月刊 きのこ人

【ゲッカン・キノコビト】キノコ栽培しながらキノコ撮影を趣味とする、きのこ人のキノコな日常

哀・キノコ人

2010-11-27 23:17:11 | キノコ創作
ばらばらエノキのセレナーデ   作:鳥居コデルマ

物心つく前から 同じ時を過ごしたね
仲間と傘を並べ ひとつビンの上で
でも君はひとり違った いつも輝いてた
すくなくとも僕の眼には

そのまぶしい日々も今日が最後
僕たちは今 離ればなれてひとつ鍋の中
それでも僕は感じる 今こうして
ふたりの煮汁が かさなりあうのを

                  
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『日本の毒きのこ』

2010-11-17 11:19:22 | キノコ本
『日本の毒きのこ』 長沢栄史 監修

食用キノコのオマケとして毒キノコを紹介する図鑑は多くとも、毒キノコ一本で勝負する図鑑は少ない(私の知る限り2冊だけ)。本書はそんなニッチな一冊。

そもそも出版業界としては「売れないものは作りたくない」というのがある、当然だけど。いきおい、きのこシーズンが始まる頃になると出版されるのは、大衆受けのするキノコ狩りノウハウ本や、キノコ初級者から中級者までをターゲットにした写真の綺麗なカラー図鑑、ということになる。結果的に近年発行されたものの多くは、内容的に似たり寄ったりの小粒のものばかりだった。

そんな中で発行されたのが本書。どういう意図で出版したのかは外部からうかがい知れるものではないが、実にいい狙いをしている。いやー、それにしてもこの図鑑、内容がとにかく硬い。しかも単に硬派というだけではない。スペースいっぱいっぱいまで文字で埋めつくさないと気が済まない、一行とて余すものか!という気迫すら感じられる執筆意欲がとにかくすさまじい。読む者が気押されてしまうほどだ。

掲載種は一撃必殺の猛毒菌から食べ過ぎると食傷を起こすものまでピンキリの240種。あまりにも厳密な解説を読んでいると、全て猛毒のように思えてくるのでなかなかに怖い。こんくらい脅しが効いた方が、安易に食べて自爆するバカも減るだろうとの意図が見える。純粋に図鑑として見ても、写真の質が高いのもあり、出来はかなり良い。携帯しやすい大きさもグッド。テングタケ狙いの日ならば、サブ図鑑として持ち歩くという使い方もアリだと思う。

この内容なら各地の保健所に常備できる、価値ある一冊。しかしここまで記述が厳密だと、キノコ初心者には百パー読みこなせんと思うんだが…いったいどこの読者層を狙ったんだろう……。

ちなみに写真のは2003年の初版のもので、現在は増補改訂版が出回っている。装丁は古いのの方が断然カッコよくて上品。改訂版のはひどすぎる……
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毒キノコ論

2010-11-13 11:43:44 | キノコ
【毒キノコ中毒、99年以降最多85件】
>>全国の毒キノコによる食中毒が10月末で85件に上り、99年以降最多となったことが12日、厚生労働省のまとめで明らかになった。患者数は99年以降で3番目に多い247人。都道府県別では福島県が19件47人とトップで、山形県、新潟県が7件だった。専門家によると、今年は猛暑と多雨の影響でキノコが全国的に豊作で、厚労省は「安易に食べたり売ったりしないで」と呼び掛けている。(共同通信)

……だそうだ。

個人的な感想だけど……たった85件?ってのがまずひとつ。そんな少ないわけないでしょ~、実際は5倍か10倍くらいはあると思うんだけど。でもたいていはただの食当たり、ないし下痢だから、軽けりゃ数時間、ひどくても数日寝込んでりゃ治るし、恥ずかしくていちいち報告上げたりはしないよね。

あともうひとつ、厚労省が「安易に食べるな」なんて言うのもどうかと思う。キノコ食べて当たるヤツなんて全部自業自得だって。中毒者も、そこんとこ納得ずくで食べてるはず。国民は赤ん坊じゃないんだから「ほっといてんか」と思うのは、そんなに暴論じゃないと思うけど。

でもニガクリタケをクリタケとして売ってたり、クサウラベニタケをイッポン(ウラベニホテイシメジ)として売ってたりするのは行政指導するのが妥当だと思う。クサウラをシイタケとして売ってたっていうのは、さすがに吹き出してしまったけど。そんなんどうやって間違えんねん……。

