三国志・曹操の墓は本物か 中国の「曹さん」DNA鑑定
2010年3月22日20時17分
DNA鑑定のために集めた「曹さん」の血液サンプルを見せる研究チームの李輝・准教授=上海・復旦大、小林写す
【広州=小林哲】中国河南省で発見され、本物かどうか論争になっている三国志の英雄・曹操(155~220)の墓をめぐり、DNA鑑定で真偽に決着をつける計画が中国で進んでいる。中国全土の「曹」の姓をもつ男性から血液を集め、墓から出た遺体のDNAと比べて科学的に検証する。中国で歴史の検証にDNA鑑定が利用されるのは珍しい。
計画しているのは、上海・復旦大の人類遺伝学の専門家らの研究チーム。男性の「曹さん」約1千人の血液を集めて、父親から息子にのみ受け継がれるDNA配列を調べる。曹以外の姓を持つ男性のデータと比べ、曹一族に特徴的なDNA配列を特定。墓から見つかった曹操とみられる60歳前後の男性遺体の骨から抽出するDNAと比較する。
本来、曹操と血縁関係にある人物のDNAと照合すれば、本人かどうかを高い確率で特定できるが、曹操本人や血縁者のDNAサンプルは残っておらず、この通常の鑑定法では検証できない。
しかし、曹操には文献などに記載があるだけで20人以上の息子がおり、現在の中国に約770万人いるという曹の姓を持つ人に子孫が多く含まれるとみられる。研究チームは、墓の主が遺伝子レベルで曹一族と確認されれば、墓から出土した考古学上の証拠と合わせて、本人とほぼ断定できるとみている。逆に遺伝子が曹一族と関係なければ偽の疑いが強くなる。
研究チームは、すでに150人分の血液を採取しており、復旦大の李輝・准教授は「目標までの血液採取の見通しが立てば正式に骨の分析許可を当局に申請する。できるだけ早く結論を出したい」と意気込んでいる。
論争になっている墓は昨年末、河南省当局が「曹操のものである可能性が高い」と発表。曹操を意味する「魏武王」と刻まれた銘文が出たのに加え、規模や年代なども一致しており、現地の考古学の専門家チームの検証でも「本物」とされた。だが、何度か盗掘に遭っており「観光地化を狙った地元のでっちあげでは」といった疑いの声も上がっていた。
DNA鑑定の過信で冤罪事件で騒いだ日本であるが、中国で曹操の墓の真偽鑑定か。なるほど。
面白いのは子孫から配列パターンを統計的に処理するということ。現在の中国で770万人が「曹」と名乗っているらしいが、その数にもびっくりだ。
日本でどうか。ある時代には、「家系」などというものが金で買われたり、らしく創作されたりしているが、源氏にしろ、平氏にしても、その出自の調査などというものももっと科学的に出来るような時代が来るのかもしれない。「真説日本史秘話」などという番組の作り方なども変わってくるかもしれない。
だからどうなんだ、ということはあるとしても。
こういう鑑定ではないが、まあ「ジェラシックパーク」でマイケル・クレイトンがなにやら蚊が吸ったまま化石に閉じ込められた恐竜の血の遺伝子からクローンを作ったような世界は、あっという間に現実化してきている。
そのうち「曹操」の遺伝子から、曹操クローンが出来るかもしれない。
そんな遺伝子を持った「曹操」を現在の中国はどのように迎えるかは、興味深いところではある。
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