和井弘希の蘇生

桂信子先生に師事。昭和45年「草苑」同人参加。現在「里」同人「迅雷句会」参加

法旗(二十八)小説「新 ・人間革命」

2013年01月07日 13時45分31秒 | 今日の俳句
      小説「新・人間革命」

【「聖教新聞」 2013年 (平成25年)1月7日(月)より転載】


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法旗28(1/7)
 山本伸一は、管理者室にも顔を出した。
 県男子部長の木林周作の妻が、大声で泣く子どもを、一生懸命にあやしていた。
彼女は、伸一を見ると、恐縮して頭を下げた。

 「いいんです。赤ん坊は、泣くのが仕事のようなものですから。元気に育つよ」

 部屋には、県事務長の妻で、会館の管理をしている築地美鈴と小学生の二人の子どもがいた。
子どもたちは、伸一の姿を見ると、きちんと正座した。

 「どうぞ、お楽に! 少年部だね。未来が楽しみだな。
将来は創価大学においでよ」

 そこに、県婦人部長の田淵良恵をはじめ、婦人部の県幹部が数人、打ち合わせのためにやってきた。
ここでまた、伸一を囲んで懇談が始まった。
首脳幹部らは、この日の伸一の指導は、これで終わりだと思った。
しかし、午後十時半過ぎ、男子部の幹部二人に声をかけ、彼は風呂を借り、一緒に入浴しながら、懇談を重ねた。
狭い浴室での語らいである。

 「四国創価学会を強くしていくためには、どうすればいいと思うかい」

 緊張していたのか、二人とも、しどろもどろの答えだった。

 「青年部の幹部は、一切の責任を担う覚悟で、どうすれば学会が前進できるのか、常に考えておくんだよ。
また、四国という地域をどう発展させていくかも考えていくんだ。

 では、四国のリーダーに特に必要なものはなんだと思うかい」

 「…………」

 「私は、人情味だと思う。理や筋だけではだめだ。
最も情を大切にするのが四国だというのが、私の実感だ。
また、四国は、画一的ではうまくいかないだろう。
たとえば、人材を育成する場合も、小さな単位でグループをつくり、それぞれの地域の特色を生かしながら、進めていくんだよ」

 彼らは、青年を育てようという伸一の心に感嘆した。
湯船の中で感涙をこらえた。

 “先生は、ここまでされるのか……”

 行動こそ、万言に勝る指導となる。


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