月刊 きのこ人

【ゲッカン・キノコビト】キノコ栽培しながらキノコ撮影を趣味とする、きのこ人のキノコな日常

いかたけ

2022-11-12 10:12:45 | キノコ

菌友から「イカタケの卵をゲットした」との知らせが。

イカタケとは文字通り、イカの形をしたキノコ。たぶん、そんなに珍しくはない。でも、もみがらやおがくずのようなゴミっぽいものから生えてくるがために、われわれキノコ人の縄張りからは外れてしまうので、なかなかお目にかかることがないのだ。そのタマゴを入手したとは!ぜひとも拝見させてもらわねばならない。

ただ、こういう「タマゴから産まれてくる系キノコ」の例にもれず、こいつも生えてからの寿命がすごく短い。でもその代わりに、タマゴを持ち運びできるというメリットがある。今回、タマゴを少しおすそ分けしてもらい、自宅で観察することにした。

イカタケの卵は持って帰るとほどなくして孵化した。そう、孵化したのはいいんだけど・・・すっごいクサい!!
やはりイカタケも「タマゴから産まれてくる系キノコ」の例にもれず、悪臭を放つのだ。しかもこいつは強力なウンコ系!

しょうがないので家の外で観察することにする。

イカって言うよりはイソギンチャクだと思うんだけど、大気圏外から突入してきた未確認イカ物体が降下してきて地面に突き刺さったと思えば、やはりこの姿はイカ。
そういう目で見ると、足に吸盤がついてるようにも見えてくるので不思議だ。

将来的にはこれに米粒を詰めてイカタケ飯をつくろうと夢想している。

 


とびいろほうきたけ

2022-09-02 22:59:01 | キノコ

この夏は雨が本当に多い。
雲が厚く蒸し蒸しとしていて、カンカン照りという言葉を忘れてしまいそうだ。

キノコにはなかなかの環境・・・と言いたいところだが、ここまでに夏キノコはじゅうぶんキノコを生やしてしまった後なので、期待するほどは出ない。
この気候はヤマビルにとってベストコンディション。山へ行けばたとえキノコが無くともヒルに噛みつかれるのは確実なのだが、それでもちょっと出かけてしまう。

暑さに強いソライロタケに期待していたが空振り。そのかわりに、ちょっと珍しいキノコに出会えた。
トビイロホウキタケ。名前からはわかりづらいけど、ホウキの先端が青みを帯びるのが特徴だ。写真ではわかりづらいけど、肉眼で見ると空色に見える。幼菌だともっとはっきり青みを帯びるので、写真でもよくわかるほどだ。

1か所に6株もかたまって生えていた。三重ではホウキタケの仲間はなかなか出会えないのでちょっと嬉しい。期待できなくとも出かけてみるものだ。


ぬなわたけ

2022-06-26 19:28:45 | キノコ

三重県は6月14日に梅雨入り。例年よりちょっと遅め。

問題はちゃんと降るかどうかだね。あんまり降りすぎても困るんだが。

久々の山行きに出てみた。鈴鹿の山々はおしなべてキノコの乏しい土地柄なので、そんなに期待してはいなかったけど、それでも多少は生えていた。
小さな木片に生えていたのはヌナワタケ。色彩は地味でありながらも、柄にだけぬめりがあるのが大きな特徴の小型キノコだ。雨上がりで潤った柄が、ゼリーのような透明の粘液に包まれているのが見えるだろうか。

雨上がりでこちらもまた絶好調のヤマビルどもと格闘しながらの撮影だ。なかなかにシンドイ。


しわたけ

2021-11-21 00:56:57 | キノコ
山で妙なキノコを見つけた。

立ち枯れの木にへばりつくタイプのキノコで、遠目にはサルノコシカケっぽいやつかなー、と思ったのだが、近くで見ると妙にナマっぽい。質感としては、にかわ質っぽい雰囲気があって、キクラゲとサルノコシカケの中間、といったところだ。

形も変だ。何をどうしたらこんな形になったものか、タコの吸盤みたいになったり平ぺったかったりと不定形で、表面も、正体不明の海洋生物のようなシワが寄っている。

こんな特徴的なキノコなら調べればすぐ分かるだろうとタカをくくってたが、それは甘い考えだったらしく、図鑑を何冊調べてもなかなか分からなかった。でもどうやら、シワタケというキノコってことで良さそうだ。

本来はもっと普通にひさしのような形をしているはずなのだか、こういう形になることもあるらしい。検索をかけてみると、クワガタブリーダーが虫を育てるのに良いらしく、もっとも一般的なオオヒラタケに代わるものとしてシワタケ菌床が売られているとのことだ。