「毒」というのは数ある食べ物の中でも最強の個性といえる。たぶん95パーセントの人には理解できないと思うが、これがたまらなく魅力に見えることもある。人々がジェットコースターやお化け屋敷にわざわざ入ろうとするのと同じだ(ちょっと違うか?)
むろん、だからと言って中毒するとわかっているものを食べたりしてはいけない。毒キノコファンを自称する私ですら、もっぱら見て鑑賞するだけ。手を出すとしても、軽い下痢を起こす程度のものまでしか食べない。
ただ、毒だというだけで「全部排除しろ」みたいな反応をする人が時々いるのは、ちょっと残念に思うことがある。

自然には大量の毒が存在している。そして人間社会にも大量の毒が存在している。そもそも人間があらゆる意味での毒を持っている。人間そのものが毒だと言うこともできる。
そんな中で生きていかなくてはいけないのだから、先人はおおいに知恵を絞った。そうした積み重ねの上に、こうして豊かになった現在があるのに、毒に対して反射的に「排除しろ」というのは、明らかに退化だと思う。

現在、日本の政治家が内政や外交問題の対応に苦慮しているのも、なんかそういう退化の潮流が見てとれるな、と個人的に感じる。
政治や外交なんて、もっとふてぶてしくて毒々しいものであっていいのに。今みたいな状態で、したたかな毒々戦術をしかけてくる他国に対抗できるわけがない。国民だって気づかなきゃいけない。たとえ有毒でも、力あるものにはそれなりの価値があるということに。

「クリーンなこと」に大した価値なんて無い。
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Ohrwurmさんとキノコ散策

2010-11-07 23:34:24 | キノコ
今日はネット上で知り合った『自然観察者の日常』のOhrwurmさんのお誘いを受けて、いっしょにキノコ観察にでかけることになった。
ここのとこ雨も降らず、天候もさえない曇り空であったが、私の知らないフィールドを案内してくださるとのこともあり、わくわくした気持ちで出かけた。

津市の家までお迎えにあがり、Ohrwurmさんと息子さんを乗せて、そのまま目的地へ。到着したのは、比較的手入れのなされた里山的な林であった。

三人して遊歩道を歩く。やはり林床は乾いていたが、それでもポツポツときのこは生えていた。Ohrwurmさんの専門は昆虫。キノコのことを教えてほしい、とのことだったが、果たして私程度で務まるのかどうか…


この日そこそこの数が見られたムラサキシメジ。晩秋、そういう季節だなー、というのを知らせてくれるキノコ。フウセンタケとまぎらわしいことがあるが、ボリュームがあって味が微妙、というところは共通点が。今日生えてたのは食うにはちょっと古すぎた。


フウセンタケっぽい、というより不明な幼菌。


キツネタケか?自信なし。この程度で人様にキノコのことを教えるなんざ、おそれ多いことでございます、ハイ。
竹林ではスッポンタケとおぼしきキノコの卵が無数に見られた。今回Ohrwurmさんがここを案内してくださったのも、たくさんスッポンタケが見られるから、とのことだったが、生まれてるのは一本だけだったので、ちと残念だった。いつ伸びるんかな……


あちこちの地面にドでかい穴がボコボコと口を開けているので何だこれはと思っていると、ほどなくして犯人を発見。山芋掘りのおじさんたちであった。掘ったあとは埋めてほしい、というのが個人的な希望だけど、穴の周りは湿気が多いらしく、キノコにはむしろ好ましいご様子。写真のはやっぱり不明キノコ。まち針?チュッパチャプス?ちょっとカワイイ。


変色しまくって真っ黒になっちまったアカヤマタケ。クロヤマタケ?とは言わんわな。最終的に20種類以上のキノコが見られたのは、良い方に予想外。環境はかなり良さそうなので、梅雨時にまた来ようかと思う。

おそろしくゆったりした私のペースに巻き込んでしまったせいか、のろのろとした散策(Ohrwurmさん談)を終えた後、お弁当を食べる。歩行ペースの差はもしかしたら虫屋さんとキノコ屋さんの大きな違いかもしれない。このへんの生物屋さんの生態も観察すると意外と面白いかも。

その後、Ohrwurmさんの家にお邪魔して、学生の頃の話や、仕事の話、石垣島での生活の話など、いろいろと聞かせてもらった。初対面であるにもかかわらず、リラックスしながら、ゆったりとした時間を過ごせたのは、Ohrwurmさんの人柄のせいかな。

Ohrwurmさん、ありがとうございました。




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