和井弘希の蘇生

桂信子先生に師事。昭和45年「草苑」同人参加。現在「里」同人「迅雷句会」参加

人材城(三十四)小説「新 ・人間革命」

2012年05月19日 10時27分16秒 | 今日の俳句
人材城(三十四)小説「新 ・人間革命」

    小説「新・人間革命」

【「聖教新聞」 2012年 (平成24年)5月19日(土)より転載】
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人材城34(5/19)

 五木地方の子守唄には、“口うるさい老婆は、ガンと殴りつけろ”という、守子たちの激しい憎悪を露にした歌詞さえもある。

 哀切の調べに満ちた子守唄のなかに流れているのは、卑下や疎外感、あきらめだけではない。批判や居直り、怒りがあり、そして、強かな抵抗心や自立の誇りも脈打っている。

 その抵抗の対象は、直接的には口うるさい老婆や雇い主などである。しかし、それにとどまらず、自分を不幸な境遇へと追い込む見えざる何か、いわば“運命”への抵抗ともいうべきものを感じさせる。

 この守子たちは、路上などに集まって子守をした。集まれば、仲間ができる。仲たがいもあれば、告げ口もある。守子は歌う。

 「山でこわいのは イゲばら 木ばら 里でこわいのは 守りの口」(注1=2面、以下同じ)。里では、同じ守子の口こそが怖いというのだ。
 守子同士の関係は、うっかりしていると出し抜かれかねない、緊張感をはらんだ面もあったのであろう。

 だからこそ、気の許せる守子同士の結合は強くなる。

 「おれと お前さんな 姉妹なろや お前ゃ姉さま わしゃ 妹」(注2)ともある。いわば、“姉妹”の思いをいだくほど、強い絆に結ばれていったのだ。

 また、“自分が死んでも泣いてくれるのは〓ばかりだろう”という歌とともに、「〓じゃござらぬ いもつで ござる いもつ泣くなよ 気にかかる」(注3)とある。

 “いもつ”は妹のことである。その妹というのは、どこにいるのであろうか。もしも、ここでいう妹が、姉妹の契りを交わした守子をさしているならば、その絆の強さは、いかばかりであったことか。

 ともあれ、彼女たちの強かさを支えたものの一つは、守子同士の“姉妹的結合”であったことは間違いない。

 孤独感は、心を弱くするが、人との強い絆を自覚するならば、心は鉄の強さをもつ。


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