和井弘希の蘇生

桂信子先生に師事。昭和45年「草苑」同人参加。現在「里」同人「迅雷句会」参加

広宣譜52/小説「新・人間革命」

2015年01月22日 18時29分49秒 | 今日の俳句
「聖教新聞」 2015年(平成27年) 1月22日(木)より転載


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【広宣譜52】


 中国の方面幹部が、「以上で懇談会は終了いたします」と、閉会を告げた。しかし、参加者は、近況などを報告しようと、山本伸一の周囲に集まって来た。

 皆が、次々と語りかけた。

 「先生、二十年前、大病を患っていましたが、信心してこんなに元気になりました」

 「家を新築し、座談会場として提供させていただいております。ぜひ一度、わが家にお寄りください」

 「そうですか。よかったね。本当によかった。嬉しいです。皆さんのお宅にも、可能な限りおじゃましますよ」

 彼は、一人ひとりの報告に耳を傾け、励まし、対話を続けた。

 皆の魂に、生涯の思い出を刻めるか。生涯の決意を促せるのか――必死だった。

 瞬間瞬間に、一声一声に、魂を込め、全力を注いだ。そうしてこそ、励ましなのだ。

 懇談を終えた伸一は、別室に移動し、代表に贈るため、激励の言葉を色紙や書籍に揮毫していった。作業に休みはなかった。

 決裁書類に目を通しながら、峯子に語った。

 「『中国の歌』の曲が調整できたら、もう一度、歌詞も検討しよう。最高の歌を完成させたいね!」

 彼の心は躍っていた。

 午後九時過ぎ、伸一は、米子文化会館の庭に出た。星々の煌めく空に、満月が皓々と輝き、大山のシルエットが、くっきりと浮かび上がっていた。

 彼は、月天子を仰いだ。心に詩興が湧くのを覚えた。

 その時、庭の片隅から幾筋もの光が踊った。蛍である。ほのかな光が千々に乱れ飛び、幻想的な美しい絵巻が描き出された。

 彼は、蛍の舞に目を凝らし、つぶやくように、傍らにいた幹部に言った。

 「鳥取の皆さんの真心を、映し出しているかのような、清らかな光だ。今宵は、星か、蛍か、満月か……。すばらしいね。お伽の世界にいるようだ」





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