けろっぴぃの日記

最近、政治のことをはじめとして目を覆いたくなるような現状が多々あります。小さな力ですが、意見を発信しようと思います。

燃料電池バス導入推進政策の波及効果

2014-11-29 23:54:18 | 政治
先日、自民党と民主党の政権公約の読み比べを行ったが、実は個人的に力を入れて欲しいと思っていた記述が自民党には少しカスった形で記載され、民主党には記載がなかった。キーワードは燃料電池だが、ちょっと一捻りが必要な話である。今日はこの点についてコメントしたい。

まず、両党の公約の中から「燃料電池」に関する記載のある部分を抜き出してみる。

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【民主党】
●省エネルギー社会、地産地消の分散型エネルギー社会を実現し、地球温暖化対策をさらに進めるため、「分散型エネルギー推進基本法」を制定し、地域の中小企業を支援し、地域活性化・雇用創出を実現します。太陽光・風力・バイオマス・地熱・水力・海洋資源などの再生可能エネルギーを拡大し、燃料電池・蓄電池・スマートグリッドなどの省エネルギー技術を飛躍的に普及させます
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【自民党】
○バス・タクシー等の交通サービス整備や次世代自動車(運転支援システムの高度化・燃料電池車等)導入の着実な推進を図ります。
○水素を燃料とする燃料電池(燃料電池自動車、家庭用燃料電池等)の導入や、水素供給システムの構築に向けた技術開発を推進すること等により、将来のエネルギーの新たな選択肢を創出します。
○電気自動車・プラグインハイブリッド自動車・燃料電池自動車等の次世代自動車の導入拡大に向けた環境整備に取り組みます。

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単に文字数だけで見ると大して差がないが、実は民主党の公約に関しては文章の大半は燃料電池とは関係ないことが書かれていて、実質的に燃料電池に関しては「燃料電池・・・などの省エネルギー技術を飛躍的に普及させます」としか言っていない。一言で言えば中身はゼロである。しかし、自民党の公約を見れば、(1)燃料電池車の導入の推進、(2)水素供給システムの構築、(3)電気自動車・プラグインハイブリッド車・燃料電池車等の多様な選択肢の実現、を意味する内容が記載されている。(1)と(3)は誰もが思いつくが、燃料電池車を推進するには(2)の政策の充実が避けて通れない。言い換えれば、成功するか失敗するかは(2)にかかっている。そこで、そのための解決策を提案してみたい。

それは、特に都市部を中心として「燃料電池バス」の推進をするのである。実は、これはなかなか奥が深い話である。先日、トヨタが商用の燃料電池車の販売を発表したが、言うまでもなく、水素ステーションがなければ燃料電池車はただの鉄の箱である。だから、水素ステーションの普及は燃料電池車の生命線になる。しかし、常識的に考えてその様なものが普及する理由など何もなく、トヨタやホンダの車が徐々に売れるのを待ってからの普及になるのは目に見えている。しかし、水素ステーションがなければ燃料電池車を買おうというモチベーションは弱く、余程の大金持ちが趣味で買うしか考えられない。そこで登場するのが「燃料電池バス」の推進である。

まず、燃料電池車の燃費についてみてみよう。下記のサイトに情報があった。

燃料電池.net 「燃料電池車の燃費

これを見ると、水素の燃料電池車の1km当たりの燃費を円に換算すると10~14円である。ガソリン車は14~17円となっていて、条件的にはリッター10kmの車の例を引き合いに出している。トヨタやホンダの燃料電池車並みのガソリン車の燃費がリッター10kmというのは妥当かどうかは微妙だが、最近のガソリン車の燃費向上の技術を考えれば、燃料電池車の燃費も今後向上は期待できるので、取りあえずの参考値とはなる。次に、ディーゼル車とガソリン車を比べる。最近はディーゼル車もガソリン車並みの燃費の車が出てきているので、ディーゼル車とガソリン車の燃費は単純に軽油価格とガソリン価格の比較で代用できる。その価格を比べると、大体、0.86倍ぐらいの値だから、軽油車の燃費係数を上記のガソリン車に掛け合わせると、概ね12.0~14.6円ということになる。バスの場合の燃費で比較していないから分からないが、燃費自体は現時点でも良い勝負である。そして、先ほどの情報によれば、「現状では『1Nm3(ノルマルリューベ)あたり110~150円』とされていますが、経済産業省資源エネルギー庁では2030年を目安に『1Nm3あたり40円』を目指しているとの発表がありました。」とのことで、今後は更に燃費が1/3倍程度まで下がれば、大きな元が取れる計算になる。

この様に、長期的視野で見ればバス会社が燃料電池車を導入するメリットは十分にある。そして、バス会社は多くのバスの基地に相当する営業所をある程度の間隔で設置し、そこで夜間の駐車、整備点検、燃料補給などを行っている。バスは定期的に燃料を補給しなければならないから、いわばそこがバス会社のガソリン・スタンドになっている訳である。当然、そのガソリン・スタンドはバス会社専用だから一般車両は入れないが、水素の燃料電池バスが導入されればそこにバス会社の水素ステーションが出来る訳で、国からの補助を受けて燃料電池バスを推進するなら、バス会社に水素ステーションの一般車両向けのサービスの解放の協力依頼をすれば、トヨタやホンダの自家用燃料電池車の普及推進のハードルであった水素ステーションの普及を短時間で実現する解決策となり得るのである。

この水素ステーションの普及の意味は大きい。先程の資料によれば、トヨタ FCHV-advが1回満タンにして走れる距離は830km(10・15モード燃費からの算出)、ホンダ FCXクラリティも620km(同上)である。1回満タンにすると、250km位のエリアの往復に耐えられるから、バス会社の営業所レベルの水素ステーションがあればそれ程不自由はしない。最近は地震が多く、災害時の電源確保でハイブリットカーや電気自動車を薦める向きもあるが、その様な電源確保的な意味では直接発電する燃料電池車は効率的にも電気容量的にも雲泥の差である。地球温暖化対策でのCO2排出量制限にも効果的で、国家レベルではその普及の意義は大きい。石油や天然ガスなどの化石燃料は必ず何処かで資源が尽きるので、そうなる前に化石燃料以外のオルタナティブを持つことはリスク分散にもなる。

この様に、燃料電池バスが積極的に導入されると、その後の展開は雪崩(そんな大げさな勢いはないが)を打ったように流れる可能性も十分に有り得る。というか、この様なアプローチでもしないと、燃料電池車という選択肢は消え去る可能性も否定できない。これは国家レベルで行う一大プロジェクトである。トヨタやホンダはバスなど作っていないので、国が動かなければ燃料電池バスに手を出す人はいない。しかし、国が大々的に旗を振り、トヨタやホンダなども協力・参入して大都市圏共通の燃料電池バスの開発を進め、5年後ぐらいを目途に導入を開始すれば、2030年には爆発的に普及しているシナリオも十分に考えられる。最近では大都市圏で共通化された低排気ガスのバスが運用されているが、マーケットの規模は最初から計算ができるので、売れるか売れないか分からない車を開発するよりは確実に精度の高い経営計画が練れる。それに合わせてトヨタやホンダは燃料電池車の市場投入計画を立てれるので、トヨタやホンダにとっても協力する価値は高い。まさにWin-Winの関係である。

以上、色々書いたが、是非とも政府は燃料電池バス導入推進政策を具体化して進めて欲しい。

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