月刊 きのこ人

【ゲッカン・キノコビト】キノコ栽培しながらキノコ撮影を趣味とする、きのこ人のキノコな日常

【検証】トリュフって本当に美味しいの?(浪人編)

2022-05-01 11:11:37 | キノコ料理
最後に、オリジナルのトリュフレシピを。

って言っても、難しいのはムリなので、可能な限り簡単なやつでいこう。
それは『目玉焼きトリュフご飯』

実はトリュフ料理の裏メニューとして「卵かけトリュフご飯」というのが有名なんだけど、これの発展版にあたる。でも侮るなかれ、卵かけご飯より断然うまいことは保証する。
ていうか、トリュフがあろうがなかろうが、普通にうまいんだよね、目玉焼きご飯。


卵かけご飯では、どうしても白身が余分な水分を運んで水っぽくなる上に、歯ごたえはないし、味の変化に乏しく、生臭さも気になる。
火を使わないで作れるのはありがたいけど、トリュフにはもったいないなぁ、というのが私の個人的な評価だ。

その点、目玉焼きは白身を固めて水っぽさを解消するのみならず、プルプルの弾力や焦げ目の香りをプラスして生臭さを軽減、さらに黄身も半熟になって味を濃厚にするメリットがある。単純に油も食味をアップさせるしね。
たったひと手間かけるだけで、ただの卵ご飯がトリュフを味わうのにふさわしい料理へと変貌を遂げるのだ。

ただし!焼き方に失敗は許されない。確実な目玉焼きを伝授しよう。

①フライパンに油をひいて中火でよく熱し、卵を落とす。
②火を弱火にして少し待つ。白身に軽く焼き目がつき、箸でつかめそうな固さになった頃合いで裏返す。
③裏返したら火を消し、そのまま少し放置する。(もし黄身をつぶしてしまったら白身が固まり次第すぐに引き上げる)
④黄身のあたりを押さえてみて、好みの硬さに仕上がったと思ったら完成。

日本では裏返すのは邪道だけど、海外ではふつうらしい。
フタが不要で時短ができる、焼き加減のコントロールもしやすく、見た目は悪いけど味がいいので両面焼きをオススメしたい。

これをご飯に乗っけて、卵が熱いうちに黄身を少しつぶしたら、その上にトリュフ醤油をかけて完成。
混ぜすぎないように混ぜながらスプーンでいただく。

もちろんトリュフ卵+しょう油で調理しても可。目玉焼きのわきで野菜を炒めて付け合わせるのもいいね。

白身のプリッとした歯ざわりや黄身のトロリとした濃厚な味をトリュフの香りが膨らませて、口の中に多様なグラデーションが広がるのを堪能できるはずだ。

シンプルの中にも奥行きを生む、これぞトリュフ料理の真骨頂と言えよう。

ニオイに慣れが必要・好みに個人差あり・ムダに高価・・・食べるにはハードルの多すぎる謎に満ちたきのこ・トリュフ。
もし運良く入手できた方は、この数々の難関をも楽しみつつ、いろいろとお試しいただきたい。


【検証】トリュフって本当に美味しいの?(大学入試編)

2022-04-27 06:52:22 | キノコ料理
トリュフの評価をまとめてみたい。

やはりトリュフの真価はそのニオイにある。味とか歯ごたえとかを楽しむキノコではない。
え?トリュフをまるまる使ったアヒージョはゴリゴリ食感が美味いって??そんなの無視!無視!

そのニオイというのは、人によって感じ方が異なるが、日本で一番ふつうに見るイボセイヨウショウロの場合
①のりの佃煮のニオイ
②ボンドのようなニオイ
③キノコっぽいニオイ

の大きく3つに分かれると思う。
①と②は料理する前から強く感じるが、スライスして実際に食べるとき強く感じるのは③である気がする。
この③のニオイが食べるときに「鼻腔をくすぐる」っていうんだろうか、鼻の裏側を通っていくのを強く感じ、これが食欲を促しているように思う。

ここで思い出してほしいのは「良いニオイも強すぎれば悪臭に感じる」ということ。これは裏返せば「悪臭も薄めれば良いニオイ」ということでもある。①のニオイはともかく、あまり良いニオイとは言えない②ですら、適度に薄まることで料理の味を高めているかもしれない。
まあ、これは良くも悪くも紙一重なので、トリュフの評価に個人差が大きいのも、このへんが1枚噛んでいる気がする。

