けろっぴぃの日記

最近、政治のことをはじめとして目を覆いたくなるような現状が多々あります。小さな力ですが、意見を発信しようと思います。

安倍マジックのタネは何処にある?

2013-02-04 23:40:13 | 政治
実は、最近私の頭の中でモヤモヤしていた出来事が、今朝の産経新聞を読んでいてストンと納得できるようになった。既に数週間が過ぎているが、公明党の山口代表が安倍総理の親書を持って訪中した際に、私の予想に反して習近平総書記が山口代表と会談し、親書を受け取ると共に安倍総理との会談を模索する趣旨の発言をしたニュースについてである。さらに、中国国内の報道機関に対しては、日本に関する記事は淡々と事実だけを伝え、変に反日感情を煽るようなことはしてくれるなとのお達しまで出しているのだから、それまでには例を見ない破格のサービスぶりである。

私はこれらのニュースを聞いて、安倍総理は「どの様なマジックを使ったのか?」と疑問で仕方がなかった。これまでもブログで何度も書いているが、中国からは軍部を中心に、尖閣問題での勇ましい発言が相次いでいるが、実際にはとてもではないが中国にとっては戦争など出来る状況にはない。第一に、エリアを限定した通常兵器での局所戦に限定すれば、(米軍の力を借りなくても対自衛隊における)軍事的な勝算が中国側において限りなく低く、その状況を打開するためにはアメリカをも巻き込んだ日本との全面戦争(場合によっては核兵器もあるかも知れない)まで突き進まなければならない。しかし、これはアメリカとの全面戦争につながるから、それを決断できる訳がない。現実的には、戦争には至らない範囲で軍事的な小競り合いをしながら日本を威嚇する程度が関の山だ。しかしこの場合には、日本や東南アジアとの周辺国との摩擦が大きくなればなるほど海外からの資本が逃げ出して、結果的に国内経済に致命的な打撃を与えることになる。軍部の弾けた将校なら勇ましいことも言えるが、習近平総書記は政権が吹っ飛ぶリスクがあることを熟知しているし、場合によっては共産党一党独裁体制が崩壊するリスクまで含んでいると自覚している。だから、日本との戦争は彼らの選択肢にはないのである。だから、国連憲章の敵国条項などを駆使してブラフを仕掛けているのである。

この様な背景から、当然ながらどこかで日本との関係改善を模索する動きに出てくるのは目に見えているのだが、これまでの中国であれば必ず日本側が弱っているところで勝負を仕掛けてきたのだから、安倍政権が何処かでポカをして、国民からソッポを向かれたタイミングを待つのが筋であろう。参議院選挙まではまだ先が長いから、この必然性のないタイミングで路線変更を示すのはどうしても習近平総書記にとってはバツが悪い。この中国の変わり身を好感を持って受け止めやすい日本側から見ても違和感があるくらいだから、反日ムードを盛り上げまくっている中国側からすれば、ハシゴを外されたようなとてつもない違和感を感じているのが現実だろう。それでも、敢えてこの様な柔軟路線を日本側に示したのだから、余程の危機感を習近平総書記は感じているとしか思えない。いったいそれは何なのか?私には分からなかった。

