月刊 きのこ人

【ゲッカン・キノコビト】キノコ栽培しながらキノコ撮影を趣味とする、きのこ人のキノコな日常

戦慄!大台ケ原

2011-08-31 19:27:41 | キノコ
イグチもベニタケも少なかったけど、テングタケはホントに少なかった。この日見かけたのはこれひとつだけだったように思う。

えっと……柄の感じから察するにオオツルタケっぽい。

道すがら、鳥屋さんと出会った。同じコースを歩くと抜きつ抜かれつになって、その都度すいません、などと言ってすれ違うのが少しおもしろかった。すると、ちょうど撮影中なのに出くわしたので邪魔しないよう隣で眺める。木の幹を上へ下へ、すばしこく走り回るターゲットはゴジュウカラのようだ。個人的に初めて見る鳥。カシャカシャカシャ……と連射する音がちょっとカッコいい。大きな望遠レンズで野鳥を捉える姿はさながらハンティングのようだ。話を聞いたらけっこう「数撃ちゃ当たる」方式らしい。生き物を撮るのでも対象によって全然スタイルが違ってくるのが興味深い。まあ、今の私の腕じゃこちらも「数撃ちゃ当たる」式なのに違いはないけど。

もう日が高くなってきた。

決戦!大台ケ原

2011-08-30 19:35:03 | キノコ
(だんだんタイトルが意味不明になってるけど、単なるノリなので気にしないでください。)

大台ケ原は西と東にわかれていて、西がブナの原生林を縫うように歩くコースで、東が尾根沿いの道を中心に眺望の素晴らしいコース、ということだそうで。キノコ撮影には西ルートを選びたいところだが、こちらは入山規制がかかっていて、よろず煩わしいようだ。いつかゆっくり巡ってみたいと思うが、ともかく今日は歩きやすい東ルートを歩くことにする。

遊歩道沿いは丈の低い笹原が多いが、そのせいか低木が少なく、見通しがよい。そこかしこに大きな倒木が、まるで海底に沈む難破船の残骸のようにたたずんでいる。



クヌギタケの仲間。単発は逆にめずらしいかも。一本だとボリュームがないけど、思い切って絞り開放で撮れるので、これはこれでいい。写真のタテヨコ比が初期設定で3:2になってるのが、ちょっと慣れない感じ。

やっぱり丸ボケがカクい。

潜入!大台ケ原

2011-08-29 23:25:46 | キノコ
少し朝もやがかかっているが快晴、気持ちのよい朝だ。気温は思ったよりも高い。

駐車場で朝露のついた草がきれいだったので試し撮りしてみた。撮り方は予習していたがもう忘れた。レンズはマクロレンズEF-S60mm。なんかあまりにもキラキラと露が光るのでどこにピント合わせたらいいのか迷ってしまい、最終的に標的になったのが、なぜかハエだった。

うおっ!丸ボケが丸じゃないっ!カクい!全部きれいに七角形!

あれー?買う前にそんな話聞いてたっけな?しかもこれって話に聞いてた「二線ボケ」ってやつだな。ボケが二重の線で囲ったようになってるの。一般的に良くないボケの典型と言われている。う~ん、まあこれはこれで味があるってことにしとこう。どうせ当面は自分の技術の方がネックになるだろうし。



林の中にわけいる。木の香り、森の香り、それとも苔の香り、笹の香り?たぶん全部ひっくるめた香りなんだろう、とても心地よい。きりっと引き締めたような澄んだ空気なのに、やわらかい。昨日までいた日常とは別世界だ。

キノコは、少ない。特に地上生のキノコはほとんど見られない。それでもコンディションは最高なので、少しでも生えていればそれで十分。



イヌセンボンタケを見つけた。予想はしていたが、カメラのボディが大きいので、撮りうるアングルの選択肢が少ない。

特攻!大台ケ原

2011-08-28 19:26:52 | キノコ
注文していた一眼レフが届いて、これは是非とも試し撮りせねばならん、さてどこで撮ったもんだかと考えたんだけど、ここんとこ雨が降っているにもかかわらず、そこへんの公園でキノコが生えているイメージがどうしても湧かない。こりゃもう一番可能性が高いトコ当たってみる他ないでしょう、ということで、まだ行ったことのない大台ケ原に行ってみることにした。