さて今度は食材としての特徴を見てみよう。
①油や卵、チーズ、パスタ、米、みそ醤油、白身魚、豆腐、アイスなど、さまざまな食材と相性がいい
②ニオイが揮発性なので、高温調理はダメ
③ニオイが長所で、それ自体は味があまりない

②はさておき、ありふれた食材で①と③に当てはまるものが1つある。

ニンニクだ。

国籍を問わず、ありとあらゆる食材にマッチする。さほどニンニクが好きではない日本人ですら、餃子や焼肉、パスタなんかにニンニクがないとどうにも物足りないと感じてしまう。ニオイが強すぎると悪臭と感じてしまう点でもトリュフと共通だ。

だからトリュフを『キノコ界のニンニク』と考えると分かりやすいかもしれない。

料理の食味そのものを向上させるというよりは、食欲をかき立てる。味覚を狂わすと言ってもいいかも知れない。空腹が料理を美味しくするように、ニオイが料理を美味しく「感じさせる」のだ。もしかしたら一種の中毒性もあるかも知れない。
人の心を惑わすという意の言葉で「蠱惑的(こわくてき)」というのがあるが、まさしくそれにあたると思う。

ただ、ニンニクとトリュフには決定的な違いがある。

値段である。
ニンニクはスーパーで簡単に買えるし、なんなら自分で栽培だってできるが、トリュフはそうもいかない。ずっと高価だ。
もしトリュフとニンニクに同じような効果があると考えるなら、いくら希少とはいえ、トリュフに大枚をはたくのはバカバカしいことだと思う。

でも、とあるトリュフ愛好者がこう言っていた。
「われわれは、高価な食材を食べている、というその事自体にも高揚感を感じる。この高揚感、快感こそがトリュフに欠かせない、いわば最高のスパイスなのだ」と。

なるほどな・・・。
とことん「蠱惑的」な食材だねぇ、トリュフって。



【検証】トリュフって本当に美味しいの?(高3編)

2022-04-24 23:56:58 | キノコ料理
そして当日。テーブルには想像を超えた豪華なメニューが並んだ。

○ポタージュ(おろしトリュフ入り)
○冷や奴(トリュフオイル&岩塩)
○タコとホタテのカルパッチョ(トリュフオイル入り)
○チーズのトリュフ入りガレット
○トリュフ卵のスクランブルエッグ
○バターライス
○トリュフ醤油の焼きおにぎり
○バニラアイス(トリュフオイルがけ)

前菜からメイン、デザートまで、トリュフ尽くし!
和洋取り混ぜて、これは研究のしがいがあるぜ!!

さて、料理はどれも美味しかったのだけど、全部を取り上げると長くなるので、トリュフ的にインパクトのあったものを順にピックアップすることにしよう。

①トリュフ卵のスクランブルエッグ
素材にトリュフ臭が染み込んでる分、いちばんトリュフのにおいを強烈に感じたのはこれだった。卵や油と相性がいいので味も間違いがない。ただ、人によってはトリュフ臭がきつすぎるという意見もあった。良いにおいも強すぎれば悪臭と感じる。好みに合わせて卵とトリュフを閉じこめる時間を調節したほうがいいのかも。

②トリュフ醤油の焼きおにぎり
これは日本人殺しのレシピである。無意識のうちにガッツリ醤油中毒、かつダシ中毒になっているというのに、そこにさらにトリュフが加勢するのだ。まさしく邪悪と言えよう。
イメージとしてはトリュフがだし醤油の旨味や香り、ご飯の甘みやモチモチとした歯ざわりを掩護射撃する感じ。主役の能力を引き出すのがトリュフの役目だ。焼きおにぎりのような温かいメニューの方がトリュフ臭が引き立ちやすい。

③バニラアイス(トリュフオイルがけ)
冷製メニューではややトリュフの香りが後退して感じるため、どうしても温かいメニューの方が評価が高くなるが、バニラアイスは面白かった。アイスが冷たいせいで、常温のトリュフオイルが押し出されて上に立ち昇るのかもしれない。豆腐もそうだが、素材がシンプルなのでトリュフの効果がわかりやすい。
ただのアイスに較べると、味に変化と奥行きが加わるような気がする。

【検証】トリュフって本当に美味しいの??(高2編)

