月刊 きのこ人

【ゲッカン・キノコビト】キノコ栽培しながらキノコ撮影を趣味とする、きのこ人のキノコな日常

しわたけ

2021-11-21 00:56:57 | キノコ
山で妙なキノコを見つけた。

立ち枯れの木にへばりつくタイプのキノコで、遠目にはサルノコシカケっぽいやつかなー、と思ったのだが、近くで見ると妙にナマっぽい。質感としては、にかわ質っぽい雰囲気があって、キクラゲとサルノコシカケの中間、といったところだ。

形も変だ。何をどうしたらこんな形になったものか、タコの吸盤みたいになったり平ぺったかったりと不定形で、表面も、正体不明の海洋生物のようなシワが寄っている。

こんな特徴的なキノコなら調べればすぐ分かるだろうとタカをくくってたが、それは甘い考えだったらしく、図鑑を何冊調べてもなかなか分からなかった。でもどうやら、シワタケというキノコってことで良さそうだ。

本来はもっと普通にひさしのような形をしているはずなのだか、こういう形になることもあるらしい。検索をかけてみると、クワガタブリーダーが虫を育てるのに良いらしく、もっとも一般的なオオヒラタケに代わるものとしてシワタケ菌床が売られているとのことだ。

こんなマイナーなキノコを・・・彼らの飽くなき探究心には頭が下がる。

しらうおたけ

2021-11-02 02:53:39 | キノコ
古い倒木から、しらす干しみたいな小さなキノコがきれいに並んで生えている。シラウオタケだ。

このキノコは少し特殊な生態をしている。簡単に言えば「光合成をして暮らしているキノコ」なのだ。

よく梅の木や松の木なんかの幹に、コケみたいなのが張り付いてるのを見ることがないだろうか?あれはコケではなく「地衣類」と呼ばれる生き物で、菌類が光合成をする細菌と共生することで生まれた、言わば「植物化した菌類」なのだ。

よくよく見ると、木だけじゃなく地面にも石にもコンクリプロックにも、ありとあらゆる場所で観察できる地衣類だが、その中に、たまにキノコを作る種類がある。シラウオタケはその仲間の1つなのだ。シラウオタケの足もとが必ず緑色で覆われているのは、そういったわけである。

生態的には珍しいキノコだが、少なくとも私の住むあたりでは、少し標高を上げるだけでわりとよく見つかる。まるで測ったかのようにソーシャルディスタンスをとって整列しているのが面白い。