月刊 きのこ人

【ゲッカン・キノコビト】キノコ栽培しながらキノコ撮影を趣味とする、きのこ人のキノコな日常

いぬせんぼんたけ

2018-10-29 23:34:18 | キノコ
キノコが少なくなる季節になった。

今年はあまりキノコを探す機会がなかったから、実感はあまりない。

でもね、今ごろ気づいたのよ・・・撮るだけ撮って放置されている写真がめっちゃ多いことに。
この季節、菌欠で苦しんでいるキノコ病の末期患者もいるかもしれないから、季節はずれでも載せていくことにしよう。

時は6月11日までさかのぼる(さかのぼり過ぎ)

切り株の根元にこじんまりと生えていたイヌセンボンタケ。
ザッツ普通種と言っていいレベルのキノコなのに、ちゃんとした写真がいまだに撮れていない。

こんなセコい写真じゃなくて、1000本と言わず、10000本くらい生えてるヤツを撮りたいのよ!マクロレンズとかじゃなく広角レンズで!「わー、やべー!画面に収まりきらん!」なんて独り言をつぶやきながら!

信じられないことに食用可と言われている。まず毒性がどうこうよりも、これをなんとかできる料理法があるのなら教えて欲しい。かき揚げとか?それともフリカケ?(笑)




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「めっちゃかわいいきのこ展」に行ってきた!

2018-10-27 01:01:09 | イベント
滋賀の能登川博物館で開かれている『めっちゃかわいいきのこ展』に行ってきた!

大阪で開催されていた『きのこ!キノコ!木の子!』展へは予定が合わず行けずじまいだったのだが、こちらには何が何でも行かねばなるまい・・・!
だって自分の写真を展示してるんだもんね~

さて、ほとんどの人には、まず能登川という地名がまず馴染みがないであろう。大ざっぱに言ってしまうと、滋賀県のド真ん中に位置している。滋賀県の真ん中って陸地だったんや・・・

我が四日市からも名古屋からも京都からもややつらい距離・・・しかし、滋賀といえば菌類研究の大家・本郷次雄先生の地元である。いまでは「キノコ文化空白域」の感が否めない滋賀ではあるが、きっと多くの隠れキノコファンが潜伏しているに違いない。そういった人材を発掘する目的もあり、照準を子どもに合わせつつ、あわよくば、大人にも楽しめます!的な、感覚的に親しみやすい展示にするのが今回のコンセプトだ。


能登川博物館。意外と大きくて新しい。図書館と併設されているので、ふらっと訪れる人や子連れの人が多いのが特徴だ。


展示会場入り口。入場は無料だぜい!
入り口前にはなんと、3メートル四方もある巨大ベニテン写真がお出迎え。特製のかぶりもので記念撮影もできるぞ~!


キノコの写真展示は「かわいい」をテーマに選んだ34作品(とか言いつつカエンタケとかいるけど)。
オールA3サイズなので迫力ありますぞ!
解説文は地域学芸員の方に手伝っていただきました~。博物館らしからぬ、ゆるーい感じの文章の中に、なにげなく専門的な内容と微量の毒素がふくまれており、私の写真との相性も良いようです。


奥の間。なんだそのキツネとタヌキのそろい踏みは!ぼんぼりが拍車をかけて雰囲気を和風に(笑)

『キノコって何?』『キノコの名前由来』『きのこ雑学』など
キノコとは何か?という素朴だけど難しい疑問に、できるだけやさしく説明しようという、ちょっと勉強したい人向けの部屋。
斬新なことに、展示に四コマ漫画が使われている。そしてその衝撃的なクオリティたるや!(「高い」とは言っていない)


その他にも、塗り絵が楽しめて子どもも喜ぶ『キノコワークショップ』や、たくさんの写真の中からキノコを探し当てる『キノコさがし』、キノコ図書紹介やキノコ標本の展示などもあり。
大阪や京都のキノコ展のようなアカデミックな重厚さはなくとも、軽さで勝負する『めっちゃかわいいきのこ展』、来て損はさせません。ぜひとも来てくださいね!

会期は11月11日までと残りわずか。月曜火曜が定休日なのでお気をつけあれ~!



