173279 米国投資銀行を救済している商業銀行も実体は危険水域であり共倒れ必至
猛獣王S ( 30代 営業 ) 08/03/31 AM08
『ベアー社が行っていたデリバティブ取引の総額は、約1,000兆円にも及ぶ』(株式日記と経済展望)より転載します。
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~前略~
今回買収されることで話題になったBear StearnsやLehman Brothersなどは投資銀行。買収するMorgan ChaseやCitigroup、Bank of Americaなどは商業銀行である。投資銀行は株や金融商品等の金融取引と不動産関連債権取引の資金供給窓口であり、商業銀行は軍産複合体をはじめ実体のある産業向けの資金供給窓口である。投資銀行の資産は市場によって評価される時価会計が原則であるが、商業銀行は固定金利の預金債権のように市場の変化に関わりない債権が中心であるという理由や、実体産業に大きな影響力を持つことから一定の資産に対しては時価会計を免れ、また一定の債券に対しては非開示の特権(ブラックボックス)が与えられている。不況時以外でFRBが資金供給する相手は商業銀行であって投資銀行ではない。だから今日のように投資銀行が危機状態にあるときFRBの資金は商業銀行に流れて投資銀行の買収や統合のために使われる。私は、かつてサブプライムローン問題が発生したとき、これがきっかけでアメリカの銀行の再編成が起きると述べたが、まさに今それが始まったことになる。今後商業銀行が投資銀行を傘下に収めるか統合することでアメリカの金融界が一本化されることになる。
ところが時価会計に縛られずブラックボックスの特権を持つ上にワシントン(政治)に庇護されている商業銀行に危機が訪れようとしている。Citigroupの2005年12月から2007年12月までの四半期ごとの会計報告によると、レバレッジ取引額の総資産に対する倍率が12.3から18.2倍に跳ね上がっている。市場に左右されない真水の資産(Tangible equity)に対する倍率はなんと41.6倍になっている。総資産(Total equity)に対する真水の資産(Tangible equity)はわずか2.3%。今日のマーケット状況ではCitigroupが手持ち債券を売ってレバレッジのかかったリスク債権を減らすことは難しい。アメリカの実体産業への資金供給窓口である頼みの商業銀行も今や危険水域に入り、融資能力が落ち込み始めた。今後大手商業銀行のブラックボックスの中身が表ざたになってくると、ドル安を手がかりにアメリカ経済の牽引車になろうとしている製造業(兵器産業等)への資金供給問題が起きる。さらに保守主義になりつつある黒字国からの資金流入の激減でアメリカは赤字補填のためさらにドルと債券発行を迫られる。
~中略~
(私のコメント)
今アメリカの金融中枢で何が起きているのか、部外者にはまったくわからない。当事者たちも全くわからずベアースターンズ社の幹部ですら破綻を知らなかったくらいだ。前日60ドルの株価が2ドルになっていた。財務省もFRBもまだ全貌はつかめていないだろう。特に投資銀行の中身は全く分からない。マスコミもわからないから報道しない。
「株式日記」ではサブプライム問題は1年以上も前から警鐘を鳴らしていましたが、アメリカのバブル崩壊がいよいよやって来たということだ。ベアー社がJPモルガンに吸収合併されましたが、これは潰すに潰せない事情があって、1000兆円ものデリバティブの取引残高があったからだ。ベアー社だけでこれだけの残高だから清算するとなるとアメリカの金融が大混乱する。
アメリカの投資ファンドは利益を最大化するためにレバレッジを効かせた投資をしているから、損失もそれだけ大きな金額になる。しかしデリバティブはいわば金融のブラックボックスだから透明性が全くない。当事者しか分からないからだ。年中売買されている株式なら時価もわかりやすいが、ほとんど売買されない債券などは時価で評価の仕様がない。
土地や建物などの実物資産なら売買されなくとも算定は可能ですが、売却したくても買い手がいない債券は只の紙切れに等しい。利回りが良いことで買われてきたのですが、元本が毀損されて不透明なものは買い手がつかない。だから債券市場では国債が買われていますが、米国債が格付けで引き下げにでもなれば巨額の評価損が出る。
アメリカは金利の引き下げで実質金利がゼロとなりドルのまま持っていたのでは金利が稼げない。だから世界からの投資も集まらなくなりドルは外に逃げて行く。アメリカの投資銀行もキャッシュを増やす為に海外の投資を投売りして上海の株式市場は暴落している。当面は出て行くドルと返ってくるドルとが均衡してドル高も一時的にはあるだろう。
日米の金利差が縮小して円も逆円キャリーで高くなるだろう。中東の産油国もドルを手放してユーロや円を買って投資に回ってくるだろう。アメリカが当面ダメとなれば安心して投資が出来るのがEUか日本ということになる。
~後略~