2022-04-12 11:30:05 | キノコ料理
トリュフパーティー開催に先立って、時短も兼ねて、いくつか簡単な仕込みをするよう指示を受けた。

1つ目はトリュフオイル。
オリーブオイルにトリュフ香りを移したものだ。
鍋にオリーブオイルとスライスしたトリュフを入れ、弱火で加熱するだけ。今回はその後に加熱していない生のトリュフとオリーブオイルを追加して、瓶に3日ほど寝かせた。作った直後はさほどでもなかったが、三日寝かせるとかなり香りが強く漂うものになった。

2つ目はトリュフ醤油。
市販の麺つゆにスライスしたトリュフを加えて香りを移しただけのもの。
トリュフと言えば洋食と考えがちだけど、じつは味噌や醤油とも相性がいい。旨みの源、アミノ酸を豊富に含むこれらの調味料は、トリュフの香りでさらに潜在能力が引き出される。
しかも今回使うのはダシたっぷりの麵つゆである。これぞキングオブ邪道。鬼に金棒。弁慶にスティンガーミサイル。

3つ目はトリュフ卵だ。
卵は殻を通して呼吸しているのをご存知だろうか。この性質と、匂いを吸着しやすいたんぱく質の性質も利用して、トリュフの香りを移した卵を作る。
作り方はとても簡単。生卵を割らずにそのままトリュフと同じ入れ物に入れて数日放置するだけ。大量生産してもトリュフが目減りしないので、コストパフォーマンスがハンパない。


ただし、生卵の表面はサルモネラ菌がついている可能性があるので、衛生面には配慮が必要だ。

トリュフは熟するにしたがって香りが変わっていく。ベストな状態で利用できるといいのだが、ケチってちまちま使っていくうちにピークを過ぎれば香りは弱くなるし、最終的にカビてダメになってしまうことも多い。こうやって香りを他の物に移すことで保存性が良くなるし、調理するときも便利で使い方の幅が広がる。

ただし、加工しても香りはやはりだんだん弱くなるし、ものによってはカビが生えたりもするので、できるだけ早めに使いきりたい。

【検証】トリュフって本当に美味しいの?(高1編)

2021-12-30 12:35:57 | キノコ料理
トリュフを食べるに当たって、1つの問題があった。
家族にトリュフ嫌いがいることだ。

トリュフは冷蔵庫で保存中でも、結露などをケアしないとカビてしまうので、熟し具合の確認も含めてちょくちょく外に出す必要があるのだが、その度に「クサい!早くしまって!」と怒られる。しかもやんわりとかではない。けっこう本気の怒り方、いわゆる「マジギレ」だ。慌ててそそくさとトリュフを冷蔵庫にしまい、気まずい空気に耐えなければならない。

家族を怒らさないためにどうにかしたいが、トリュフのニオイはいかんせん強力過ぎる。せまい私の家でコトを隠密に運ぶのは困難だ。けっきょく、こそこそとひとり朝早く起きてから、換気扇を全開で回しつつ、目玉焼きの上にのせたり、卵ご飯に入れたりするのがせいぜい・・・これはかなり情けない。何が悲しくて高級食材をこんな貧乏くさい食べ方せねばならんのじゃ〜!

ここで妙案が浮かんだ。
トリュフを料理好きのキノコ先生に頼んで料理してもらおう。きのこ会の仲間も呼んでトリュフパーティーだ!(もちろんトリュフ嫌いの人は呼ばない)
確実においしいトリュフ料理が食べられるし、感想も聞ける。何より楽しそうだ。これはじつに名案。

かくして今年、再びいただくことのできたトリュフは、先生の宅に持ちこまれたのであった。【続く】

【検証】トリュフって本当に美味しいの?(中2編)

2021-12-23 16:35:12 | キノコ料理
最後の最後で何かに気づいたような気がしたものの、カビたトリュフではどうにもならない。モヤモヤとした思いだけを残して、そのままトリュフのことは忘却の中に消えていった。

再びそれが呼び起こされたのは、それから2年後のことだった。

こんどは別の菌友からトリュフが送られてきたのである。大謝謝!
小ぶりなサイズながら、今回はにおいがハンパなく強い。冷蔵庫に入れておくと庫内が佃煮臭であふれかえるほどだ。これがおそらく完熟品なのだろうと納得する。

とりあえず適当にオムレツにでもしてみた。

!!

