小説「新・人間革命」
【「聖教新聞」 2013年 (平成25年)1月7日(月)より転載】
o☆:*:.♪o☆:*:.♪o☆:*:.♪
法旗28(1/7)
山本伸一は、管理者室にも顔を出した。
県男子部長の木林周作の妻が、大声で泣く子どもを、一生懸命にあやしていた。
彼女は、伸一を見ると、恐縮して頭を下げた。
「いいんです。赤ん坊は、泣くのが仕事のようなものですから。元気に育つよ」
部屋には、県事務長の妻で、会館の管理をしている築地美鈴と小学生の二人の子どもがいた。
子どもたちは、伸一の姿を見ると、きちんと正座した。
「どうぞ、お楽に! 少年部だね。未来が楽しみだな。
将来は創価大学においでよ」
そこに、県婦人部長の田淵良恵をはじめ、婦人部の県幹部が数人、打ち合わせのためにやってきた。
ここでまた、伸一を囲んで懇談が始まった。
首脳幹部らは、この日の伸一の指導は、これで終わりだと思った。
しかし、午後十時半過ぎ、男子部の幹部二人に声をかけ、彼は風呂を借り、一緒に入浴しながら、懇談を重ねた。
狭い浴室での語らいである。
「四国創価学会を強くしていくためには、どうすればいいと思うかい」
緊張していたのか、二人とも、しどろもどろの答えだった。
「青年部の幹部は、一切の責任を担う覚悟で、どうすれば学会が前進できるのか、常に考えておくんだよ。
また、四国という地域をどう発展させていくかも考えていくんだ。
では、四国のリーダーに特に必要なものはなんだと思うかい」
「…………」
「私は、人情味だと思う。理や筋だけではだめだ。
最も情を大切にするのが四国だというのが、私の実感だ。
また、四国は、画一的ではうまくいかないだろう。
たとえば、人材を育成する場合も、小さな単位でグループをつくり、それぞれの地域の特色を生かしながら、進めていくんだよ」
彼らは、青年を育てようという伸一の心に感嘆した。
湯船の中で感涙をこらえた。
“先生は、ここまでされるのか……”
行動こそ、万言に勝る指導となる。
∞…♪…★…κ…∞…♪∞…♪…★…κ…∞…♪
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【「聖教新聞」 2013年 (平成25年)1月7日(月)より転載】
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山本伸一は、管理者室にも顔を出した。
県男子部長の木林周作の妻が、大声で泣く子どもを、一生懸命にあやしていた。
彼女は、伸一を見ると、恐縮して頭を下げた。
「いいんです。赤ん坊は、泣くのが仕事のようなものですから。元気に育つよ」
部屋には、県事務長の妻で、会館の管理をしている築地美鈴と小学生の二人の子どもがいた。
子どもたちは、伸一の姿を見ると、きちんと正座した。
「どうぞ、お楽に! 少年部だね。未来が楽しみだな。
将来は創価大学においでよ」
そこに、県婦人部長の田淵良恵をはじめ、婦人部の県幹部が数人、打ち合わせのためにやってきた。
ここでまた、伸一を囲んで懇談が始まった。
首脳幹部らは、この日の伸一の指導は、これで終わりだと思った。
しかし、午後十時半過ぎ、男子部の幹部二人に声をかけ、彼は風呂を借り、一緒に入浴しながら、懇談を重ねた。
狭い浴室での語らいである。
「四国創価学会を強くしていくためには、どうすればいいと思うかい」
緊張していたのか、二人とも、しどろもどろの答えだった。
「青年部の幹部は、一切の責任を担う覚悟で、どうすれば学会が前進できるのか、常に考えておくんだよ。
また、四国という地域をどう発展させていくかも考えていくんだ。
では、四国のリーダーに特に必要なものはなんだと思うかい」
「…………」
「私は、人情味だと思う。理や筋だけではだめだ。
最も情を大切にするのが四国だというのが、私の実感だ。
また、四国は、画一的ではうまくいかないだろう。
たとえば、人材を育成する場合も、小さな単位でグループをつくり、それぞれの地域の特色を生かしながら、進めていくんだよ」
彼らは、青年を育てようという伸一の心に感嘆した。
湯船の中で感涙をこらえた。
“先生は、ここまでされるのか……”
行動こそ、万言に勝る指導となる。
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