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2008-12-24 16:42:11 | 子育ち、親育て~
「赤鼻のトナカイ」

 
むかしむかし、ルドルフというなまえのトナカイがいました。

ルドルフは世界でたったいっぴき、
赤い大きな鼻をもつトナカイでした。


ですから、みんなから「赤鼻のルドルフ」とよばれていました。

 ルドルフはじぶんの鼻が大きらいでした。


みんながじぶんの鼻を見て、大わらいするからです。

「やーい、赤い鼻、赤い鼻。ルドルフの鼻は、まっかっか!」

 こう言われるたび、ルドルフはいつも泣いていました。


「ぼくはみんなとちがう。どうして赤い鼻なんだろう。どうしてみんなとちがうんだろう。こんな鼻、なければいいのに。」

 こんなルドルフを、かぞくはみんなかわいそうに思いました。

けれども、どうすることもできなかったのです。

ルドルフのもって生まれた赤い鼻は、ずっと赤い鼻のままなのですから。

 


ある年のクリスマスイヴのことでした。

サンタクロースはでかける準備をしていました。

あのダッシャー、ダンサー、プランサー、ヴィクセン、コメット、キューピッド、ダンダー、ブリクセムの八匹のトナカイをつれて、世界中をまわるたびの準備をしていました。

8匹のトナカイをそりにつないで、
そりの中にオモチャを沢山つみこんで、
もういつでも出発できるようになりました。

ほかのトナカイたちもみんな、
サンタクロースとトナカイたちを見おくろうと集まっていました。

だって、サンタクロースのトナカイは、
トナカイみんなのヒーローなのですから。

どんなトナカイも、いちどはサンタクロースのトナカイになりたい、
と思うくらいです。

 しかし、たいへんなことになってしまいました。
夜になるにつれて、とつぜん、霧があたりいちめんに立ちこめてきたのです。

やがて、霧は地球全体を包みこんでしまいました。

「しまった、これではえんとつがどこにあるかわからんぞ! 
みんなにプレゼントを渡すことができない!」

 サンタクロースが叫ぶと、みんなそわそわしだして、
どうすればいいかわからなくなってしまいました。

 そうしてみんなが困っていたとき、
ルドルフはひとり森の中にいました。

みんなの前に行きたくなかったからです。

サンタクロースの見おくりに行くと、赤い鼻を見られて、
みんなにわらわれてしまう、と思ったのです。

家族もみんな行ってしまいました。

そんなとき、見おくりに行ったはずの妹がか帰ってきて、
ルドルフに言いました。

「お兄ちゃん、サンタさんのお見おくりに行こうよ。
もうしゅっぱつしちゃうよ。」

 ルドルフは最初は嫌がりましたが、妹が何度もしつこく言うので、
ついにはあきらめて、サンタクロースの見おくりに行くことになりました。

 

ルドルフはびくびくしながら、
みんなの集まる所へ行きました。

すると、やっぱりみんなはざわざわと騒ぎはじめました。

来るんじゃなかった、とルドルフは泣きそうになりました。

 

そのとき、サンタクロースもみんながさわいでいるのに気がつきました。

「どうして、みんなさわいでいるんだい?」

 と近くのトナカイにたずねました。

「ルドルフ、赤鼻のルドルフが来たんです。」

 とトナカイはこたえて、ルドルフのいるほうに鼻をむけました。




サンタクロースはルドルフを見るなり、たいへんびっくりしました。

ルドルフの鼻が赤かったからです。

どんなものよりも明るくて、ぴかぴか光る赤い鼻だったからです。

「これでだいじょうぶだ、ルドルフの鼻があれば、こんなにふかいきりの中でも、えんとつのあるばしょがわかるぞ!」

 とサンタクロースは思いました。



サンタクロースはいそいでルドルフのいるところへ行きました。

ルドルフはびっくりしました。

なにせ、目のまえにサンタクロースが来たのですから。

「ルドルフくん、わしたちといっしょに、世界をまわってくれないかな。」

 とサンタクロースは言いました。

「でも。」

 ルドルフはどうしていいかわかりませんでした。

じぶんにまったく自信がなかったのです。

みんなとちがうじぶんに、いったい何ができるのか、
と思うと、返事ができませんでした。

「でも、ぼくは赤い鼻のトナカイで、みんなとちがいます。」

 ルドルフの目は、なみだでいっぱいでした。

「ぼくは赤鼻のトナカイなんです!」

 ルドルフは言いました。


けれども、サンタクロースは言いました。

「そうだ、きみは赤鼻のトナカイだ。みんなとはちがう。でも、だからすごいんだ。きみのぴかぴかの赤鼻は、みんなとちがうけれど、くらい夜道をてらすことができる。だから、やくに立つんだよ。」

「ぼくが、やくに立つ?」

 とルドルフが聞きました。

「そうだ、やくに立つんだ。さぁ、こっちに来てくれ。」

 サンタクロースはルドルフをつれて、そりのところまで行きました。

ルドルフを8匹のトナカイの前、一番前のところにつなぎました。

 


サンタクロースはそりにのりこみ、さけびました。

「おい、ダッシャー、ダンサー、プランサー、ヴィクセン! そら、コメット、キューピッド、ダンダー、ブリクセム――そして、ルドルフ! やまをこえて、うみをこえて、ゆくぞ、ゆくぞ、そらゆくぞ!」

 サンタクロースと9匹のトナカイは飛びたちました。

「がんばるぞ、ぼくはがんばるぞ!」

 とルドルフは思いました。



はりきって、赤い鼻で前をめいっぱい明るくしました。

前が見えるように、煙突が見えるように。

霧だけではなく、雨がふっている町もありました。


雪がふっている町もありました。


みぞれがふっている町もありました。

けれども、ルドルフの鼻のおかげで、どんな煙突も、
どこにあるかはっきりわかりました。

ルドルフのおかげで、その年のクリスマスイブ、
みんなにプレゼントを届けることができたのです。




 ルドルフは、この夜から、一番有名なトナカイになりました。


それだけでなく、みんなのいちばん大好きなトナカイになりました。

最初は、はずかしかった大きな赤い鼻だけど、今ではみんなの憧れです。


その年のクリスマスイヴからいままで、
ずっとルドルフは9匹のいちばん前にいます。

そしてたのしく、元気に、まえを明るく照らしているのです。
サンタの追跡~調査






皆さん 素敵なクリスマスでありますように~