食べてみてはっきりした。やっぱり何かが以前とは違う。
確実に「良いにおい」だと認識できるようになっているのだ。

におい自体は前回より強いものの、においの質が変わったわけではない。相変わらず佃煮臭と、ボンドっぽい化学系のにおいがする。一言で言えば「クサい」。前と同じだ。でもそれを良いにおいと感じる。その理由はおそらく・・・「自分の認識が変化したから」だろう。

たとえばウーロン茶という飲み物がある。
今でこそソフトドリンクの定番として定着しているけど、私が中学生くらいの時分には、まだ多くの人にとって未知の存在だった。私などは「お金を出してお茶を買うなんてバカバカしい」と本気で思ってたくらいだから無理もない。
それを初めて飲んだときは衝撃を受けたものだ。「ぐえ。マズいお茶!」と。
でもそれから幾度か飲むうちに、不思議と違和感がなくなり受け入れていって、今ではむしろ好きな飲み物の部類に入っている。

トリュフもこれと同じではないのだろうか。
新しい感覚を受け入れるには、ある程度の回数と時間が必要なのだ。
何回か繰り返すうちに馴染んでいき、ある時を境にして、まるでトンネルでも通じたかのようにその感覚が開発される。「慣れる」のだ。

トリュフは高級品。せいぜい祝いの席のフルコースで出てくるくらいで、普通の人はめったに口にすることがない。たまにトリュフ料理を食べるくらいでは「え、こんなもん?よくわからんわー」で終わってしまうのも無理はないかもしれない。

なるほどなー。
いや、でもこれが良いニオイだとしても、あんなに大金を積んで手に入れようとは思わんぞ。そのへんはもうちょっと掘り下げて考える必要があるかも。
【続く】

【検証】トリュフって本当に美味しいの?(中編)

2021-12-15 23:15:18 | キノコ料理
トリュフを初めて目にしたのは、4年前にさかのぼる。

菌友より贈られてきた貴重な品は、数にして4つ。サイズはなかなかの大きさだ。
まだ熟成が足りないのか、さほど香りは発していなかったので、冷蔵庫でカビないように保管しつつ熟するのを待つことにした。

すると程なくして、独特の香りを発するようになった。
一般に言われるように「海苔の佃煮」に似たにおい。それに加えて、ちょっとボンドにも似た化学薬品っぽいにおいも混ざっている。佃煮臭に比べるとこちらはあまりいいにおいとは言えず、本当にトリュフってこのにおいでいいんだろうな??食べていいのか??それともまだ熟成が足りんのか?などと疑心暗鬼にとらわれる。

ともかく、試してみることにしよう。
あまり複雑な料理はできないので、できるだけシンプルなレシピから挑戦してみた。
目玉焼き、ポテトフライ、卵かけご飯、リゾット・・・

さて、その感想は
「うーーーん??こんなもんか・・・??」

佃煮臭とボンドぽいにおいに加えて、菌臭というのか、キノコっぽい少し土くさいにおいがスライスしたことで加わった。トリュフ自体はゴリゴリした食感で、この歯ざわりに良さがあるとは思えないので、やっぱり香りがトリュフの真骨頂のはずなんだけど・・・その価値がさっぱりわからない。

熟成が足りんかったんだろうか。あるいは調理の仕方がまずいのか?それとも自分の味覚がおかしい??
SNS上で絶賛してやまない声を聞くので、そのギャップに謎は深まるばかり。

そうこうしてるうちにこの年のチャレンジは終了する。
もっと熟成したら違うのかもしれんと最後の1つを保管しつづけていたが、大して変化のないうちにカビが生えてきてしまったのだ。泣く泣く廃棄することに。あ〜あ、もったいない。

でもせめて捨てるのならと思い、トリュフが生えそうな環境の所に行って不法投棄することにした。どのみちカビてからじゃ手遅れだけどな(^_^;)

捨てる前に最後のお別れのつもりで、においを嗅いでみた。
あれ?なんか今までとは違う感覚にとらわれた。
これって・・・いいにおい??

