月刊 きのこ人

【ゲッカン・キノコビト】キノコ栽培しながらキノコ撮影を趣味とする、きのこ人のキノコな日常

つちあけび

2019-10-31 23:09:45 | 植物
更新が滞り、あいすみませぬ。でもこれが通常営業かも……

今年の秋は「キノコ空前の不作」との声も聞く。たしかに岐阜や信州方面はほとんどキノコが採れない状態らしい。それでも今月は多少なりとも秋雨が続いたから、多少は挽回できた地域もあるのでは。まあ三重県はというと、もともと秋のキノコ期待してないから(^_^;)

まあぼちぼちやりましょう。

先日山を歩いていたら、唐突に不自然な植物が姿を現した。これは!
ツチアケビ。葉っぱを持たない特異な生態を持つ植物の一種だ。植物の本分とも言える光合成を放棄して、こいつはどうやって栄養を得ているのか??これが実はキノコと大いに関係があって。

このツチアケビの近くを探すと、黒いエナメル質で覆われた枝分かれした根っこのようなものが見つかることがある。これはナラタケの菌糸の束だ。たくさんの菌糸が寄り集まって太くなり、その周りを殻で覆うことで電気コードみたいな構造になっている。じつはこれがツチアケビの養い主(ホスト)なのだ。

ナラタケはキノコ界のギャングとも言われるほどどう猛な食欲でいつも餌を探し求めている。そんなところに現れたツチアケビ。

ナラ剛(タケシ)「お、いいカモを見つけたぜ!今日はいっちょココを締め上げるか!!」
ツチ朱美「あら、いらっしゃい」
剛「オウ、てめえ誰に許可をもらってここで営業しとるんじゃ!」
朱美「あらお兄さん、許可だなんてそんな……(たくみにすり寄って)たくましい腕……お話をうかがいますわ、とりあえずそこへお座りになって。」
剛「オウ!年増女の色仕掛けが効くとでも思ってんのか?なめんじゃねえぞ!」(と言いつつどっかりと椅子に座る)
朱美「ただいま飲み物をお持ちしますわ。ミカちゃーん!上客様よ!付き出しとおしぼりをすぐにお持ちして!」
ミカ「はーい」
剛「お、オウ!勘違いすんなよ?俺は誰だと思ってやがる! ただの客扱いするんじゃねえ!」
朱美「サキちゃん!なにしてんの!仕事でいらっしゃった方にお酒を持ってくるなんて失礼じゃないの!酔ったら仕事にさしさわるでしょ!」
サキ「す、すいません!」
剛「オイ、待て!その程度の酒でどうにかなる俺様だと思ってんのか!それを持って来い。飲み干してやる!それよりサキちゃんっての、美人だな……」
朱美「チカちやん、マリちゃんもこっちへ!」
剛「おっ!?キレイどころがまだいやがる!?うへへ……じゃねえ!こんなことで喜ぶと思ったら大間違いだ!粗相したら娘ともども売り飛ばしてやるから覚悟しとけよオラ!うへへ……」

〜〜〜2時間後〜〜〜

剛「俺様を誰だと思ってる!天下のナラ剛さまだぞ?買えねえもんは無ぇ!!よーしミカちゃんにはヴィトンを買ってあげよ〜〜!!」
ミカ「やったー!!」
朱美「こんなお大尽、見たことないわ。ほらお酒が切れたわよ!すぐお持ちして!!」
剛「うへへへ………」

……とまあこんな感じで、うへへガールやうへへドリンクが作用するのかしないのか、天下のギャング・ナラタケは全てを略奪するつもりがあべこべに、永遠に報われることのないプレゼントをツチアケビに貢ぎ続けるハメになるんだとさ。


こがねきくばないぐち

2019-10-05 07:38:00 | キノコ
夏キノコの常連中の常連、キクバナイグチさん。

最近、3種類に再分類されたらしくて、このあたりで見るもののほとんどはそのうちのひとつ、コガネキクバナイグチであることが分かった。

赤いひび割れのある傘は雑木林でも目立つ。

イグチの仲間は菌根菌として知られる。木の根っこに共生しているので地上に生えるのが相場なんだけど、このキクバナイグチの仲間(キノボリイグチオオキノボリイグチ、ミヤマベニイグチなど)は、朽ち木の根元や、時には枯れ木に登った場所から生えてくるものが多い。



それでねえ。今年はヘンな現象によく出会ったのよ。
コガネキクバナイグチがヒノキの木に登って生えている。でもこのヒノキ、生きているんよ。

生きている木に登っている。どうやらヒノキを分解してるとかじゃなくて、純粋に表面を這って登っているだけなんだろう。
高くに登った方が胞子を遠くに飛ばせる。キノコがそう考えて、けなげに高みに登ったのかな。
以前、岩に登った例も観察しているので、珍しいことじゃないのかもしれない。

それにしても登っているのはなぜかヒノキばかり。なにか引き寄せられるものがあるんだろうか。