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猛獣王S ( 30代 営業 ) 08/03/31 AM08
『ベアー社が行っていたデリバティブ取引の総額は、約1,000兆円にも及ぶ』(株式日記と経済展望)より転載します。
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~前略~
今回買収されることで話題になったBear StearnsやLehman Brothersなどは投資銀行。買収するMorgan ChaseやCitigroup、Bank of Americaなどは商業銀行である。投資銀行は株や金融商品等の金融取引と不動産関連債権取引の資金供給窓口であり、商業銀行は軍産複合体をはじめ実体のある産業向けの資金供給窓口である。投資銀行の資産は市場によって評価される時価会計が原則であるが、商業銀行は固定金利の預金債権のように市場の変化に関わりない債権が中心であるという理由や、実体産業に大きな影響力を持つことから一定の資産に対しては時価会計を免れ、また一定の債券に対しては非開示の特権(ブラックボックス)が与えられている。不況時以外でFRBが資金供給する相手は商業銀行であって投資銀行ではない。だから今日のように投資銀行が危機状態にあるときFRBの資金は商業銀行に流れて投資銀行の買収や統合のために使われる。私は、かつてサブプライムローン問題が発生したとき、これがきっかけでアメリカの銀行の再編成が起きると述べたが、まさに今それが始まったことになる。今後商業銀行が投資銀行を傘下に収めるか統合することでアメリカの金融界が一本化されることになる。
ところが時価会計に縛られずブラックボックスの特権を持つ上にワシントン(政治)に庇護されている商業銀行に危機が訪れようとしている。Citigroupの2005年12月から2007年12月までの四半期ごとの会計報告によると、レバレッジ取引額の総資産に対する倍率が12.3から18.2倍に跳ね上がっている。市場に左右されない真水の資産(Tangible equity)に対する倍率はなんと41.6倍になっている。総資産(Total equity)に対する真水の資産(Tangible equity)はわずか2.3%。今日のマーケット状況ではCitigroupが手持ち債券を売ってレバレッジのかかったリスク債権を減らすことは難しい。アメリカの実体産業への資金供給窓口である頼みの商業銀行も今や危険水域に入り、融資能力が落ち込み始めた。今後大手商業銀行のブラックボックスの中身が表ざたになってくると、ドル安を手がかりにアメリカ経済の牽引車になろうとしている製造業(兵器産業等)への資金供給問題が起きる。さらに保守主義になりつつある黒字国からの資金流入の激減でアメリカは赤字補填のためさらにドルと債券発行を迫られる。
~中略~
(私のコメント)
今アメリカの金融中枢で何が起きているのか、部外者にはまったくわからない。当事者たちも全くわからずベアースターンズ社の幹部ですら破綻を知らなかったくらいだ。前日60ドルの株価が2ドルになっていた。財務省もFRBもまだ全貌はつかめていないだろう。特に投資銀行の中身は全く分からない。マスコミもわからないから報道しない。
「株式日記」ではサブプライム問題は1年以上も前から警鐘を鳴らしていましたが、アメリカのバブル崩壊がいよいよやって来たということだ。ベアー社がJPモルガンに吸収合併されましたが、これは潰すに潰せない事情があって、1000兆円ものデリバティブの取引残高があったからだ。ベアー社だけでこれだけの残高だから清算するとなるとアメリカの金融が大混乱する。
アメリカの投資ファンドは利益を最大化するためにレバレッジを効かせた投資をしているから、損失もそれだけ大きな金額になる。しかしデリバティブはいわば金融のブラックボックスだから透明性が全くない。当事者しか分からないからだ。年中売買されている株式なら時価もわかりやすいが、ほとんど売買されない債券などは時価で評価の仕様がない。
土地や建物などの実物資産なら売買されなくとも算定は可能ですが、売却したくても買い手がいない債券は只の紙切れに等しい。利回りが良いことで買われてきたのですが、元本が毀損されて不透明なものは買い手がつかない。だから債券市場では国債が買われていますが、米国債が格付けで引き下げにでもなれば巨額の評価損が出る。
アメリカは金利の引き下げで実質金利がゼロとなりドルのまま持っていたのでは金利が稼げない。だから世界からの投資も集まらなくなりドルは外に逃げて行く。アメリカの投資銀行もキャッシュを増やす為に海外の投資を投売りして上海の株式市場は暴落している。当面は出て行くドルと返ってくるドルとが均衡してドル高も一時的にはあるだろう。
日米の金利差が縮小して円も逆円キャリーで高くなるだろう。中東の産油国もドルを手放してユーロや円を買って投資に回ってくるだろう。アメリカが当面ダメとなれば安心して投資が出来るのがEUか日本ということになる。
~後略~
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