カビがいいにおいを出してる?いや、そんな事はない。熟成してにおいが変化した?いや、それもない。でも、なんだか突然に空腹を感じてご飯が食べたくなってしまったのだ。

変化したのはトリュフのにおいじゃない。
だとしたら変わったのは・・・自分の鼻??
【続く】

【検証】トリュフって本当に美味しいの??(前編)

2021-12-09 00:01:39 | キノコ料理
長らく書こうと思って書けなかったトリュフの話。

トリュフとは、世界三大珍味の1つとされ、ヨーロッパでは日本における松茸のごとく高値で取引きされるという、アレのことだ。
ただ、日本では名前こそ知られるものの、その存在が一般に浸透しているとは言いがたかった。しかしである。黒トリュフの一種であるイボセイヨウショウロを始め、いくつかの種類がじつは日本でも産することがテレビで報じられたため、ひそかなるトリュフブームが今、静かに燃え上がり始めている、というのがキノコ界でのもっぱらのウワサなのだ。

実際にトリュフは日本でも、そこまで珍しくない、というレベルで採れるらしい。ただその分布には偏りがあって、どこでも採れるというわけではなく、それにも増して、地下に生えるという特性から、採集にはそれなりの経験と勘と根気が必要になる。私も折にふれて怪しい場所を探してはいるものの、三重はトリュフに向いた地ではないせいもあってか、まだ見つけられないでいる。

ところが!!
世の中は良くしたもので、稀にトリュフをおすそ分けしてくださる神様のような方が現れることがある。おお、はるか遠い地から後光がさしている。ありがたやありがたや・・・

さて、長い前フリはこのくらいにしておいて、本題に入ろう。

私には、素朴な疑問がある。それは、あまり大っぴらに言いづらいんだが、誰かが問わないといけない疑問だ。そう、それは・・・「トリュフって本当に美味しいの??」

たとえば、かのマツタケは日本でこそ褒め称えられて高値がついているが、欧米では「クサい」と一蹴されてしまうという。トリュフも日本人にとっては同じようなものなのではあるまいか?「高級」という言葉に踊らされているだけで、実はその価値が分からない「猫に小判」「豚にティファニー」「馬の寝床にトゥルースリーパー」なのではあるまいか??

足かけ数年にわたる検証を経て、真相がいまここに明かされる!!
【続く】

かんぞうたけグラタン

2021-06-07 01:46:34 | キノコ料理
カンゾウタケか大量に採れすぎて食いきれない・・・。

前回フライの成功で味をしめたので、さらに別メニューを試してみよう。
じつはもう一つアイディアがあるのだ。

それは、鉄板とも言える揚げ物料理と同じくらい鉄板と言ってもいい最強食材・チーズだ。

ピザなどで酸味の強いトマトとタッグを組むことも多いチーズならば、酸っぱいカンゾウタケとも必ずやステキなマリアージュを見せてくれるに違いない。

で、何を作ろうかと思案した結果、グラタンを作ることになった。

ただ、本格的にホワイトソースから作るのは面倒だったので、時短レシピから「簡単豆腐グラタン」を採用する。前回のフライでマヨネーズとの相性の良さを確認できたので、ここはマヨネーズの力も借りよう。


はい、まずはカンゾウタケを1センチ厚さでぶつ切りにします。やはりキモい(笑)
これにラップをかけて電子レンジで1分。これで下処理完了。

また、これとは別に好みの食材(玉ねぎ、ジャガイモ、ブロッコリー、ウインナー等)を電子レンジで加熱したあと、適宜、グラタン皿に並べておきます。今回は玉ねぎとゆで卵を採用。


ボールに、水を切った豆腐、味噌とマヨネーズをくわえ、よく混ぜ合わせます。これをグラタン皿の具材の上に流しこみ。具材の量にもよるけど、少ししょっぱいかな?くらいの方がいいかも。

その上にカンゾウタケ、ピザ用チーズの順で乗せて準備完了。
トースターでチーズに程よく焦げ色がつくまで4〜5分加熱します。


できたッス!!カンゾウタケ豆腐グラタン!!
ほら!まともだ!!(見た目は)


さあ食べよう〜♫
例によって赤黒いキノコ肉汁がホワイトなはずのものを赤紫色に染め上げてしまうが、もうそのことは言いますまい。問題は味よ。

うむ!?
あ、かなりうまい!
キノコが予想以上に食材の1つとしてグラタンに馴染んでいてビックリだ。
カンゾウタケの歯ざわりや旨み、風味が生きていて、なおかつ酸味が立ち過ぎず、全体として調和している。
これはカンゾウタケの凄さと言うよりは味噌マヨネーズの功績!?カンゾウタケのようなどうしようもないレベルの個性派食材すら飼いならす。はからずも最強調味料の実力の一端をかいま見る結果となった。

正式なホワイトソースのグラタンに使った場合の結果は未知数だが、豆腐グラタン、少なくともこれは有りだな。合格!

