天地わたるブログ

ほがらかに、おおらかに

ひこばえ句会熱狂

2018-10-14 05:15:59 | 俳句


きのうは秋冷という陽気であったが、月例ひこばえ句会は小生ふくめ11名88句の盛況で熱気を帯びた。
初参加が山﨑龍子さん(龍ヶ崎市)と木村定生さん(稲城市)。新しい人が来てくれるといままでの空気が変わる。ぼくはメンバーに活気を与える意味でしばしば外から人を招く。その方がレギュラーになることもある。空気も水も句会も流れがあってこそ清新の気が保たれるのである。

2ヶ月休んだZさんが見え元気だったのもうれしかった。
彼の「畳まんとすれば朝顔乱れ咲く」を小生は採らなかった。
「何を畳もうとしているのか見えない」と指摘すると彼は「それは朝顔を這わすネット」といい、(それ以外ないでしょう、わからないほうが理解力不足)という顔をして反駁した。それがうれしかった。
こういうとき先生のいうことを不承不承のむことはない。胸に疑問をかかえたまま引き下がらないほうがいいと小生は常々思っている。疑問、反論はことごとく吐き出すべし。ときにこちらが理解不足で気づかないこともある。疑問、反論を封じたとき書き手、読み手双方の成長が止まってしまうだろう。
Zさんは「ネットは省略したつもり」と立ち向かうので「それは省略と言わず横着という」と応じると、笑いながら論客の木村さんが「横着は言い過ぎですが天地さんのおっしゃる通りで、何をという物をきちん出すべきでしょう」と収拾してくれた。
疑問を出すことで論点が明確になる。それは当事者の問題だけでなく、参加している人全員の問題となって共有する。それが句会全体のレベルアップに通じる。
句会はプロレスと一緒でやったりやられたりを楽しさを交換する場である。それにより白熱し、その中に学びがある。

以下に参加者の句を紹介する。

支へ合ひ歩むふたりや赤とんぼ 木村弘子
  労り合う老夫婦が見える。湿っぽくなりそうなところを季語で明るく転じたのがいい。

乗り換へを待つバス停や秋茜 飯嶋玲人
  バスの乗換えは時間がかかる。その暇を充実させてくれた秋茜。

海近き木々を枯らして野分去る 押田善五郎
  塩害であろう。昨今の話題を取り込んで新しい野分とした意欲的な句。

菊の日や土を均してパイプ椅子 山﨑龍子
  菊の色、土の色、パイプ椅子の色と三つの質感がビビッドに感じられる。

稲架組むや四方の山の雲集ひ 遠藤保資
  稲架を祝うかのような雲の集まりがいい。稲架と雲の色の対比も。

子と我と同じ校歌や小鳥来る 山田空
  自分の出た学校へ子も入った。それを「同じ学校」といわなかったことに工夫と味がある。

手に取りて手折らず紫式部の実 久保直己
  手練れの人の句だとこのうまさはちょっと敬遠したくなるが、句歴の浅い直己さんなら技術を認める。

作務衣より細長き首落葉掻 長沼光子
  「細長き首」ということでうら若き女性を思いはっとした。ちょっとした意外性の妙。

鉦叩眠たくなりてなほも読む 木村定生
  よほどおもしろい本を読んでいるのだろう。季語「鉦叩」が抜群。ほかの虫ではこの面白さは出ない。

水草も実をつけてをり秋祭 中田芙美
  水草に実を見たのがポイント。地上のいろいろな実も見え、季語の離れ具合もいい。
 
嘴太のぽたぽた垂らす熟柿かな 天地わたる
  空を飛ぶ鴉はいいなあ。自由に好きなとき柿を突き保存など考えない。
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5 コメント

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踊り字について (柏谷恵子)
2018-10-14 07:42:51
いつも拝見させていただいております。
俳句を5年ほど細々と続けていますが、疑問に思いながら解決できないでいる「踊り字」についてご教示いただきたくコメントいたしました。

私の先生は「時々」「山々」、、、等 踊り字について「々」は使わないように 山山、時時と表記しなさいと言われます。
私は字面が美しいとは言えないのでそのような俳句は出さないようにしていますが、いまいち納得できません。
本当のところはどうなんでしょうか。
今日の<海近き木々・・・> を拝見したので天地先生のご意見をお聞きしたく思いました。
よろしくお願いします。
返信する
踊り字について (天地わたる)
2018-10-14 10:59:07
ぼくは次の句が大好きです。

春暁や人こそ知らね木々の雨 日野草城

柏谷さんから「木木」であったら困ると思い、歳時記をあたりました。するとやはり「木々」となっていました。
あなたがどこの結社に属して、どういう勉強をしてるかは知りませんが、ぼくの「鷹」は踊り字禁止など考えられません。
ぼくが付き合っている多くの結社でもそんな禁止をするところを知りません。
返信する
Unknown (あずき)
2018-10-14 11:29:29
早速お返事をいただきありがとうございます。

我が師は踊り字禁止なので、ずっと教えに疑問を持っていました。
天地先生のご意見で私も間違っていなかったと、必要なら「々」を使って良いのだと自信を持ちました。

ありがとうございました。
返信する
踊り字について (柏谷恵子)
2018-10-14 11:32:33
上記のコメント、うっかり名前を書き入れませんでした。
すみませんでした。
返信する
こんにちわ。 (サロマニヨンズ)
2018-10-14 15:03:09
いつも楽しく御ブログを拝見しております。ひこばえ句会はいい句会ですね。
指導の厳しさで有名だった俳人のお弟子さんが主宰する句会に私は通っていました。主宰はこちらが質問している途中で勝手に話を打ち切ったり、講評の時に人の話を聞かずお喋りをしているオバサン、清記用紙に殴り書きをする人がいて最近はほとんど顔を出していません。
それではこれからも楽しい記事を期待しています。
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