『足並み乱れるユーロ加盟国』(ロンドンFX)リンクより転載します。 ---------------------------------------------------------------- ギリシャ、アイルランドからの「感染」が拡大してきました。今週に入りポルトガルの名前が出てきたと思ったら、もう既にスペインの名前も囁かれています。
*欧州の団結
市場参加者達は欧州が一致団結して「危機」を乗り切るのか?南北で2極化するのか?それとも完全に崩壊してしまうのか?それを問い続けているのだと思います。毎朝起きると新たな「火種」が起こっており、ますますユーロに対する投資意欲がそがれている事でしょう。今までは(言い方が悪いですが)ユーロ加盟国の’弱いものいじめ’という見方も出来ましたが、ここに来て本当の意味でのデフォルト危機や加盟国の離脱、又はユーロ自体の崩壊も少しづつでしょうが視野に入ってきたように感じているのは私だけでしょうか?
独ウエバー連銀総裁/ECB理事が今週に入り総額7,500億ユーロという枠で設定された「EU/IMFで創立した欧州金融安定ファシリティー EFSF」を、場合によっては1,400億ユーロの上乗せも可能であると発言し、市場の安心を買おうとしました。しかし市場はこのファシリティーがどれだけ増額されようが納得なんてしません。欧州危機に対する対応の仕方に少しでも不透明さが残っている限り、ユーロに対する不信感は残ると思いますし、それが更なる「感染国」相手探しに繋がると思っています。
一部では「ユーロ加盟国の2極化」の報道がされており、これは独/仏/蘭/オーストリア/フィンランドの「優等生加盟国」に対し、それ以外の残りの「落ちこぼれ加盟国」という構図です。欧州政府高官や中銀関係者は、優等生組が抱く落ちこぼれ組に対する怒りをなだめるのと平行して、落ちこぼれ組に対しては’欧州はお前達を見捨てるような事はしないからもっと「やる気」を出し財政赤字削減に取り組め!’と背中を押さなければなりません。
*メルケル首相の提案内容に対する危険度
メルケル発言に関して新たな不安材料となっているのが「欧州国債への投資家」内訳です。欧州だけに限らず米債も同様ですが、これら国債の買い手として真っ先に頭に浮かぶのは年金運用者、生保でしょう。しかしそれと同じくらい大事な運用者として’世界中の中央銀行、SWF’などがあります。特に中央銀行は過去ドル一辺倒であった外準の分散投資に積極的になっている現在、ユーロはドルに次ぐ「第2の基軸通貨」としての役割分担を担う立場に置かれています。それだけ重要なユーロ、その国債投資に「待った!」が掛けられることになる危険性が出てくるかもしれないという事は、単純に欧州国債だけの問題に留まらずユーロ圏、そして単一通貨:ユーロの信用性にも赤信号が灯ることになりかねません
*欧州圏全体の「ドイツ化」は いかなるものか?
今回の危機を巡り、ここからのドイツの役割についても考える時期が来ていると思います。このブログでもドイツをずっと「優等生」と表現していますが、果たしてユーロ加盟国のほとんどがドイツのような優等生と化したらどうなるのでしょうか?(そんな事絶対に無理なのは判っていますが....)
ユーロ圏全体が黒字で万々歳という事は喜ばしい事かもしれませんが、これだけ大きい圏内全体が輸出依存型経済となり大切な内需面での需要が欠けている経済体制が出来上がってしまった場合、世界経済にとってある意味恐怖になるとは考えられないでしょうか?
いずれにしても今のところはっきりしている事は、ユーロ加盟国間の経済/財政政策の均衡が破れたことにより、政治統合に対する動きも緩みかかってきているように見え始めてきました。ギリシャ危機の時には加盟国全体が救済支援策を発表し「団結」を強調しましたが、今回は各国バラバラの発言が目立ちます。クリスマス休暇が本格化する前の12月中旬くらいまでに何らかの「協調姿勢」を市場に示さなければ来年年明け早々新たなユーロ攻撃が開始されると私は思っています。 ----------------------------------------------------------------
|