ほとほと通信

89歳の母と二人暮らしの61歳男性の日記。老人ホームでケアマネジャーをしています。

親の気持ち

2012-10-30 | ほとほと日記
今朝の10時ちょうどに母と姉が私のマンションにやって来た。

この4月から、二人は月に一度訪れて掃除をしていく。
そしてその後、駅近くのレストランで三人で遅めの昼食をとるのが恒例になっている。

4月5月頃の私は、4週間の休職から職場復帰したばかりの不安の塊だった。一人で部屋にいると心細くて仕方がなかった。
だから母と姉が訪れてくれると、強張った気持ちが解凍されるようで心強く感じた。
それでもレストランの食事の途中から、翌日の仕事のことを思って気が塞いで胸苦しくなるのだった。

8月から職場の人間関係が良くなると、二人の来訪の意味合いが変わって来た。
元気になると部屋の掃除や整理をする余力も出てくる。
実際、今日も掃除は短めで終わり、その後の昼食会がメインみたいになった。

今朝二人が来る前、私は受診をしてホルモン補充療法を受けていた。
これを受けて数日間は、頭痛や頭がクラクラする副作用が出る。
今日も食事中に少しそうなって、母につっけんどんな物言いをしてしまった。

食事が終わると駅前で二人と別れて、私はスポーツクラブに走りに行った。
5時過ぎに帰って来ると、私はテレビのニュースを見ながら母が持ってきてくれた弁当を食べようと思った。

ニュースでは、2001年9月の同時多発テロで消防士の息子を亡くした68歳のアメリカ人男性が、昨年3月の大震災の被災地を訪れる…というルポを流していた。
そこで消防団員の息子を津波で喪った79歳の男性が紹介されていた。
その男性は「息子が一人になったら可哀想だから…」という理由で、遺影を額に入れ、先祖の写真と並べている。
79歳の男性の顔の輪郭や喋り方が私の父に似ていることもあって、私はルポに見入った。

そうしながら母が持ってきてくれた弁当を開いて、私は驚いた。
鮭の切身、焼肉、煮物、卵焼き、漬物…。食べられるわけないよ、というほどのおかずと、ぎっしり詰まった白米。

母にとっては、あい変わらず心配だらけの次男坊らしい。

不覚にも、私は嗚咽した。