月刊 きのこ人

【ゲッカン・キノコビト】キノコ栽培しながらキノコ撮影を趣味とする、きのこ人のキノコな日常

モグリ脱却リターンズ~アッとびっくりまたキノコ~

2010-04-29 21:30:52 | キノコ
むむ、苔むした朽木。あったあった、今日の本命キノコ、ウラベニガサだ。ええ、4番目くらいの本命……

とりたてて特徴のないのが特徴、スタンダード・オブ・スタンダードと呼んでおこう。おもしろみはないが、フォルムは均整がとれていて美しい。

ありゃ、あっちに大きめのキノコがある。なんだか汚らしいけど、どっかで見たことあるよーな……って、こりゃCタケじゃありませんか。ウチの工場から胞子が逃げ出したかしらん。なんだかシルエットも工場で扱ってる品種に似てるし……ま、いいや、せっかくだからきれいに撮っちゃる。



シイタケはうららかな陽光のもと、胞子をまき散らしていた。

作戦終了。昼飯にするべさー


……その日の午後、これまたなんとなく偵察に出かけた別の神社で



ノーマルキクラゲと



ヒトヨタケを発見

予想外の収穫にホクホクの日であった。

げっ!捨て猫も発見!見てない見てない

モグリ脱却リターンズ~ファンデーションは永遠に~

2010-04-28 23:55:08 | キノコ
昨日降り続いた、長く肌寒い雨が今日はウソのように上がり、今日そこら中にただよっているのは、いつの間にかやって来ていた初夏の空気。そのモンヤリとした雰囲気に、とにかく何でもいいから外を歩こうと思い、ついフラフラと外へ出かける。

といっても特にアテがあるわけでもない。キノコシーズンにもまだ早過ぎるしな……ま、いいか。

季節外れのアミガサタケがまた生えてるかもしんない、いや、早春に照葉樹林にみられるベニタケ類が奇跡で見つかるかも、いやいや、そんなもんよりハルシメジがどこかにあるやもしれん、いやいやいや、だいたい梅林なんかこの辺りないじゃん、だんぜん樹上菌狙いだって、いやいやいやいやいやんいやん。

とにかくひどく曖昧な狙いで、二週間前に訪れたばかりの神社にでかけることにした。



二週間前のアミガサタケがまだ頑張っていた。老いても仲睦まじいこと。

うーん、予想はしていたが他にアミガサタケは全然ない。次は境内内の鎮守の森を歩くことにしよう。

そういえばこの辺で昔、このくらいの時期にヘンな極小キノコを見つけたんだたっけ……

あったあった。あの時と同じ場所にまた生えてる。名前は、えーと……マユハキタケ?タブノキに生えるって。間違いなさそうだな。


ファンデーション用のお化粧アイテムみたいで面白いけど、被写体としては地味過ぎ。でもキノコ界でもその筋の人(?)なら喜ぶかもしんない。ちなみにこのマユハキタケは分類上、キノコとしての地位がかなり怪しいようだ。

お次はぷにょぷにょキクラゲ発見。なんだ、探せばけっこうあるじゃないか。



シロニカワタケ。脳みそっぽいしわがキュートだ(ということにしておいてくれ)。昔、奈良の春日大社で一度だけ見かけたことがある。神社の森の照葉樹が好きなのかもしれない。



望遠でもう1枚。光条件がいいのでこんなモノでもけっこう遊べる。

『兵庫のキノコ』

2010-04-23 21:25:59 | キノコ本
『兵庫のキノコ』 兵庫きのこ研究会編著

六甲山系という地の利を有し、西日本でも有力と見られるキノコサークル「兵庫きのこ研究会」の手によるローカルきのこ図鑑。
 
なんといっても「キノコが好きなんじゃ!文句あるか!」とでも聞こえてきそうな趣味全開の作りがすばらしい。従来の「採る・食べる」だけにとどまらず、「見る・撮る」のコーナーに力を入れたところにその想いが感じ取れる。