こんなマイナーなキノコを・・・彼らの飽くなき探究心には頭が下がる。

しらうおたけ

2021-11-02 02:53:39 | キノコ
古い倒木から、しらす干しみたいな小さなキノコがきれいに並んで生えている。シラウオタケだ。

このキノコは少し特殊な生態をしている。簡単に言えば「光合成をして暮らしているキノコ」なのだ。

よく梅の木や松の木なんかの幹に、コケみたいなのが張り付いてるのを見ることがないだろうか?あれはコケではなく「地衣類」と呼ばれる生き物で、菌類が光合成をする細菌と共生することで生まれた、言わば「植物化した菌類」なのだ。

よくよく見ると、木だけじゃなく地面にも石にもコンクリプロックにも、ありとあらゆる場所で観察できる地衣類だが、その中に、たまにキノコを作る種類がある。シラウオタケはその仲間の1つなのだ。シラウオタケの足もとが必ず緑色で覆われているのは、そういったわけである。

生態的には珍しいキノコだが、少なくとも私の住むあたりでは、少し標高を上げるだけでわりとよく見つかる。まるで測ったかのようにソーシャルディスタンスをとって整列しているのが面白い。

カエンタケを触ると皮膚がただれる・・・って実はウソ??

2021-10-25 02:15:02 | キノコ
近頃、カエンタケの記事を目にすることがあった。

カエンタケはどちらかと言えば夏のキノコなので、こんな季節になー、と思うわけだけど、それはさておき、その見出しは例によって『触るだけで被害』となっている。

基本的に毒キノコは食べさえしなければ害はない。だけど、カエンタケだけは例外的に、皮膚にも直接害の及ぶ猛毒・トリコテセン類を持ち、「触るだけでも危険」という触れ込みで巷でも有名になっている。

ところがだ。これだけ注意喚起されてる一方で、カエンタケを触って被害を受けたという報告は一件も見たことがない。これはどういうことか?注意喚起が功を奏しているからか?

もちろんそれはある。でもそれ以上に、カエンタケを触って皮膚がどうにかなることは滅多に無い、という事実がある。

実は私も自分の体で人体実験をしてみたことがある。普通に触ってても何も起きないので、業を煮やして折ったカエンタケの断面を腕にゴシゴシこすりつけてみたのだが、それでも何ともなかった。これはどう言うことか。カエンタケの毒はぜんぜん大したことないのか??

答えはNOだ。
過去に中毒死亡事故を起こした際には、中毒患者の吐瀉物が付着して手足の皮膚がただれたとあるし、他にカエンタケの成分抽出に当たっていた研究者の皮膚がかぶれた、カエンタケの切片を顕微鏡で観察する際に顔の皮膚がヒリついた、などの話を仲間うちで聞いたことがある。
強力な毒があることは、やはり間違いない。

さて、これをどう考えたらいいのだろう?


おそらくこういうことだと思う。
動物には、人が触ると激痛を受けるものが結構ある。
たとえばクラゲのカツオノエボシやドクガなどは、その毒から人々に嫌われる。
彼らは獲物をとらえたり身を守ったりするため、刺胞や毒針毛など、毒を相手の体に打ち込む仕組みを持っている。だから触れただけで危険なのだ。

一方で、カエンタケはそのような仕組みをいっさい持たない。持っている毒がいくら強力でも、それはカエンタケの体外には出ないので、ただ触るだけなら大丈夫、という訳だ。

問題はどう言う条件だとこの毒が作用するか、ということだが、これはまだよく分からない。
カエンタケの表面は問題が少ないとしても、断面は危険に違いない。でも私の実験から考えるに、断面も触るだけなら大したことが無いかもしれない。もしかしたら水分を媒介させないと、毒成分は滲み出てこないのかも。

どこに触れるかも重要だ。たとえば手の皮膚は強いし、顔の皮膚は弱い。目や唇・口内などの粘膜はダイレクトに毒が届くのでいっそう危険だ。カエンタケを食べると、消化されて出てきた毒成分が粘膜だらけの消化管を駆け巡るわけだから、胃腸の表面が全部ただれる。そりゃ悲惨だよな・・・。

腐りかけのカエンタケが雨にぬれてたら触るだけでも危なそうだ。体質的に皮膚が弱い人もデータが無いので分からない。
ま、やっぱりお世辞にもカエンタケが安全とは言えんな。