かんぞうたけカツ

2021-06-03 01:39:21 | キノコ料理
はい、久々の料理コーナーですよ!

キノコのくせに、見た目が肉、そしてなぜか酸っぱい・・・仲間うちでも「マズい」「あの酸っぱさはちょっと・・・」「ムリだわー」などと散々な評価のカンゾウタケの名誉を挽回するため、シーズンが訪れるたびに私が研究を重ねているカンゾウタケ料理。

巷では生で食べられるとのフレコミだが、旨み・歯ざわりが格段にアップする加熱調理には遠く及ばない、というのが私の結論だ。問題はその調理法をどうするか。

これまでソテー、ステーキ、ギョーザ、ヅケなど、いくつか試したが、今回はフライを試してみようと思う。フライと言えば、キノコに限らずハズレのない鉄板中の鉄板。「貧乏人のビーフステーキ」との別名もあるカンゾウタケならば、油との相性もよく、必ずや食卓にふさわしい「貧乏人のビーフカツ」になってくれるであろう。


調理は一般的な方法で。キノコはぶつ切り、衣は厚めがグッド。揚げすぎるとふにゃふにゃになって食べごたえが無くなるので、揚げる時間はほどほどがいい。ジュワー。


できた。赤い汁がにじんで、なんだか内出血を起こしたみたいになってる以外は美味しそうなカツになった。ソースを何にしようか悩ましいところなので、いくつか試してみよう。


おお。やっぱり見た目は肉!赤い肉汁が染み出てくる。
とりあえずウスターソースで食べてみよう。

うむ。美味い。衣のカリッとした歯ざわりとカンゾウタケのブリっとした弾力がうまくマッチしている。また、キノコに欠けているコクを油が補い、さらには旨みを引き立てている。ソースのおかげか、あるいはこのカンゾウタケがたまたまそうなのかも知れないが、酸味はさほど気にならなかった。
マヨネーズやケチャップも試したが、これらも悪くない。旨みをプラスした上に酸味を和らげてくれる。

これを醤油や塩で食べると、酸味が前面に出てくる。カンゾウタケらしい風味を味わえるという意味では、コアなカンゾウタケファンにおすすめだ。個人的にはマヨネーズとケチャップを混ぜたオーロラソースがバランスが良いと思った。

カンゾウタケは物によって独特の臭いや苦味が出ることもあるが、フライ調理はそれらもかなり緩和できるように思う。ちょっと成長しすぎて味やニオイにクセが強くなった大きめのカンゾウタケでもおいしく食べられるかもしれない。

結論。カンゾウタケカツ、かなりイケる。


カンゾウタケを食べる(恒例)

2018-06-09 22:40:50 | キノコ料理
カンゾウタケのレアステーキ
今年もカンゾウタケを食べたぞっ!

いい感じの牛タン型を見つけちゃったので、衝動的にステーキにしてみた。

今回の工夫点。見た目がここまで肉に似てるんだから、作り方もビーフステーキに似せてみよう!ということで

①焼く数時間前に塩をすりこんでおく
②中は生焼けのレア状態

でやってみたぞ!



結果おいしくない

やっぱりレアはあかんねー。ぜんぜんおいしくない。特にこのカンゾウタケは古い成菌(裏側がすこし褐色を帯びはじめてる)だったから、いよいよ生食はおいしくなかった。きちんと焼いて食べれば幼菌より断然おいしい上物だったのに、もったいないことをしたわ~。
塩味も内側までぜんぜん浸透していなかったので、この点でも失格。

結論として、ステーキはアカンってことやねー。やっぱりスライスしてソテーが鉄板ですわ。

おいしいカンゾウタケソテー(※)の作り方
①カンゾウタケはやや古めの成菌(裏が真っ白か、少し褐色がかるくらい)を使います。
②カンゾウタケは表面のゴミを洗い流し、包丁を斜めに寝かせるようにして厚さ8ミリ~1センチ程度の薄切りにします。
③塩をふりかけ、コショウを少々、さらに片栗粉を軽くまぶします。
【最重要ポイント】塩味を強めに効かせて酸味に負けないようバランスをとること!
④中火で熱したフライパンにバターを入れ、カンゾウタケを1枚ずつ重ならないように並べていきます。
⑤軽く焦げ目がついたら裏返し、もう片面も軽く焦げ目がついたくらいで皿に移します。手早く焼き、肉汁がしみ出てくる前に引き上げるのがポイント。
⑥カンゾウタケを焼いた後のフライパンでしょうゆとみりんを煮つめてソースにしてもいい感じ。温かいうちに食べましょう。冷めると酸味が勝ってしまいます。