持ち寄りの写真と文章も力作ぞろい。各人が個性的で活き活きとしていて、いかにもキノコ好きな人々が楽しみながら作ったという雰囲気が伝わってくる。
 
以下引用。
 
『このキノコとの初めての出会いは2月、にわか雪がちらつく寒い日だった。腐朽の進んだ倒木に、寒さにも負けず凛とした姿で群生していたのには感動した。』(センボンクヌギタケ:田中實)
『幼菌のころ、青緑色の傘にこってりとヌメリをまとった姿はまるで和菓子のようだ。低地からブナ帯でも見かけたことがあるが、その色から意外に見つけにくい。落ち着いた黄緑色のこのキノコを見つけると何故かホッとする』(モエギタケ:土屋規麻太)
『早春の残雪の中で見つけたときには、鮮やかな紅色と真っ白な雪のコントラストに心が躍る。形もお椀形で可愛らしく、見つけるといつも採取してしまう。』(ベニチャワンタケ:松谷寧子)
 
いやー、温かみのある文章の図鑑というのはシロウトにしか成し得ないこと。悪いことばかりがクローズアップされがちな現代だけど、こんな楽しいこともできるようになったんだから、なかなか捨てたモンじゃないよ、今の世の中。
 
  
写真・文章・レイアウト、いずれもレベル高し。後ろ半分の『キノコを楽しむ』コーナーの構成も出色。実用的というより娯楽的図鑑だが、この開放的な雰囲気は捨てがたい。西日本のキノコファンには断然オススメの五つ星。

キノコ界の宇宙人

2010-04-16 22:47:45 | キノコ
アミガサタケの発生場所について、どうも腑に落ちないので、ちょっと調べてみた。

『原色日本新菌類図鑑』(保育社)……林内の地上(トガリアミガサタケ)
『日本のきのこ』(山と渓谷社)……林内地上あるいは路傍
『カラー版きのこ図鑑』(家の光協会)……林内地上あるいは畑地や道端など

ま、そっけないと言えばそっけない。大半の図鑑はこれらと似たり寄ったりのことが書いてある。

ちょっとつっこんだ書き方をしているのを探すと

『兵庫のキノコ』(神戸新聞総合出版センター)……
ソメイヨシノの開花前後に、その樹下やイチョウの樹下、道端などに発生(トガリ)

『都会のキノコ図鑑』(八坂書房)……
腐食の多い地に発生し、特にサクラの樹下のツツジの植えこみに多く見られる

といったところが。食べられるキノコ系のガイドブックにならば、もっと詳しい記述が得られると思うけど、あいにく私の手元にはその手の本が少ないので。

そんな中で、高山栄 著『おいしいキノコと毒キノコ』(ネイチャーネットワーク)にかなり詳しい記述がある。ちょっと引用長いけど……

……アミガサタケは特に有機質の環境を好むようである。まったく有機物質が無い場所から発生したときでも、その土地の以前を調べると必ずと言ってよい程、過去には廃棄処分された物の置場所
であったりする。
切り通しの崖の上方からは毎秋落葉(主に広葉樹)があり、冬には霜が降りる。また、雨により崖の肌土がその落葉の上に落下する。地面は落葉と礫とのサンドが繰り返される。この状態のところにアミガサタケの菌糸が伸びてキノコを形成している。(引用終わり)

なるほど、説得力がある。切り通しの真下は確かにアミガサタケの好むポイントであるような気がする。今回もそのような場所でみつけたものがあったし。ただ、全部が全部そうなのか、というと、そうでないような気がするのもまた確か。なかなか難しいな。

さて、次はネット上を調べてみると

「サクラの樹下を好む」「イチョウの樹下を好む」の他に、「アルカリ土壌を好む」てのが出てきた。やっぱり気づいてた人がいるのね……というか、私もどっかの本でそれを最初に知ったような気がする。

そんななかで、面白い考察が書かれているところを見つけた。こちら

サクラ・イチョウ・アルカリ性土壌、一見バラバラに見える性質に共通項を見出すとしたら……なるほど、アレロパシーってのがありましたか。確かにサクラの樹下で見つけるときは、根の伸びるあたり、とかではなくて「真下」に生えてるような気がするんだよね。『きのこの絵本』(渡辺隆次 著筑摩書房)で「柿の木の下に生えた」と言っているのもそれで説明がつく(柿も同じような性質を持つ)。

きっとアミガサタケは、他の菌類、あるいは植物が嫌うようなところを好む、いわゆる「タデ食う虫」なんだろう。

……発生時期といい発生環境といい形といい、とにかく変なところだらけのモレルさん。『キノコ界の宇宙人』の称号を与えてもいいんじゃないか?