とは言え、巷の印象にあるような「近づくだけでヤバいキノコ」という存在には程遠いものであることは間違いない。
物心つかない子供が折り取って口に入れたりすればもちろん危険だ。カエンタケをベタベタ触った手で目を擦ったり鼻をほじったりしたら、それもかなり心配。腐りかけのカエンタケも危ないが、その頃には赤い色もあせて何がなんだか分からないので、興味をかき立てられることは少ないかも。まあその辺りにさえ気をつけていればいい。要するに触るなってことだけど(笑)

少なくともスズメバチやマムシ、マダニほどの脅威ではないんじゃなかろうか。なんせ、向こうから噛み付いてくることは無いんだからね。

と言うことで、キノコ愛好家として、私はカエンタケの駆除には反対。注意喚起か、せいぜい立入禁止までで対応すべし、と主張イタシマスのでご理解のほどを!



ヒスイガサはフカミドリヤマタケじゃなかった??

2021-10-19 21:05:11 | キノコ
以前投稿したヒスイガサだが、この10月に再び発生してきた。基本的に夏のキノコって認識だったけど、ここのとこの暖かさに誘われて生えてきたものか。
それはそうと、今頃になって新しいことに気づいた。

このヒスイガサという名前は、実はアマチュアの手によってそれっぽくつけられた仮の名前で、まだ正式な名前は無い。
ただ、青森のハイアマチュア・工藤伸一先生の手により日本菌学会において簡単な報告が出されており、そこで、よく似た特徴のキノコに「フカミドリヤマタケ」という名前が与えられている。簡単な解説とはいえ、濃緑色で小型、夏に草地に生えるという特徴は他にそうそう見られるものではないので、おそらく同じものだろう、つまりヒスイガサ=フカミドリヤマタケ、という認識でいた。

ところがだ。

青森県きのこ会の協力のもと工藤先生が2017年に発行した『青森県産きのこ図鑑』。この図鑑、ヌメリガサ類を長年追い続けてきた先生の著書だけあって、ヌメリガサの掲載がやたら充実しているのだが、その中のフカミドリヤマタケのページを見てみると・・・


うん??なんか自分の知ってるヒスイガサと全然違う。
緑色が妙に薄い。いや、単に古くなって色あせただけなのかもしれんけど。
あと傘が大きい。図鑑によれば直径2.5センチとある。ヒスイガサは1~1.5センチがせいぜいと言ったところだ。
柄も傘に対して太い感じがするし、ヒダも印象がすこし異なる気がする。


あまり勝手な判断はできないが、フカミドリヤマタケ≠ヒスイガサとしてもいいような気がする。

たまむくえたけ

2021-10-18 01:19:24 | キノコ
雨が降ると、キノコが出る。

これは半分当たっているし、半分当たっていない。
必ずしもキノコの発生の引き金は雨だけではなく、たとえば地温だったり、あるいは栄養状態であったりするからだ。でもキノコの中で、割と雨に早く反応する種類もある。特に畑に生えるキノコなんかはそうだと思う。

畑に生えるキノコは、茶色くて小さい地味なものが多く、正直なところ、種類もわからないことが多い。でも「たま」には名前のわかるものがある。

タマムクエタケはそんなキノコの1つ。キノコを見る限りはほとんどなんの特徴もなく、調べるのにもほとんど取っ掛かりがないのだが、少し根本の地面をほじくって見るとわかる。地下から「タマ」が出てくるのだ。


見た目は木の実のような直径7〜8ミリの茶色の玉には白い菌糸が無数にからんでいて、それが菌類のものだとわかる。これは「菌核」と呼ばれるもので、ちょっと乱暴に言えば、植物で言うところの「イモ」にあたる。高温や低温、乾燥に耐えるためだろうか、こういう菌核を作るキノコは他にもいくつも知られている。

調べてみるとキノコはタマから直接出る感じてはなく、タマから伸びた菌糸の中からキノコを出している感じだ。同じような環境にキンカクイチメガサという名前のキノコも知られているが、そちらは柄がやや太く、ヒダが紫褐色を帯びるらしい。

やまどりたけもどき

2021-10-09 23:26:41 | キノコ
夏は遠くなりにけり

今やすっかり秋だが、秋になるとキノコ(本業)が忙しすぎてキノコ(趣味)をしている時間と体力がなくなるという恒例のナゾ現象が起こるので、夏キノコを回想してお茶を濁すことにしよう。

さて、写真はヤマドリタケモドキ、別名・ポルチーニ。身近に生える夏キノコとしては最高峰の食用キノコ・・・のはずなんだけど、いくつか取り扱い説明が必要になる。
①慣れないと判別がちょっと難しい
②おいしいのは幼菌
③速攻で成長して速攻で腐る
④やたらとキノコバエに好かれる。連中の消化液により速攻で腐る
⑤乾燥すると香りが活きる。ただし失敗すると腐る

