月刊 きのこ人

【ゲッカン・キノコビト】キノコ栽培しながらキノコ撮影を趣味とする、きのこ人のキノコな日常

トガリアミガサタケについて

2015-03-28 20:36:25 | キノコ
トガリアミガサタケについて調べていたら衝撃の事実が判明した。

『トガリアミガサタケという種は現在、存在していない』

ウィキペディアによれば、「トガリアミガサタケ Morchella conica」は2014年、DNA分析により、数種に分類できることが判明したらしい。結果として、従来のMorchella conicaという種類は消滅することになったようだ。

トガリアミガサタケという和名もこれで宙に浮いてしまった。今後、日本に生えるブラックモレル(頭部の黒いアミガサタケ類)の解析が待たれるが、再分類されたアミガサタケのうちのいずれかに、改めてトガリアミガサタケという名前がつくことはあるかもしれない。

ただ、心配なのは、それら数種がはっきりした外見的な差を持っていないかもしれないことだ。もしアマチュアに判別ができないほど似ていたら、DNA解析をしない一般のキノコ好きは「アミガサタケの一種」としか名前を呼べなくなってしまう。

そこで私は、従来通り「トガリアミガサタケ」という呼び名をブラックモレルの総称として便宜的に使っていくことを提案する。

今後、DNA分析がすすむと、外見では区別できなかった種類の細分化がさらに進むと思われるが、正直言って、そういった「正しい分類」はアマチュアに混乱を生みこそすれ、利益をもたらすことはないように思う。そう考えると、科学的に正しい分類とは別に、「便宜的な分類」を割り切って使う方が現実的で正しい選択じゃなかろうか。

科学の正しさに一般の人はついていけなくなってしまった。正しさは必ずしも正しくない。

訂正あり

しとねたけの仲間

2015-03-24 19:16:09 | キノコ
スギ林をぶらつく。お目当てはキチャワンタケだったんだけど、探し方が悪いのか場所が悪いのかタイミングが悪いのか、見つからなんだ。

かわりといっちゃなんだけど、シトネタケが苔むした切り株に生えていた。まだ出始めで若々しい。「しとね」は寝たり座ったりするときに下に敷く敷物のことだそうだ。確かにこれならクッションにしても居心地良さそう。加山雄三の「君といつまでも」の歌詞にも出てくるなぁ。

ちょっとキクラゲっぽくも見えるけどチャワンタケの仲間。よく似たフクロシトネタケとオオシトネタケがある。肉眼で両者を判別するのは無理だそうな。

とがりあみがさたけ

2015-03-21 21:35:44 | キノコ
今年も会えた、春の使者・モレルさん。

あいかわらず出る場所は予測がつかないが、なんとなく生えそうな場所の雰囲気はつかめてきたような・・・。
「桜の樹下」と言われているけど、あんまり関係ないような気がする今日この頃である。


(以下、専門的な内容にナリマス)

実は最近、今までトガリアミガサタケにそっくりな「アシボソアミガサタケ」というキノコが存在するという事実を知ったのだが……図鑑によって取り上げ方がまちまちで、いまひとつよくわからん。ヘタをすると今まで見てたキノコは全部アシボソじゃないかとも思えるんだけど……


トガリアミガサタケ
原色日本新菌類図鑑
中型(10センチ前後)横脈が少ない 肋脈の稜ははじめ軟毛 柄が長め(頭部と同程度)で頭部に対しやや太め 
北陸のきのこ図鑑
8~15センチ 肋脈のくぼみは黄褐色~淡褐色 柄は汚黄土色~淡橙褐色 柄は5~10×1~2㎝ 胞子は厚壁


アシボソアミガサタケ
原色日本新菌類図鑑
小型(5センチ前後) 横脈わずかに発達 柄は短めで頭部に対し細め あとはほぼ同じ
北陸のきのこ図鑑
3.5~10センチ 肋脈のくぼみは暗褐色 柄は白~淡黄土色 基部やや肥大し縦じわ有り 柄は2~5×0.5~1㎝ 


アシボソアミガサタケが掲載されている図鑑が圧倒的に少ない。手元の図鑑では上記の二つと山渓「日本のきのこ」、それに「北海道のキノコ」「北海道きのこ図鑑」。

山渓「日本のきのこ」の写真を見ると、トガリアミガサタケの印象が全然違う。このタイプを自分は見たことがない。だが、「原色日本新菌類図鑑」のイラストを見ると、あんまり違わない感じで??である。「北陸のきのこ図鑑」はわりとはっきり描きわけられいて、特に柄が違う(アシボソは白っぽくて基部にしわがある)。あと、頭部の色のコントラストが違う(アシボソは凸が白っぽくて凹が黒っぽい)

なんかそれぞれ微妙に食い違う(-_-;)

と、ここまで調べてきて今回アップしたヤツを見てみると
高さ10センチ弱(どっちともとれる)
頭部は縦脈が言うほど強くない(アシボソ)けど凹部は淡褐色(トガリ)
柄は茶色っぽくて、基部にしわがない(トガリ)

多数決でトガリ!

っていうか、この分類本当に意味あるんか~?


