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春愁や夫のちんぽが入らない

2017-03-19 08:38:25 | 俳句・文芸
春愁や夫のちんぽが入らない

きのうの蘖句会に出た句である。目をしばたたいて句稿を見た。むろん点は入らなかったが小生は全句講評をしなくてはならぬ。その際、句を読まねばならぬ。
口にしたくない言葉である。
この句のとなりに、
湯上りの気力の多少春の星、という句があった。「多少じゃあ腰くだけ、男性の部位を詠った句があるからこれも部位を出したらどうか、<湯上りの気力が眉に春の星>みたいな感じに」ということでゲテモノ俳句のほうも処理した。これ、燕返しの剣である。ははは。
春愁は理由の判然としない春のアンニュイ、心の翳りがその本意である。したがって、性交不能みたいな立派な理由があるケースにつける季語ではない。それは出した人もわかってはいただろう。

きのう初参加した74歳男性がこの句の主であった。
センセイ面している小生の力量ないし懐の深さを測ったのではなかろうか。元気がよくて悪戯好きに見えた。男がいつまでも少年っぽいのはいい。
彼がいうところでは、この題名の本が最近出され話題になっているとか。




こだま著『夫のちんぽが入らない』
扶桑社刊 2017年1月18日発売  
定価:1404円(本体1300円+税)


ネットの内容紹介をみると、

“夫のちんぽが入らない"衝撃の実話――彼女の生きてきたその道が物語になる。

2014年5月に開催された「文学フリマ」では、同人誌『なし水』を求める人々が異例の大行列を成し、同書は即完売。その中に収録され、大反響を呼んだのが主婦こだまの自伝『夫のちんぽが入らない』だ。

同じ大学に通う自由奔放な青年と交際を始めた18歳の「私」(こだま)。初めて体を重ねようとしたある夜、事件は起きた。彼の性器が全く入らなかったのだ。その後も二人は「入らない」一方で精神的な結びつきを強くしていき、結婚。しかし「いつか入る」という願いは叶わぬまま、「私」はさらなる悲劇の渦に飲み込まれていく……。

交際してから約20年、「入らない」女性がこれまでの自分と向き合い、ドライかつユーモア溢れる筆致で綴った“愛と堕落"の半生。“衝撃の実話"が大幅加筆修正のうえ、完全版としてついに書籍化!
とのこと。

鳥取のとある書店員は「絶対に、タイトルは変えずに発売してください」、mameko0v0さんは「声に出して読みたい日本語2017上半期ベストワンにランクインしそうな勢いのタイトル」とおっしゃるが、小生はいやだ。

蒲団の中のじゃれあいならいいが表向きにはっきりいう勇気はない。表紙に題名をはっきり打ち出していないところに装幀家の若干の配慮を感じる。
この本、よほど暇なら読んでもいいが……。

句会には実に多くの世の中の情報が寄せられる。ゲテモノと思ってもはじめから拒否せず分け入ってゆくと得るものがある。とんでもない句が出て楽しい句会であった。
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