モグリ脱却~桜散るホワイト~

2010-04-15 00:20:16 | キノコ
最初のポイントを見つけたのに喜び勇み、「この分ならあと3ヶ所くらいは堅いな」と思って最初の群落をさっさと見切り、境内の周りをぐるーーーーーーりとたっぷり1時間かけて回ったんだけど……なんと一本もなし。そればかりか天気までおかしくなり始め、やがて霧雨が降りだした。げげー、堪忍してくれ、と思いながら、探し疲れた足を引きずるようにして振り出しの駐車場に戻った。

でもオケラじゃない。気を取り直して最初に見つけた群落の周りをもう少し丁寧に見ることにした。

ヤッホー、あるじゃん、歩道の際に。状態のよいホワイトさんがデュエットで。しかもバックの桜の花びらが季節感と彩りを添えてくれて理想的。しばらくぶりに出会ったテンション上がるキノコだ、撮れ撮れー!



30分ほど張りついて存分に撮った。歩道の真ん中で四つ這い撮影などしていたために、道中で突っ伏して倒れた病人かなにかと間違えたのか、車で通り過ぎた後、わざわざバックで戻ってきて声をかけてくれたオバチャンにはさすがに冷や汗かいたけど……


望遠レンズでも撮ってみた。

アミガサタケがこんなに力のある被写体だとは思わなかった。私にとっちゃすごい発見だ。キノコの楽しみがまたひとつ増えたな。

ホワイトさん、ありがと。またね。

モグリ脱却~ホワイトさんを探して~

2010-04-13 22:38:47 | キノコ
今日はホワイトさんの捜索にあたった。

実はホワイトさんとは会ったことがない。これまで会ったのはブラウンさんばっかり。だいたい同じようなところに生えるということは聞いたことがあるけど、その他のことはよくわかんないので、とりあえずブラウンさんがいそうな場所を探すことにする。

前回そこそこの成果をあげたアルカリ土壌戦略にしたがうと、実は最適な場所がもう一つある。私の家から目と鼻の先に、小さなセメント山があるのよね。そこから下へ目をやると、大きな神社が一つ。しかも桜がうじゃうじゃと植わっている。ここ行きゃ間違いあるまい、ホワイトさんに会えますように。

この神社は敷地が広い上に、ちょっとした花見の名所として知られるだけあって、バカみたいにたくさん桜が植えてあるので(200本くらい?)、ありがたい反面、探すのがちょっと大変。昨日の大雨で桜の花びらが大量に散って地面をおおっているため、私のキノコ眼も右往左往、いよいよ探しづらい。

うーん、いないなぁ。桜のあるところを一本ずつ丹念に探すのだが、ホワイトさんはともかくブラウンさんの姿も見当たらない。間違いなくアルカリ土壌のはずなんだけど……この仮説は撤回せにゃならんかなー。


お、あったあった。しょぼくれたのが一本、二本、三本四本。お初にお目にかかります、ホワイトさん。


春風

2010-04-11 23:45:47 | キノコ
今日は実家へ。去年の冬に見つけて写真を撮りそこねたハマシメジのことを思い出し、お使いのついでにチラッと寄り道して見てきた。初冬に生えるんだから春に生えてもおかしくない、という読みだったんだけど……

あった。なんとか一株だけ。干からび加減の上にトップライトで条件悪いけど……生えた場所が良かったから許す。遠景に海を入れて満足。

この時期に地元では春祭りが行われる。「ゆるい」としか言いようのない生暖かい春の日を、お祭り見物やらタケノコ掘りやらして、まったりと過ごした。



タケノコもタケって言うくらいだし、ま、キノコみたいなもんだろ。
植物とも動物ともつかないキノコと同様、木とも草ともつかない竹はとても中途半端な存在。そういう点でも似たもの同士。仲良くやりましょーや。

モグリ脱却~お散歩ブラウン~

2010-04-09 21:39:29 | キノコ
あたりを見回すと、落ち葉の中にふた回りほど大きいのも生えていた。今回、オケラも覚悟していたけれど、立ち上がりから上々の戦果だ。