※この料理をおいしいと感じられるのは10人中2人くらいです。おいしくないと思った人はあきらめましょう。







さけつばたけ

2016-05-31 21:09:33 | キノコ料理
サケツバタケ、食べれるということなので試してみた。

日本ではなじみがないが、ヨーロッパでは栽培して食べる人もいるらしい。

一本だけ拝借。すごいボリュームだ。某ゲームのスーパーキノコ原寸大といった感じ。北米では「庭の巨人」の異名があるそうな。この場所では去年、ベニヒダタケが直径10センチのオバケサイズになっていたので、特別栄養が豊富ってのもあるのかも。

とりあえずスタンダードに野菜炒めに入れてみた。
ヒダが黒いので少し見栄えは悪いが、市販のキノコと違わない雰囲気。笠はシイタケのようで、柄はエリンギっぽい。

食べてみると、まったくクセがない。
笠はやわらかく、フニャッとしているが、とても食べやすい。
柄は噛むとほどよい歯ごたえがあり、さすがにエリンギと比べれば劣るけど、つるんとした舌触りも楽しめる。

旨みは特筆するほどではないながら、これもそこそこ。
香りは傘にマッシュルーム系のキノコ臭があるが、さほど強くはない。

ということで、旨み・歯ごたえ、舌触り、いずれも及第点。香りは苦手な人もいるかもしれないけど、これまた無難。

味ランクは 安定の(普通にうまい)

ボリュームがあるという以外、特別な取り柄がないかわり、大きな失点もないキノコ。
なんにでも使えるが、油との相性がよさそうだ。

ただ、「世界のきのこ大図鑑」によれば、人によって胃腸障害を起こすことがある、ということなのでご注意を。




カンゾウタケ餃子

2016-05-23 23:07:43 | キノコ料理
カンゾウタケ料理の新機軸!今回はギョウザにチャレンジだ!

ここまでのカンゾウタケの研究でわかったことは

・火を通すことで旨みとプリッとした食感が生きる
・油とは相性が良い
・塩味がきちんと効かないと酸味が勝っておいしくない

ギョウザならこの条件をすべてクリアできる・・・ハズ!

しかもカンゾウタケから染み出るおいしいカンゾウタケ汁をもれなく食べることができるなんて……ファンタスティック!!

さてさて、調理法はシンプル。
サイコロ状に刻んだカンゾウタケと豚ひき肉に、塩とコショウを加えて混ぜ、それを餃子皮に包んでフライパンで蒸し焼きにする。

出来たぁ!

途中までは普通のギョウザだったが、焼いてるうちに皮から透けたカンゾウタケが見えるようになり、なにやら赤黒い。まるで内出血を起こしたようで、とてもおいしそうだ。

試食!

うむ?アレ?

なんと!ぜんぜん普通だ!

その原因はすぐにわかった。ギョウザは普通、酢じょうゆにつけて食べる。つまり、ギョウザに酸っぱいカンゾウタケが入っていても全く違和感がないのだ!それにくわえて、火を通したカンゾウタケは生レバーのような肉っぽい食感になるため、噛みしめてもひき肉と区別がつかない。なんと見事な肉擬態!

うむ!うむ!

でも普通ってだけで、特別旨くもないかなぁ……

今回はキャベツやニンニク等をくわえずに作ったからね。水餃子にしてみたほうがおいしいかもしれないし!

今回のカンゾウタケ餃子は、大成功とは言えないものの、組み合わせや調理法次第で大化けするポテンシャルを十分に感じさせるものであった。


カンゾウタケ料理 「貧乏人ステーキ」

2015-05-19 19:44:09 | キノコ料理
カンゾウタケでステーキ!

普通なら包丁で切ってソテーするところを、豪快に丸々焼いてみた。
これぞ、アメリカでカンゾウタケのあだ名となっている“The poor man's beefsteak”(貧乏人のステーキ)そのものだ!


