
『ホンシメジ先生となぞのテングバナキン!』コマヤスカン著
ある日、森で診療所を営むホンシメジ先生のもとに、大量の患者が押しかける。身体からへんな白いキノコが生えてきたというのだ。
これは一大事。奇病におどろく先生のもとに、すかさず真犯人、ベニテング怪人が姿をあらわす。
「あなたにこのテングバナキンがなおせますかな ヒャッ、ヒャッ、ヒャー」
ホンシメジ先生は、さっそく問題の解決にむけて思案をめぐらす・・・!
「先生、大変です」
そう叫びながら飛びこんでくるナメコ少年から始まるストーリーは、いにしえの少年探偵団をなぞるような昭和テイストが満開。
往時の紙芝居小屋が子供の歓声で盛り上がりそうな展開に、私のようなホコリをかぶったオジサンは、肺が熱くなるような瘴気、じゃなかった、胸が熱くなるような作家の心意気を感じざるをえない。
登場人物のキノコたちもなかなか本物志向だ。表紙裏に登場人物紹介があるのだが、「ショウゲンジ和尚」「アミガサタケ星人」など、職業の設定がいちいちハマっている。
そもそも「シメジ先生」ではなく「ホンシメジ先生」であることに作者の真骨頂があると言えよう。
作者のコマヤスカンは三重県出身の絵本作家。四日市には「メリーゴーランド」という絵本の店があるのだが、そこで開かれている「絵本塾」の出身者だそうな。なんと、この塾の出身者にはリアルなキノコキャラクターで話題を呼んだ『ほしじいたけほしばあたけ』シリーズの石川基子もいる。
このキノコ貧困の地、三重でキノコ絵本作家が生まれるのはどういったことか??
頭脳明晰なホンシメジ先生にはぜひこの謎も解いてほしいものだ。
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