ハイドゥナン (上) (ハヤカワSFシリーズ・コレクション) 価格:¥ 1,785(税込) 発売日:2005-07-21 |
南西諸島の沈没の危機に、領海=海底資源喪失を見越しての既得権確保にばかりやっきになり、
住民の安全は後回しにする政府。
これをきっかけに日本の領海の資源を得ようと暗躍する近隣諸国。
一部の科学者が、独自の<ISEIC理論>によって地殻変動を食い止めるべく
極秘プロジェクトを開始する。
一方、与那国島では巫女的存在にあたる後間柚が「琉球の根を掘り起こせ」なる神の声を聞いた。
大地の怒りを鎮めるべく”14番目の御嶽”を、以前から心の声が通じてきた伊波武志の協力を得つつ、
探す柚だったが・・・。
少し神がかったSFもしくはファンタジーですが、科学の力だけでは助けられず
霊的存在によってなら助けられると知ると、それを使って島々を助けるのに躊躇しない、
マッドサイエンティストたちの頭の柔らかさは、素晴らしいですね。
並行して、本来なら許されないラブストーリーをどのようにうまく昇華させるか、
というのも面白かったです。
ハッピーエンドとは言えず、今後の人類の未来にも様々な苦難が待ち受けているかもしれませんが、
この物語の展開としては納得できる終わり方だったと思います。