腐る、腐る、腐る。そう、とにかく腐る。
なので「高級キノコ」なんてもてはやされても、市場には全く流通しない。しょうがない、日本の梅雨は高温多湿。外から雨、中からコバエに攻め立てられては巨大なキノコ城もあえなく陥落するというものだ。
山で食べごろのヤマドリタケモドキに出くわしたとしたら、それだけですごく幸運と言えよう。

さて、①の判別に関してアドバイス。
実はヤマドリタケモドキ、ものによって見た目がかなり違う。たとえば東北あたりに生えるのを写真で見ると、んんん~??ってなる。どうも違う種類がいくつか混じっているらしい。
それでも判別するときに見る点ははっきりしている。

①デカい(最大で直径20センチくらい)
②柄がベージュ色
③柄の上の方を見ると柄と同じベージュ色の網目模様がある(すごく薄いこともある)
キノコをタテに真っ二つに切ると
④肉に変色性は無い
⑤管孔(傘の裏側)は黄色っぽい

細かく見るとまだあるけど、目立つのはそれくらいかな。

間違えやすいのは
◎ホオベニシロアシイグチ(傘は灰色系、管孔は白で茶色く変色、柄は白く、下までびっしり網目模様、酸っぱい)
◎チャニガイグチ(管孔は白で茶色く変色、柄も触ると変色、薄茶色の柄に茶色の網目模様、少し苦い)
◎クロアワタケ類(管孔は白で茶色く変色、薄茶色の柄に茶色で縦長の網目模様、真っ二つに割ると柄の下の方が黄色い)
◎ウツロイイグチ(ヤマドリタケモドキより小さい、管孔は黄色系、柄にだんだら模様があるが網目は無い)

◎あと、他のヤマドリタケ類(ヤマドリタケ、ススケヤマドリタケ、コガネヤマドリ、キアシヤマドリ(仮)のほか、無名・仮名称の物が複数ある)も。

うおー!多いしややこしいし・・・この辺が区別できればもうイグチマスターやんけー!!













ふくろつるたけ

2021-10-03 18:31:37 | キノコ
フクロツルタケ。おそらく東海地方の低地ではもっとも身近に見られる猛毒キノコ。

褐色を帯びる大きな袋状のツボに、すこし毛羽立った傘を持つという特徴は、似たり寄ったりのテングタケの仲間としてはかなり個性的で際立っているため、誤食は少ない。

実はシロウロコツルタケとアクイロウロコツルタケというよく似たキノコがあり、変色性を調べる必要がある。

たまごたけ

2021-09-24 23:53:47 | キノコ
真っ白の卵から生える、真っ赤な傘と真っ黄色の柄を持つキノコ・タマゴタケ。キノコ界のトップアイドルだ。

ベニテンがおっとり天然系乙女で、キヌガサタケが妖艶なミステリアスガールだとしたら、タマゴタケは元気ハツラツ娘といったところか?

どこにいても目立つ容姿はもちろんのこと、テングタケ類として例外的に安心して食べられるキノコって点でも強烈にアピールしており、そのサービス精神には頭が下がる。

ただ、食用キノコとして見た場合、旨味こそ突出しているものの、歯ごたえや香りの面でかなり物足りない面があるので、調理法を選ぶかもしれない。最近はネットなんかで生で食べる調理法も紹介されているが、人体実験になるんでオススメはできませんなー。

東海、近畿では低地の里山で見ることは滅多にないが、すこし標高を上げれば見ることができる。

ニョロニョロ

2021-09-20 23:58:30 | キノコ
超定番の公園キノコ・通称「ニョロニョロ」。

フィンランドの女性作家、トーベ・ヤンソンの「ムーミン」に出てくる、地面から生えてきて正体不明の、何をするでもないけど不気味かわいいアレである。

今まで数限りなく見てきたけど、大した特徴もなく、しかもありきたりで小さい上に写真映えするでもないこのキノコは、他のキノコに押しのけられて完全にスルーしていた。でもよくよく考えてみると、コイツのちゃんとした名前がわからない。こんなド普通種の名前が言えないのは、実はけっこう恥ずかしいことなんではないかと、今更ながら気になってきた。