土曜日の仕事上がりからそそくさと準備を始め出発、深夜に現地到達、車中泊で早朝からゆったり撮影、といういわゆる「夜討ち朝駆け」方式。連休がとりづらいので、これが精一杯ゆとりをもったプランなんだが。ちょっとシンドいかも。

名阪国道R25→針I.C.からR369→R370→R169と経由して着。目的地手前のがけ崩れで大きく迂回させられたが、休憩込みで三時間半ってところ。最後の山道はカーブだらけなのに霧が濃くて前が見えず、怖かった。

駐車場は満天の星空。これでキノコなかったらどうしよ、という懸念もあったけど、この夜空見て吹き飛んだ。来てよかった。

翌朝6時起床。さて出かけますか。

きくばないぐち

2011-08-21 19:32:16 | キノコ
キノコの見上げアングルは背景が空を向いてしまうため、できるかぎり日の低い時間帯に撮るのが基本になる。でないと、明るすぎるバックのせいで背景が真っ白orキノコの裏側が真っ黒のどちらかになってしまう。

とはいったものの、寝坊の私はいつも出かけるのが朝9時とか。そりゃ傑作はムリだね。

このキノコを見つけたのは午前11時。うおー、太陽が思いっきり後ろにあるし。こうなったらキノコで太陽かくしたれっ!

……苦肉の策の足りない分をあとはレフ&レタッチでごまかして、まあなんとか。

夕方に撮るって手もあるんだけど、やっぱ朝のがいいねー。

ニガイグチモドキ料理

2011-08-20 19:37:09 | キノコ料理
先日の「ニガイグチモドキが実はおいしいのではないか」という錯覚を現実のものとするため、料理することにしてみた。

キノコに詳しい人ならご存知だろうが、その名の通り苦味のあるキノコが多いニガイグチ類の中でも、ニガイグチモドキは最強の苦味を誇るキノコ。その苦さたるや半径2キロ以内の苦味という苦味をかき集めて作ったような味で、一つまみ口にしただけで「ごアッ」などと叫んで吐き出したくなる。

昔、間違えてアシボソニガイグチ(これもモドキに匹敵する苦さ)をみそ汁に入れてしまったことがあるが、具と言わず汁と言わず、全てが苦くなって全部捨てざるをえなくなってしまった。……しかしこの経験は今回、非常によいヒントになる。この苦味は水に溶け出しやすい、ということだ。
たとえニガイグチモドキが苦味の権化のような存在だとしても、その苦味成分が無限ということはない。水にさらしてさらしてさらしまくれば、きっと食べられるようになるに違いない。さらには、その苦味の陰に隠されていた、誰もが未経験の旨み成分&食感が、美食家の舌をもうならせること請け合いである。

ということで、調理。

この日、ウジャウジャ生えていた中から、大きさが程々で身がしまっておいしそうなのを厳選して5本ほど採集した。イグチは食感を活かすため、スライスは厚めにするのが定石だけど、今回は苦味成分が抜けやすいように、やや薄めに切る。さすがの苦みのためか、虫は一匹も入っていない。

で、ゆでる。短時間でいい。けっこういい匂いがする。ゆで汁を指につけてひと舐めしてみた……うぇッ。実はこのままイケるんじゃないかというわずかな希望は瞬時に打ち砕かれた。そういえば独特の苦い匂いも濃厚に立ちのぼっているのがわかる。



とにかくお湯を茹でこぼし、水を換えて冷蔵庫へ。これから一日一回のペースで水を換え、腐らないように三日に一回のペースで茹でこぼすことにする。

二日目……絶対ムリ
三日目……まだムリ
四日目……苦。
五日目……とりあえず苦いが、耐えられる苦さ
六日目……煮こぼすと苦みの匂いよりキノコの匂いの方が強い

と、段々有望になってきたところで、そのキノコは冷蔵庫の中にうずもれ、そして忙しい生活にうずもれ、私はその存在を忘れ去ってしまった。ゴメンよ、ニガイグチモドキ。

十日目。ふと思い出し、冷蔵庫を探してみると、ニガイグチはまだそこにあった、当たり前だけど。味見にかなり使ってしまったのと煮縮みしたせいで、量はだいぶ減ってしまったものの、まだ腐ってはいない。どう料理しようか迷ったが、簡単なのがいいと思って、オムレツにすることにした。