別の紹介記事『ミケ猫の菌星探査機




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だいだいうらべにたけ

2018-10-23 23:23:27 | キノコ
だいだい色の見慣れないキノコを見かけて「なんだこりゃー」と写真だけは撮ったものの、なんだかよくわからずに放置していたのだが、先日偶然にネット上で見かけた。

ダイダイウラベニタケという名前で、イッポンシメジの仲間らしい。こんな小さくてひょろ長い橙色のキノコ、とてもイッポンシメジにゃ見えないけどなぁ。でも他の何かに見えるかって言ったら何にも見えない。
恐るべしイッポンシメジ科、サイズや色・形が想像以上にバラエティに富んでいるようだ。

傘は直径1センチ前後、橙色で、中央がすこしくぼみ、ふちには条線が見える。ヒダは淡い橙色、成熟するとピンク色を帯びるんだろうが、かなりよく観察しないとわかりそうもない。柄は透明感のあるだいだい色、長さ5センチか、もうちょっと長いくらい。古くなるとよじれてコケるのが多く、かっこう悪い。

分布が広く、思いのほか普通種らしいんだけど、手元のどの図鑑にも載ってないんだなー。

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おおわらいたけ

2018-10-18 00:36:35 | キノコ
オオワライタケの大株が見つかった!と菌友から聞いた。

オオワライタケは立ち枯れ木の根元に生えたりする毒キノコ。ぜんぜん珍しくはないけど、会えても小さかったり撮りづらかったりで、なかなか撮影機会にめぐまれず。大株となると、もう15年も前に出会ったっきりになる。ぜひ撮りたいキノコだ。これは明日にでも撮りに行かねばなるまい・・・といっても仕事の日なので、狙えるのは早朝しかない。

当日、起きてみるとあいにくの雨。撮影的にもかなーり厳しいコンディションだが強行することにした。

現地に到着。実はオオワライタケがその公園のどこにあるのかがよくわからなかったので、おそらく菌友が歩いたであろうルートをたどることにする。でも、私のキノコ勘から推測するに、たぶんあそこだ。時間が少ないな・・・と思って足を速めようとしたら、いきなりあった。予想してた場所とぜんぜんちがう(汗)
でも早く見つかったから良しとしよう。

オオワライタケは太いコナラの足元に生えていた。このコナラはよく見知っている木だ。なにせ、これまでにテングタケやらキニガイグチやらヒロヒダタケやら謎イグチやら、足元にいろんなキノコが観察できた木だったから。ヒロヒダタケが生えた時点でやばそうだなぁとは思ってたけど、オオワライタケが生えてきたとあったら、もう本格的にダメだろうな。南無南無・・・(-人-)

さっそくカメラを構えたが、雨が思ったよりひどい。傘をさしながらの撮影は厳しい。しかも暗いから、ハレーションしまくりだ。禁断のストロボまで使ってどうにかこうにか撮影して、ほうほうのていで逃げ帰った。

車に飛び込み、やれやれと思いながら運転していると、足元に覚えのあるかゆみを感じた。ちぃー、やられた。ヤマビルだ。コイツら雨の日は元気なんだよなー(-_-;)

とんだお土産付きのキノコ観察だった。笑うどころじゃあない。



ちなみに、オオワライタケとは別にワライタケというのも存在するけど、これとは似ても似つかない小さなキノコ。いずれも幻覚を起こすといわれているが、特にオオワライタケではそれがどの成分によるものかはっきりしていないし、症例報告も少ないので情報の信頼度はイマイチだ。







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キノコ界に衝撃!「バカマツタケの完全人工栽培に成功」を検証する

2018-10-11 07:01:07 | キノコ栽培
先日、多木化学株式会社が企業広報で衝撃的な発表をした。

『バカマツタケの完全人工栽培に成功 』

バカマツタケはマツタケに近縁のキノコである。松茸とは発生時期がずれていること、松じゃなくて広葉樹の下に生えることから「おかしなマツタケ」「ちょっと狂ったマツタケ」とされて、いつしか『バカマツタケ』などという残念な名前をつけられてしまったが、香りは本家マツタケをしのぐとも言われている。最近はマツタケの姿を見つけるのが難しくなったが、バカマツタケも珍しいキノコであり、私もまだ見たことがない。

そのバカマツタケの完全人工栽培に成功したというのである。

ここで注目すべきポイントをいくつかあげよう。
①バカマツタケは菌根菌である
バカマツタケは菌根菌、生きた木の根にとりついて樹木を助けつつ栄養をもらうキノコである。菌根菌はデリケートで栽培が非常に難しい。まずキノコを作るどころか、シャーレで菌糸を培養する段階からうまくいかないことも多く、かつて菌根菌の完全人工栽培は不可能とすら言われていた。
実際これまでも、無菌で育てた樹木の苗木に菌根菌を植えつけて植樹するタイプの不完全な人工栽培にはたくさんの前例があるものの、今回のように完全に人工的環境で育てたという例は非常に少ない。特にマツタケ近縁種としては初めてで、これは定説をくつがえす画期的な発見だ。

