カイロじじいのまゃみゅむゅめも

カイロプラクティック施療で出くわす患者さんとのやり取りのあれこれ。

ブレイズメス1990

2011-02-20 18:53:01 | 本日の抜粋

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「ジュノ、さくらにも寿命があることを知っているか?」
がらりと変わった天城の質問に、世良は首を振る。天城は答える。
「ソメイヨシノの寿命は七十年。樹木だから樹命、かな。この長さ、何かに似てるだろう」
世良は首を捻る。天城は遠い水平線に視線を投げる。
「人の一生だ。私も、七十年で生涯を閉じる。さくら並木が続くのは、そこに次々とさくらが植え続けられるからだ。スリジエ・ハートセンター、それは母なる桜宮のさくら並木だ。完成すれば、寿命七十年のさくらたちが集い、春になれば毎年、見事な花を咲かせるだろう」
天城は世良をまっすぐに見つめる。
「ジュノは見たくないか?その見事なさくら並木を」
世良は力強くうなずいた。世良の中で、すべてがすとんと腑に落ちた。
天城は他の誰よりも医療に対し真摯だったのだ。そしてもしその姿勢が奇形に見えるとしたら、それはたぶん、そう見る周囲の人間の方が奇形なのだ。

海堂 尊 『ブレイズメス1990』より 講談社

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一気に読んでしまうという本の典型だ。

物語の展開が一段落したところで、最先端医療の最先端技術の持ち主天城の、今までの異端児めいた振る舞いの本心が明かされる。

明かされはするが、それはさくら並木に象徴させて語られる。

「ジュノは見たくないか?その見事なさくら並木を」

徳さん、思わずジュノになり切った気になって、思わずつぶやいた。

『そのさくら並木を徳さんも見たい』





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