ところが、今朝の産経新聞の下記のニュースを読んで腑に落ちた。

産経ニュース2013年2月4日「第2部インテリジェンスなき国(2)李春光・中国元書記官スパイ疑惑『捜査は見送ったんだ』

この中国元書記官のスパイ疑惑は既に過去の話だが、この一人が問題だとすればそれほど恐れるに足りない。しかし問題は、日米関係よりも中国を重視するかの様な親中派だらけの民主党政権では、至る所に中国の息のかかった人材が入り込んでいた。その最大の人物が鳩山元首相なのかも知れないが、そこまで行かなくても政務三役や大臣秘書でよければ、相当、中国側に取り込まれた存在がいた訳である。相手を中国に限定しなくても、北朝鮮に関連したよど号ハイジャック犯の親族の主催する政治団体への献金であれば、菅元総理は6250万円、鳩山元総理も1000万円献金している。お金に色がついていないことを考慮すれば、国民の税金による政党助成金を北朝鮮のために使っているようなありさまで、細かい話は知らないが、これにしても純粋に北朝鮮サイドからの取り込みだけであるのか、中国とのリンクが存在するコネクションなのか、色々予想するのに難くない。これだけ、政権内部に食い込まれていれば、その様な政権では中国に対して常に弱気の判断しか出来ない。東京都の尖閣購入や様々な場で、野田総理の決断にブレーキをかけていたことで有名な岡田元副総理であるが、彼が何をしたのかは下記の記事でも明らかにされている。

産経ニュース2013年2月4日「尖閣侵犯、野田内閣“弱腰”で中国エスカレート『関係悪くなる』岡田氏主導、曳光弾封印

勿論、岡田元副総理が中国や北朝鮮に毒されていたとは思えないが、玄葉外相と同様に様々な形で彼の周りに中国のアプローチがあることは予想され、野田元総理の決断に影響を与えた可能性は拭えない。この様に中国からすれば、スパイ疑惑の中国元書記官や息のかかった人材などにより、中国包囲網を形成するTPP問題も含めて、政権を中国に都合の良いように揺さぶる仕組みが出来上がっていた。しかし、安倍政権になりそれらの仕組みは一掃され、当時の関係者の責任追及までも今後行われるかも知れない状況に陥っている。実は、これらのコネクションが胡锦涛政権時代の日本に対する最大のアドバンテージだったのかも知れないが、これを一気に失った習近平政権では、何かを仕掛けたくてもその足がかりがないのである。一方で、景気低迷の足音はますます高くなり、北京を代表に主要都市の大気汚染問題など政権の足元を揺るがす事態は次から次へと枚挙に暇がない。大気汚染を改善するには石炭などの使用料を抑えなければならないが、そんなことをすれば景気減衰が更に酷くなるから、北京の視界と同様に前が見えない状況で現状のまま突き進まざるを得ない。

しかし一方で、安倍政権の積極的な外交政策により中国包囲網がにわかに現実のものとなりつつあり、更には日本の最大の弱点であるデフレによる経済低迷も、中国との相対的な関係を変えるもととなる。日本とアメリカの関係が改善し、TPPを対中国封じのツールと考えるアメリカからすれば、例外なき関税撤廃の条件緩和と引き換えに日本のTPP参加を容認する動きがアメリカ側に出てきてもおかしくない。日米印豪によるセキュリティ・ダイアモンド構想なども、中国を孤立化させる戦略として馬鹿にならない。

これらの動きを封じたいところの中国だが、民主党政権では最後の砦であった政権中枢の親中派人材も失い、全く手が出せない状況で八方塞がりの状況に追い込まれているのだろう。もはや、綺麗ごとでは済まなくなっている外交において、敵対する国の政権中枢に自国の親派を潜り込ませることは既に正攻法になっている。その様な隙だらけの政権が如何に国益を損なっていたか、逆にその様な者を排するだけでどれだけ外交上のバランスに影響を与えるか、今回の件はそれを如実に物語っているような気がする。当たり前のことではあるが、たったこれだけのことが安倍マジックのタネだったのかも知れない。

ついでに言えば、私は山口代表は結構な戦略家だとみている。尖閣棚上げ論をちらつかせたのは、習近平総書記の周りの比較的親日的な人脈に対して仕掛けたトラップなのかも知れない。ただでさえ、中国側には「公明党」という柔軟路線への言い訳に都合の良い要因があるのだから、山口カードというのは安倍総理には極めて都合の良い武器なのだろう。

既に、日本、中国の立場は逆転に転じている。デフレ脱却を言い訳に参院選までは強硬な路線を封印し、その後に一気に勝負に出たときに、中国との関係に決着が着くのかも知れない。今しばらくは様子を見守ろう。指あたって、日米首脳会談でのTPPの進展に期待したい。

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