②バカマツタケの子実体(キノコ)を発生させるシグナルを発見した
マツタケは過去数十年にわたり栽培が試みられてきたが、ほとんどうまくいかなかった。栽培がうまくいかない最も大きな原因は「菌糸が培養できたのにキノコを作れない」ことにある。

ふつうの栽培キノコ(腐朽菌)は、ある程度の湿度や光の条件を満たしたえうえで〇〇℃を下回るとキノコが発生する、などといった簡単な条件でキノコを作るのに対し、マツタケはそんな簡単にはキノコを作ってくれない。
おそらく、温度・湿度などの条件にくわえて微量な化学物質が発生の引き金であったりするんだろうが、まだよくわかっていない。

しかし、今回のバカマツタケ報告ではそのシグナルを見つけたらしいことが書かれている。これまでに発生した数が14本ということで、まだ不完全かもしれないが、大きな壁を突破できたのは間違いない。

③菌糸の培養スピードが早い
マツタケ栽培の大きな障壁となっていたのがもうひとつある。菌糸の培養スピードが非常に遅いことである。
培養のスピードが遅いと研究がちっとも進まないのはまあ我慢するとしても、培養管理中の維持費(特に光熱費)が余分にかさんでしまうのは痛い。仮に栽培に成功したとしても、生産コストが高くついてしまうからだ。さらに、培養期間が長い分、培養施設もより広いものが必要になる。せっかく作った人工栽培マツタケが天然モノと同じ値段だったら、ちゃんと売れるだろうか?

これまでの研究で、マツタケでもさまざまな添加物をくわえることである程度のスピードアップをはかれることがわかったようだが、今回のバカマツタケは培養期間が3カ月とのこと。なんとシイタケと同じ速さである。このスピードで回転できたらかなりの効率生産が可能だ。

④東証一部上場の企業広報における発表である
今回の発表は企業の広報による。新聞や雑誌などでの発表ではない。話をふくらませたり、ねじ曲げたりすることもあるマスコミを抜きにした一次情報なので信頼がおける。
ましてや年商300憶円の、しかも上場企業である。投資家に対して責任を持たなければならない以上、そうそう出来もしない大風呂敷を広げるわけにはいかない。

ちなみに多木化学の株式は今回の発表後に買いが殺到、3日連続で値がつかなかった。株価は発表前の5150円から10月11日時点で9230円、たった4営業日で1.8倍にまで急騰した。



◎気になる今後の展開
「キノコの発生シグナル」と「培養スピード」という大きな壁をすでに突破している時点で、この研究はかなり有望と言っていい。少なくともこれまでの研究とは段違いの成果だ。数年後の食卓に栽培マツタケが上がることは充分にありうる。

さて、今後気になるのは

多木化学がどのように事業化するつもりなのか?

②バカマツタケの生態について

③他の菌根菌への応用が可能か?



については、肥料・化学品メーカーである多木化学が、キノコ生産・販売のノウハウを持っていないのが懸念される。
まず生産ラインを確立できるか、それができたとしてどれだけ生産するのか、どんな価格で売るのか。どんな形態で売るのか。
いくらマツタケが日本のキノコ界の横綱だといっても、これを収益に結びつけるまでには多くの難題がある。
それをどのようにクリアしていくのか?とても興味深い。

今回の発表から、バカマツタケが腐生性(木材などの有機物を分解して栄養にする性質)を持っていた、と考えていいように思うのだが、実際はどうなんだろうか。

マツタケ研究の権威・小川眞は、バカマツタケに多糖類を分解する力はなく、扱いも難しい、栽培はあまり有望ではない、としていた。
ただ、系統によって性質が違うともあり、個体差が大きいのかもしれない。
このあたりのバカマツ生態の解明は、キノコフリークとしてとても気になっている。今後の研究に期待したい。

これも気になるところだ。たとえば菌根菌であるホンシメジは、㈱タカラバイオにより腐生性の強い系統が発見されていて、すでに商品化している。他にも栽培可能な菌根菌があるんじゃなかろうか。
ただ、研究する価値のあるほど儲かるキノコの種類はそうそうない。ヨーロッパでスター的存在のポルチーニ(ヤマドリタケ)・トリュフ・モレル(アミガサタケ)、あとは個性の強いコウタケあたりか。


まだまだクリアしなきゃいけないことは山積みかもしれない。それでも、できたら500円くらいでバカマツタケが買える日が来たらいいなぁ、と切に願っている。






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