刻んだのを塩で軽くソテーして、卵に混ぜ、あとは普通にオムレット。



意外とおいしそうじゃないか。

撮影はそこそこにして、さっそくかぶりついてみる。

ん!苦くない。というか、普通においしい。

おいしいですよ!ニガイグチさん!と、私は落涙しながらオムレツをほおばった、というのは嘘八百もいいところだが、そのつるんとした食感は油や卵とよく馴染み、後味にわずかな苦みを残すのはもうアクセントと呼べるほどに気にならなかった。キノコとしての旨み成分は苦味と一緒に流れ出してしまったようで、そこは残念だったが、じゅうぶんに実用の範囲と言える。ちょっと感動してしまった。

食べられないものが食材に!この喜びをあなたも是非!(よい子はマネしない)




にせあしべにいぐち

2011-08-19 12:42:15 | キノコ
ニセアシベニイグチ。普通種のはずだが、私が三重できちんと見るのは今回が初めて。これまでめぐりあわせが悪かったんだと思う。

全般に大型なイグチ類の中でもかなりの大型クラスで、傘の直径が20センチになることもある。すらっとしたテングタケ類とは違い、太さも厚みもあるキノコだから相撲取りのような貫禄だ。

かつて私が無知だったころ、「イグチに毒キノコはない」という迷信を信じて、これをみそ汁にして友人たちにふるまったことがある(よい子はマネしないように)。その結果、8人中3人が腹痛を訴えたので、そこそこ毒キノコと見るべきだろう。不幸にも実験台にされてしまった方々に、この場を借りてお詫び申し上げる(彼らがこれを読むことはないだろうけど)。



柄と傘裏の境界線があいまいなのが最大の特徴。

ぬめりこうじたけ

2011-08-18 19:23:35 | キノコ
雨にぬれ、ぬめりのある表面が朝日に光る、まだ小さなキノコ。

なぜかわからないけど、こういう光沢のあるものに私は滅法弱い。

カナブンやコガネムシの仲間のテラテラと光っているのとか、タカラガイやキサゴなんかの貝殻のツルツルピカピカとした感じ。もちろん車とか包装紙とかの人工的な輝きも捨てがたいのだけれど、生き物のそれに比べればやはり劣るような気がする。

あー、でもお坊さんの頭とかは……除外。

せいたかいぐち

2011-08-16 19:24:20 | キノコ
おっ!

見つけた時おもわず声をあげてしまった。セイタカイグチ、しかも完品だ。

めずらしいという程ではないにせよ、最近ではそんなにお目にかかれないキノコ。採集会以外で見るのはこれで3回目くらい。

柄の網目のデザインがなかなかきれいで、キノコ撮影の対象としては上位の部類に入ると思う。これを見上げアングルできれいに撮りたいなー、というのが長年果たせずにいる構図のひとつだ。生えてるのは遊歩道の土手。位置がちょっと高いので手持ちの三脚では固定がままならんけど、がんばって撮るべ。



むむ……これが限界か?ホントはもうちょっと「セイタカ」って感じを出したかったんだけど……もう少し足が太くて傘が小さきゃねぇ、などとモデルにケチをつけてるうちに、直射日光が差し込んできて撮影できなくなってしまった。日が陰るのを待つにはもう日が高すぎる。次回に持ち越しか……ま、今回はこんなもんで。

べにいぐち

2011-08-15 19:18:21 | キノコ
その色と大きさで、遠くからでもことさらに目立つ赤いイグチ。

いい被写体になってくれそうなものだが、これがなかなか難しく、この日も含めて満足に撮れたことは一度もない。

原因はキノコの状態にあって、これがとにかく傷みが早い。

生長が早いぶん、組織が軟弱なのか、雨など浴びようものならまたたく間にカビに侵されて真っ白に腐ってしまう。

わりと普通種だけど、撮影しながら「うーん、難しいな」などと思案すること多々。



無難に撮るだけならいくらでも撮るけどねー。つい欲が出る。

こうして遊歩道沿いの土手に生えることが多いので、見つけるだけなら容易い。


おにいぐち

2011-08-13 19:20:26 | キノコ
地味ぃーな黒いイグチ。どちらかと言うと松林を好むような気がする。

オニイグチ系にはオニイグチとオニイグチモドキとコオニイグチとあって、その差は微妙。

なんとなく頭がツンツンしてるからコイツはモドキかなーと思うんだけど、正確な判別は無理だな。

普通種だが意外と見かけないのは地味すぎるためか。

若いうちは食べられるらしいし食べたこともあるが、無用にぷにぷにしてるだけのほほ笑ましい物体で、わざわざ食う必要はないと思われる。