こ も れ び の 里

長崎県鹿町町、真言宗智山派、潮音院のブログです。平戸瀬戸を眼下に望む、人里離れた山寺です。

フォーラム「こころの過労にご用心」をおさらい③~うつ病

2006年10月23日 | 仏教
こころを疲れさせる原因には、大きく5つがあって、
ひとつには、「人生の大きな節目、できごと」。
これは、先日話した失恋とかもそうですね。あと、親しい人との別れ、
結婚式、離婚、病気やけが、引っ越し、会社で昇進・・・などなど、
日常の生活からちょっと突出してしまうようなできごとです。
このことを、「ライフイベント」とよびます。
このライフイベントをふたつ一緒にやらない!っていうのが、
病気を回避するための大切なポイントです。
講師の先生はこのことを何度もおっしゃってました。

ふたつ目には、「人に対する疲れ」。
対人ストレスですね。人間は人と人との関係性の中で
生きることのできる動物です。されど、ストレスの原因が、
実はその人間関係から発生する。

三つ目は、「ものに対する疲れ」。
家の建て替えをやるとか、借金を抱えているとかです。
対物ストレス。

四つ目に、「人生観的な疲れ」。
今やっている仕事が面白くない、とか、生きがいを何処にも見いだせない、
とか、学校に行くことに意義を見いだせない、とか、
これからの社会に希望が見えない、とか、何を信用していいのかわからないとか。
このような、人生観的な不満が原因として考えられます。

五つには、「過重な労働」。
残業や、次から次に課題や難題が押し寄せてくるような仕事。
こなしてもこなしても、なかなか報われなかったりと。
そんな労働で身体が疲れてしまうと、
必ず心にも疲れが出てしまいます。

以上のようなできごとから、こころの病気が発症してしまうんです。

しかし、日本って国は、古来より精神論を尊ぶ国柄で、
ま、アジア大陸全般でしょうが、
そんな国民の中には、「高い志があれば」とか、
「心を強くもってれば心の病にはならない」とか、
思っている人もいるわけです。
これは、大きな間違い。
風邪をひかない人がいないのと同じことなのです。
誤った精神論は、病気を悪化させます。気を付けましょう。

では、

うつ病かしら?と感じ取るための基準といいますか、
参考基準を示します。
うつは、別名「ナイナイ病」といわれるそうです。
まず、
1.「眠れない」。とても朝早くに目が覚めてしまう「早朝覚醒」もです。
2.「元気ない」。自分でも、なんか最近元気が出ないなあって自覚しています。
3.「食欲ない、性欲ない」。とりあえず食べるけど、砂をかんでるようだ。
   おいしく食べれない。異性への興味やSexに心が動きません。
4.「興味がなくなる」。これまで好きだったことが、したくなくなります。
5.「申し訳なく思う」。申し訳ない、すまないという気持ちが強くなります。
6.「動きが鈍くなる」。何をするにしても、行動が緩慢になる。
7.「集中しない」。物事に集中できなくなる。
8.「存在したくない」。最終的に一番怖いのが、もう生きたくないという気持ち。

これら8っつほどの項目の半分くらい当てはまるようであれば、
間違いなく病気だそうです。

 では、心の病気にならないためのポイントは何かというと、
最初に述べた、心の病を引き起こしてしまう原因、
これを排除すること、につきますね。

「ライフイベント」。人生の大きなできごとは、誰しも避けることはできませんが、
一時期に大きなイベントをふたつ一緒にやらないっていうことが大事です。
部長に昇格したと同時に引っ越しをしたりすることは避けましょう。

対人ストレスや対物ストレスに関しては、欲望のコントロールが必要ですね。
欲をかかない、「足ることを知る」生き方です。
これは、全ての原因に関係してきますけどね。

過重な労働は、避けるにこしたことはありませんが、どうしようもないときは、
心の切り替え、頭の切り替えができるよう努力することですね。
仕事をこなしつつ、心は安らか。(口で言うは安し!)

人生観的な不満は、不満の処理の仕方を替えていくこと。切り替えること。
コペルニクス的転換に挑戦すること。

・・・とまあ、いろんな話をされましたが、
最も大切なポイントは、

    ものの見方考え方を変えてみる。
       努力して替えてみる。

    「パーソナリティーの改革」にあるようです。

    ・・・御釈迦様の教えと一緒ですね。  



  







コメント (6)
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