気をよくして次のポイントを探す。こうなると車はちょっと不便。自転車があると一番なんだけど……ま、今日はぼちぼちいい天気なので、歩きながら探すことにしましょ。

空は青空とはいかないけど、ほどよい薄雲がかかり、撮影にも都合がいい。気温もそこそこ上がってきた。歩いていれば半袖1枚でじゅうぶんってところだ。これまたほどよい風に吹かれながら、春特有の、もったりした空気を吸い込みつつ歩く。そういえば散歩なんて久しぶりかもなぁ。

地元の小学校の、どうやら入学式を終えたばかりの新入生と親たちの一団を遠目に見て「ああ、そういえばそういう季節だよね」などと思いながらふと道端に目をやると、そこにブラウンさんが立っていた。ゲートボール場のすみっこ。ハロー!

かろうじて遠景に桜が入ったので無理やり……はい、チーズ。


今回はこんなだけど、いつか花見客をバックにしたモレルさんを撮りたいな。

この日は結局三つのポイントでモレルさんと出会い(全員ブラウン)、ついでに気持ちの良い散歩もできて、上機嫌で撤収したのでありました。今度はホワイトさんにも会いたいー。

モグリ脱却

2010-04-07 00:05:26 | キノコ
キノコの撮影をはじめてもう随分になる。はじめはただの記録のつもりだった撮影が、いつしか本末転倒になって、今じゃ撮ることそのものが目的になってしまった。

ただ、キノコ写真家としてひとつだけずーっと気になっていることがある。それは……

アミガサタケを撮ったことがない

アミガサタケのためだけに出かけるの面倒くさいとか、どこに生えてるのか知らないとか、いろいろ言い分はあるけれど、春キノコの定番中の定番、アミガサタケを撮ったことがないとなれば、これはもうキノコ写真家としてモグリとしかいいようがない。

このような汚名は返上せねばならん。機は熟した!今こそアミガサタケ写真を我がモノとし、キノコ写真家として勇名を馳せる、その足がかりとするのだ!(意味不明なテンション)

さて、と。どこ探すかなんだけどねぇ。

サクラの樹下に生えるとか、イチョウの樹下に生えるとか、木は関係ないとか、諸説あるんだけど、個人的な経験として、「アルカリ性土壌を好む」ってのを信じてるんで、その方針で行くことにする。今まで見たことのあるアミガサタケがみんな灰がらみの場所にあったんでね……たまたまかもしれんけど。

もっとも、アルカリ性土壌って言ったって、酸性土壌の日本では探すのはむずかし……いや待て、家の近くにすっごくいい場所があるじゃないか。そう、セメント用石灰の採石場だ。ムフフ、これぞ地の利ってやつだねー。

ドライブすること40分、採石場のひざ元まで到着。
あてずっぽで探すのも大変なので、とりあえず桜を目印にしてその周辺を探すことにした。サクラサクラはどこかいなっと……あれは……神社か。

おおおっ、いきなりあった!



頭が茶色いからトガリアミガサタケかな。いやー、一発で見つけるとは、我ながら冴えてるなー。

それはそうとアミガサタケって名前、すぐにキヌガサタケとごっちゃにしてしまうので、個人的には英語風にモレルって言った方がいいように思う。ホラ、なんだか外人っぽいし。こいつはブラウン・モレルね。

ブラウンさん、今後ともヨロシク。

春の使者

2010-04-02 22:01:07 | 植物
春だー!と言うわりにはずいぶん寒い。こないだなんかは雪が降った、それだけならまだしも、バラバラと氷の粒が降る始末。「ひょう」ってのは生まれて初めてだね。いやー、まいった。

山沿いは気温が低い。たかだか車で30分の下界へ下りると、桜のつぼみがすでに開いていて、ちょっと置いてけぼりの気分。そのかわりと言っちゃなんだけど、こっちじゃまだツクシが頑張っている。

ツクシも胞子をばらまくための器官だから、まあキノコの仲間だと思ってもそんなに間違いじゃないよね。しかも食べられるし。

春の陽気にもじゃもじゃと茂る他の野草どもとともに、頼もしい連中だと、いつも思う。