追記:ウィキペディアによれば、「トガリアミガサタケMorchella conica」は2014年、DNA分析により、数種に分類できることが判明したらしい。結果として、従来のMorchella conicaという種類は解体されることになったようだ。したがってトガリアミガサタケという和名も宙に浮くことになりそう。

学術的には、再分類されたアミガサタケのうちのいずれかに、改めてトガリアミガサタケという名前がつくことはあるかもしれない。ただ、それら数種がはっきりした形態的な差を持ってないかぎりは、従来通り「トガリアミガサタケ」という呼び名がブラックモレルの総称として便宜的に使われていくことになると思う。

……今後、DNA分析がすすむと、種類の細分化がさらに進むと思われるが、それは私のようなアマチュアには到底ついていけない領域になるだろう。正直言って、そういった「正しい分類」はアマチュアに混乱を生みこそすれ、利益をもたらすとは思われない。そう考えると、科学的に正しい分類とは別に、「便宜的分類」を割り切って使う方が現実的で正しい選択であるように思う。

科学の正しさに一般人はついていけなくなった。正しさは必ずしも正しくない。

しょうろ

2015-03-19 18:50:13 | キノコ
松露。

マツにつく菌根菌。ショウロの菌にとりつかれたマツの根は、分岐が増えて、さらに細かい根をたくさん出し、厳しい条件にも耐えられるようになるという。近年はその性質を活かして、海岸のマツ林の再生プロジェクトに利用されている。

地中生の菌で、地上にあたまを出したり出さなかったり。古くなるとガスのようなニオイを強烈に発する。昆虫を呼び寄せて胞子散布に利用するのだろうか。

中が白いうちは食べられる。上品な香りと旨みがあるが、イグチに近い風味を確かに感じる。やっぱりイグチから派生したキノコなんだなぁ。

ちいさいキノコ

2015-03-17 21:04:19 | キノコ
湿った草むらに小さいキノコが群生していた。いや、これはもうわからんでしょ、っていう感じの茶色いキノコだったけど、この時期に生えるキノコは多くないから絞り込めるかもしれん・・・

湿っている状態だとはっきりと条線が見てとれる。早春に枯草とか枯れ葉とかに生えるチャムクエタケモドキってやつかなぁ。


チャムクエタケモドキのひだは直生~やや垂生ってことらしいので、なんとなく違うような。もうちょっとマジメに調べとくんだった。


可愛い写真がとれたからいいってことにしとこう。

おおいぬのふぐり

2015-03-13 21:21:09 | 植物
早春の顔ともいえる雑草・オオイヌノフグリ。

よく見るとナズナやらオランダミミナグサやらスズメノカタビラやら、他にもいろいろ咲いてるんだけど、いかんせん目立つのはこの青い花。

残念なネーミング・ベストテンに必ず入ってくるお方だが、いやいや、フグリなんてもう死語だから大丈夫!むしろこの滅びそうな言葉を後世に残そうと頑張っているんだ!(*^◯^*)

……と、精一杯ポジティブにとらえてみる。

こういう背が低くて横に広がる植物って、花をよく選ばないとうまく撮るのが大変。

ふきのとう

2015-03-10 23:10:36 | 植物
春だというのに晴れ間が出ない。撮影で春らしさを演出するにはお日様が欠かせないというのに~(/_;)

つかの間の晴れでフキノトウを撮影した。2月から出てるけどなかなか大きくなれないでいる感じ。例年通り、しばらくは野草撮影でウォーミングアップするつもり。

しいたけ

2015-03-07 21:39:50 | キノコ
わたしの主人・シイタケ様。

シイタケは春と晩秋がシーズン。露地の原木栽培シイタケは3・4月に発生が集中する。寒さの中で育ったものは歯ごたえがよく、味も香りも最高。

この写真のは多分、野良シイタケ。たしか昔、この公園のシイタケ菌打ちイベントで余った種駒をダメ元で倒木に打ち込んでたから、それが運よく生き残ったんだろう。野生じゃないけど、栽培したわけでもないので野良(笑)

もし趣味で原木栽培をしてる方がいらっしゃったら、忘れずにチェックなさいませ。

すえひろたけ

2015-03-03 21:04:59 | キノコ
当たり前に生えすぎてて無視されがちなスエヒロタケ(須江 博丈)さん。
粉雪のような傘のけば立ちやヒダの様子なんかは、目を向けてみると意外と美しい。
海外で食べる地域があるというので、一度試したいもんだが・・・?


《きのこビジネスのお話》
キノコ生産大手・雪国まいたけの近辺が、何やら騒がしい。TOB(株式公開買い付け)・・・アメリカの投資会社からの買収?と思ったらどうも様子が違うようだ。経営を譲ったものの大株主である創業家と、経営刷新のために外部から招かれた新経営陣が対立、これがどうにもならんくなったのに業を煮やした取引銀行が、創業家を排除するために外資の力を借りて仕掛けたらしい。

うおー、だいぶ前からゴタゴタしてたけど、まだやってたんや……

カリスマ社長が一代で築き上げたキノコ会社。内紛をこじらせて行くところまで行った感じ。安定感抜群のホクトとは水をあけられてダブルスコアに。もちろん雪国まいたけ社がここに至ったのも、良くも悪くもライバル・ホクトの存在があったからこそなんだけど。

ヘルシーなイメージのキノコとは裏腹に、キノコビジネスの世界はどろどろしたりもしているのだった(-_-;)