「そんなもん図鑑で調べれば一発やん」と、皆はそう思うかもしれない。でも、実際に図鑑で調べてもけっこう微妙なのだ。

一番近そうなのはカレエダタケモドキ。次にムラサキホウキタケモドキってのもある。さらに調べるとシロソウメンタケモドキというのも見つけた。

ただ、ムラサキホウキタケモドキは形こそ似ているが明らかに灰紫色を帯びているので、これとは違う。問題は残りの2つ。

とにかく載ってる図鑑が少ないのだ。カレエダタケもシロソウメンタケもたいていの図鑑には載ってるのに、モドキがない。「北陸のきのこ図鑑」には両方載ってるが、なんかやっぱりよく分からん。最後の砦・原色日本真菌類図鑑でも微妙だ。

カレエダタケモドキとシロソウメンタケモドキは見た目は似ているけど分類の上では遠縁のキノコだから、見分け方がそんな難しいはずないのにッ!!ナゼだァァァ!!

そう頭を抱えていると、ふいに天の声が聞こえてきた。

にくしつ・・・肉質ですよ」と。

そう、シロソウメンタケ属はもろい。カレエダタケ属はもろくない。触ればわかるのだ!

てーことで、今度会ったら試してみよう。ありがとう天の声!!




こてんぐたけもどき

2021-09-17 00:59:12 | キノコ
名だたる猛毒キノコを含む危険なグループ、テングタケ類。
正直なところ、このグループのキノコさえ避けておけば、死に至るような重篤な中毒事故の8割は防ぐことができる。だから、仮に毒がないとしても、みんな手を出さない。まともに利用されてるのはタマゴタケくらいかな。

写真のコテングタケモドキは、そのテングタケ類の中でも特に危険な「タマゴテングタケ節」というグループに属する。基本的にはこれも有毒種扱いでアンタッチャブルなキノコ・・・のはずなんだが。

実はこのキノコを食べている人がいるという噂が、以前からまことしやかに語られていた。ネット上には試食してみたという記事もあり、個人的に真相を知りたいところだったが、最近、SNS上で「常食している」という方に出くわした。

どうも別のキノコ(オオフクロタケ)と誤認していたらしいのだが、とにかく15年来食べ続けており、食後も身体に異常はないという。

調べてみると、中国ではこれとそっくりのキノコAmanita manginiana を食用にしているそうだから、まんざらありえない話ではない。普通種で、かつあの大きさのキノコがもし食べられるのなら、きのこ狩りとしてはなかなかの獲物だ。

ただ一方で、コテングタケモドキによく似たキノコが複数種混ざっているという疑いもあるという。もし、無毒のコテングタケモドキの中に有毒のコテングタケモドキが混じっているとしたら・・・これはもう完全なロシアンルーレットではなかろうか。

・・・ていうことで、やはり実際に食べている人がいるのを知ったところで、コテングタケモドキに手を出す気にはならない。天下の悪食を誇る私ではあるが、やはりコテングタケモドキ(他にシロテングタケとかシロオニタケとかハマクサギタマゴタケとか)のようなテングタケ群に挑むには、精神的に高い高い壁を感じる。

いつか大飢饉が起こって、明日食べるものにも困ったら、その時は試すことにしよう。




かればきつねたけ

2021-09-14 18:18:31 | キノコ
カレバキツネタケ。このあたりでは定番中の定番普通種。

特に、さほど年数を経てないような若いカシやナラの樹下に多い。
他のキツネタケの仲間と同様、木の根に取り付いて共生する代表的な菌根菌だ。名前の「カレバ」はどこから来たのやら?


湿っていれば、ややオレンジがかったベージュ色となめらかな質感があって美しいが、乾くと白っぽくなる。そうなると、同じく群生するオオホウライタケと間違われやすい。カレバキツネは傘の中央がくぼむのですぐわかるけどね。

そういえば可食きのこだったっけ?ちゃんと味見したことないなぁ。

ずきんたけ

2021-09-11 00:35:43 | キノコ
雨にぬれるとつやつやのグミキャンデーみたいな傘がキュートなキノコ。
こう見えて「子のう菌」(チャワンタケやアミガサタケなど)の仲間なので、傘の裏側を見てもヒダは無い。ほんとうにグミキャンデーだ。

どちらかというと人の手が加わったような場所が好きらしく、山よりも都市公園で見ることの方が多い。
カシやナラの木の下の、ちょっと苔むしてるか、あるいは地肌がむき出しになったような場所に、カレバキツネタケやニオイワチチタケなどの常連と同じ時期に生えるとこを見ても、菌根菌の仲間なんだろうと推測できる。
子のう菌ではっきり菌根菌ってわかるヤツというのは実はけっこう珍しい。他にはトリュフとか?


雨上がりにワラワラっと生えてくるのを見るとテンション上がるね~。