ナイフで切ってみる。おお、見た目がまるで肉!これがキノコだと思う人がどこにいようか!
口に入れると、ぷりっとした食感とともに、独特の酸味が口に広がる。ん~、ウマい。

実はこの酸味がダメと言う人が多くて、カンゾウタケを美味しいという人はかなりの少数派。しかし!料理法次第では、万人がおいしいといってくれるカンゾウタケ料理がきっとあるはず!そう信じて、目下研究中である。


【カンゾウタケの貧乏人ステーキ】
①カンゾウタケは裏が桃色~白のものを使う。できるだけ平らで厚みが均一のものがよい
②表面を軽く洗い、塩を強めに降る。さらに、ナベに接しそうな部分にだけ軽く片栗粉をふる。
③フライパンを熱して、バター(サラダ油でもよい)をひき、カンゾウタケを入れる
④ある程度焼いたら裏返し、ワイン(もしくは料理酒)を入れてフタをし、蒸し焼きにする。
⑤程よいところで、付け合わせの野菜とともに皿に盛りつける。

・カンゾウタケは塩味を強めにつけないと酸味が勝ってしまい、おいしくない。ステーキは味がからみにくいので、ソースを工夫する必要があるかもしれない。とりあえず、食べる時に卓上塩をふりつつ調整する。

・正直、切り身のソテーの方が味がからみやすく、簡単で美味。刺身を切るように包丁を斜めに傾けて、キノコの繊維方向に対して垂直に切る。厚め(1センチ)がよい。塩と片栗粉を降り、強火で手ぎわよく両面を焼く。焼きすぎないのがコツ。

ひめきくらげ料理

2015-04-23 20:37:50 | キノコ料理
いまだかつて見たことがないほど巨大に膨れ上がったヒメキクラゲの群落を発見!今年の冬は例年になく雨が多く、キクラゲ類がよく育ったのだろう。いっつもチョロチョロ枝にへばりついてるだけの「どうでもいいキノコ」扱いだったが、これだけデカくなれば食材として利用可能だ!

かつて、C級判定をくだしたこともあるキノコだが、今回はきちんと料理してみることにしよう。

さてと。突然だが、ピーターラビットの生みの親の絵本作家、ビアトリクス・ポターをご存知だろうか?実は彼女は菌類学者を志していたことがあるのだが、その彼女が描いた絵本の一節、ヒキガエルが集まってお茶会をする場面で「魔女のバター黒キノコ」というものを登場させている。このモチーフがヒメキクラゲだというのだ。

「魔女のバター黒キノコ」。うーむ、黒くて妖しいイメージと、木の枝にべっとり塗りつけたような形状が的確に表現されている。よし、今回のコンセプトは、「魔女のバターを作る」!これで行こう!

さて、問題の料理法。ここでいうバターは、バターそのものじゃなくて、バターっぽいものを指すんだろうけど、とにもかくにも油分が欲しい。バターを使うと冷めたときに固まってしまうので、ここはオリーブオイルを使って炒めてみることにした。


イメージ的には、とろけてソース状になるようなモノを作りたかったんだが・・・むしろ固くなってプリプリしてきた??なんかいきなり選択肢を間違ったんじゃないかという疑心暗鬼に襲われる。いや、しかしこのままやるしかあるまい!

味付けはピーナツバターみたいな甘いものにする案もあったが、魔女つながりってことで「マジックソルト」を選択した。


とりあえず完成。いや、見た目ぜんぜん変わってないんですけど……
油はあまり馴染んでくれなかったので、見事に分離している。キクラゲもカタマリのまんまだ。どう考えても「魔女のバター」のイメージには程遠い。やっぱりなんか間違ったかもしれん(-_-;)

いや、それでも……味はいいのかも!試食してみよう。

トーストに塗ってみた。う、うーーーん、見た目はちょっとアレな(^_^;)
食べるか……。

かぶりつくと、オリーブオイルとマジックソルトの地中海風味が口に広がる。

おお、なんと!サクッとしたトーストの香ばしさと、瑞々しいヒメキクラゲのプリプリとした食感が・・・
ぜんぜん合わん

これはアカンわ。甘かろうが辛かろうがパンにプルプルはミスマッチすぎる。
そう即断した私は、完成したばかりの「魔女のバターもどき」をふたたびナベに戻し、再調理にとりかかった。


おー!これよこれ!! 

見よ!この安定のつくだ煮っぷりを!もうつくだ煮以外の選択肢が浮かばないほどだ!

ウム。プリとろ食感が食べてもうまい。ご飯がススムわ~~

ということで。ヒメキクラゲはつくだ煮にすべし!以上!ヒメキクラゲ試食レポートでした~!