも、平山さんだったとか。
でも、確かにこれでワルツを踊るのも難しそうに感じました。ステップを踏むのに飾りの音が邪魔しそうな気がします。とても、素敵な曲なんですけどね。

5、6曲目は、エルガーで「夜の歌」「朝の歌」
それぞれの時間に聴いてもピッタリの素敵な曲ですが、そうでなくとも聴いていて落ち着く柔らかく優しい曲でした。

最後は、ブラームスの「ヴァイオリンソナタ第1番『雨の歌』より第1楽章」
雨というと、日本人にはしとしとと降り続く梅雨のイメージが先にきますが、これはまた違った雰囲気の風雨でした。

アンコールは、パガニーニの「カンタービレ」
歌うようにというだけあって、本当に楽しい曲でした。

コンサート終了後、サイン会があってCDにサインをいただいたのですが、心の中に色んな思いがいっぱい湧きだしてきて、どれから話せばいいのか分からず、無言のままでいただいてしまいました。
ここでお詫びと感謝を申し上げます。
申し訳ありません。とっても楽しかったです。ありがとうございました。 

ちなみに、今回購入したのはこのアルバムです。
早速、楽しませて頂いています。
 
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『富士山が見えた』草上仁 ミステリーズ!vol.99 2020年2月号収録

2020-02-18 20:02:01 | 草上仁
 
東海道新幹線で見つかった変死体の現住所と交友関係が東京都だった事から、元々は静岡県警に引き渡された事件だったが、合同捜査本部が設置され、本庁から福川警部補が県警本部に派遣されたのが三週間前。

昨日、福川が経過報告のために本庁に戻ると、第一課長から不本意ながら(応援の?)黒崎警部を押し付けられてしまった。
黒崎警部とは、定年間近なのにいつまでも現場を離れたがらず、担当外の事件にも口出しして煙たがられている男だった。

いまだにスマホも持っていない『生きている化石』が、この事件をどう見るか訊いてみるのも面白いと、福川警部補が悪戯心を起こしてみたら・・・。

時刻表からの推理と聞くと、まず、列車のダイヤから乗り継ぎのトリックを考えてしまうのですが、こういう利用法もあるんですねえ。
あと、左富士なんてものがあるとは知りませんでした。
面白く読ませていただきました。
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