164328 郵政民営化の先にある恐怖のシナリオ~新会社のリスク管理はどうなっているのか
猛獣王S ( 30代 東京 営業 ) 07/10/28 PM10
『郵政民営化の先にある恐怖のシナリオ』(森永卓郎)リンクより転載します。
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●新会社のリスク管理はどうなっているのか
~前略~
民営化の先には、さらに恐ろしいシナリオが待っている。
現在、ゆうちょ銀行、かんぽ生命の資金は、その3分の2以上が国債(財投債を含む)で運用されている。そこで、外資系の株主が次のように提案してきたらどうするか。
「なぜ低金利の日本国債で運用するのか。金利の高い米国債を買うべきだ」
現在、日本国債の金利は1.5%に過ぎないが、米国債の金利は4.5%と圧倒的に高い。しかも、ムーディーズ格付けは日本国債がシングルAであるのに対して、米国債はトリプルAである。「金利が3倍もつき、信用度ははるかに高い。なぜ買わないのか」と理詰めで迫られたとき、経営陣がそれを排除するのは極めて難しいのではないか。
もちろん、現時点での金利と信用度を見れば米国債を買ったほうが得だろう。しかし、わたしのみならず、現在の米ドルをバブルだと見ている人は少なくない。このバブルが崩壊したら、どうなるだろうか。米国債の価格は大幅に下落し、同時にドルも暴落するから、米国債の価値は劇的に低下する。短期間で3割以上低下する可能性は十分にある。
そのとき、もし、ゆうちょ銀行やかんぽ生命が、資金の大半を米国債で運用していたらどうなるか。その影響は半端ではない。
預金保険機構によれば、もしゆうちょ銀行が破綻しても、他の銀行と同じく1000万円とその利子は保護すると明言している。もともと郵便貯金は1000万円までしか預けられなかったのだから、その点では問題ない。
しかし、ゆうちょ銀行の預金高というのは、3大メガバンクを足したよりも多いことを忘れてはならない。本当に万が一、ゆうちょ銀行が経営破綻したら、預金保険機構が支払いに耐えられるかどうか、わたしは疑問に思わざるを得ない。
かんぽ生命が破綻したときの影響はもっと大きい。生命保険会社が破綻すると、過去にさかのぼって予定利率が引き下げられるからだ。となると、年金をもらえると期待して積み立ててきた人が、実際に手にできる金額は、予測の3分の2から半分程度に減ってしまう恐れが十分にあるのだ。実際に、これまでの生保の破綻では、そうした事態が発生している。
ドルが暴落する可能性は、長期でみれば100%だとわたしは思っている。新しい経営者がどれだけ米国債の運用を認めるかは分からないが、そうしたリスクを念頭に置いているかどうか、わたしは心配なのである。
そして、ゆうちょ銀行やかんぼ生命の株を売却することは、国民の大切な資産をそうしたリスクにさらすことになるのだが、政府はこれまで国民に対してそのことを一言も説明していないのだ。
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猛獣王S ( 30代 東京 営業 ) 07/10/28 PM10
『郵政民営化の先にある恐怖のシナリオ』(森永卓郎)リンクより転載します。
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●新会社のリスク管理はどうなっているのか
~前略~
民営化の先には、さらに恐ろしいシナリオが待っている。
現在、ゆうちょ銀行、かんぽ生命の資金は、その3分の2以上が国債(財投債を含む)で運用されている。そこで、外資系の株主が次のように提案してきたらどうするか。
「なぜ低金利の日本国債で運用するのか。金利の高い米国債を買うべきだ」
現在、日本国債の金利は1.5%に過ぎないが、米国債の金利は4.5%と圧倒的に高い。しかも、ムーディーズ格付けは日本国債がシングルAであるのに対して、米国債はトリプルAである。「金利が3倍もつき、信用度ははるかに高い。なぜ買わないのか」と理詰めで迫られたとき、経営陣がそれを排除するのは極めて難しいのではないか。
もちろん、現時点での金利と信用度を見れば米国債を買ったほうが得だろう。しかし、わたしのみならず、現在の米ドルをバブルだと見ている人は少なくない。このバブルが崩壊したら、どうなるだろうか。米国債の価格は大幅に下落し、同時にドルも暴落するから、米国債の価値は劇的に低下する。短期間で3割以上低下する可能性は十分にある。
そのとき、もし、ゆうちょ銀行やかんぽ生命が、資金の大半を米国債で運用していたらどうなるか。その影響は半端ではない。
預金保険機構によれば、もしゆうちょ銀行が破綻しても、他の銀行と同じく1000万円とその利子は保護すると明言している。もともと郵便貯金は1000万円までしか預けられなかったのだから、その点では問題ない。
しかし、ゆうちょ銀行の預金高というのは、3大メガバンクを足したよりも多いことを忘れてはならない。本当に万が一、ゆうちょ銀行が経営破綻したら、預金保険機構が支払いに耐えられるかどうか、わたしは疑問に思わざるを得ない。
かんぽ生命が破綻したときの影響はもっと大きい。生命保険会社が破綻すると、過去にさかのぼって予定利率が引き下げられるからだ。となると、年金をもらえると期待して積み立ててきた人が、実際に手にできる金額は、予測の3分の2から半分程度に減ってしまう恐れが十分にあるのだ。実際に、これまでの生保の破綻では、そうした事態が発生している。
ドルが暴落する可能性は、長期でみれば100%だとわたしは思っている。新しい経営者がどれだけ米国債の運用を認めるかは分からないが、そうしたリスクを念頭に置いているかどうか、わたしは心配なのである。
そして、ゆうちょ銀行やかんぼ生命の株を売却することは、国民の大切な資産をそうしたリスクにさらすことになるのだが、政府はこれまで国民に対してそのことを一言も説明していないのだ。
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