けろっぴぃの日記

最近、政治のことをはじめとして目を覆いたくなるような現状が多々あります。小さな力ですが、意見を発信しようと思います。

ミスリードに騙されてはいけない!(維新船中八策の読み方)

2012-02-15 22:28:31 | 政治
大阪維新の会が船中八策を明らかにしてから、それまでにじり寄っていた既成政党がドン引き状態である。民主、自民、公明の3党は思わず頭を抱えたことだろう。安住財務相などは「こうしたい、ああしたいと話すのはいいが、地に足が着いているのか?」と言ったそうだが、3年前の衆院選の時の彼らにその言葉を聞かせてやりたい。

多分、一番、既成政党の虎の尾を踏んだのは「参議院の廃止」という部分だろう。マスコミもこの点に一番食いついた。しかし、この辺の対応を見ると、論評する人の誠実さがうかがい知れるような気がする。前原政調会長などは、「一院制は良いが、参院の廃止は考え方が違う」という反応を示したようで、つまり言い換えれば「現役参議院議員が路頭に迷わなければ許容できるが、全員クビを切るなら賛成できない」というニュアンスの様に聞こえる。思わず本音が出たのかもしれないが、これほど国会議員の都合のみを考えたエゴはないだろう。

しかし、言葉として船中八策に「参院の廃止」という言葉はあるかも知れないが、マスコミが「参院の廃止をどう受け止めますか?」という質問の仕方はアンフェアである。大阪維新の会の考え方を捻じ曲げた情報伝達と言えるのではないか。私も、報道を見る限りでは正確にはどの様な表現になっているのか知らないが、私が調べた限りでは、正確には「参院を廃止し、首長の代表機関に」というニュアンスの提案だと理解した。何が違うのか?現在の参議院は衆議院のカーボンコピーで、衆院で選挙に受かれない人の受け皿という現実があり、そもそもの2院制とする趣旨からはかけ離れた存在意義が問われる状況である。昔であれば貴族員であったり、戦後は学識経験者を中心とした超専門性の高い集団であったり、衆院とは異なる特徴を持つことが前提であったと思う。であるならば、2院制を維持するならば参院には別の意義を持たせなければならない。地方分権と国政の整合性を取るために、全国の知事(政令指定都市の首長も可?)を国会議員として兼務させ、衆院での決議に対して地方と国政の整合性を審査するための組織として位置づける(参議院ver2?)と解すれば「なるほど」と理解を示す人も多いのではないか。それを、情報を途中でぶった斬り、「参院廃止」のみにフォーカスすると、本来の意図から外れた政策を評価させられている様な気がする。

他にもある。年金の「掛け捨て制度」である。小宮山厚労相もこの「掛け捨て制度」に食いついた。何度も言っていることだが、この手の話は定量的な議論がなければ意味をなさない。論評する際に、この掛け捨てとなる人の条件を明らかにしないでダメ出しするのは如何にも短絡的である。昨日のブログでも年金の公平感は重要と書いたが、それは如何にも「誰もが7万円の最低保証年金を追加でもらえてラッキー」的なニュアンスで国民をミスリードしようとすれば「賛成!」と言う人は多いだろうが、その見返りに「低所得者を除けば殆どみんなが損をする」と言われれば「反対!」となる。どちらの判断となるかは、当然ながらその具体的な意味を明確にして初めて判定できる。だから「掛け捨て制度」も、どの程度の資産を持つ人が対象かを明らかにしてもらわなければ何とも言えない。仮に年金を年200万円もらったとすれば、65歳から90才まで25年受け取ると総額で5000万円となる。つまり、この5000万円の年金を貰えなくてもあまり気にならない資産家(例えば5億円?)であれば、多分、該当者からもあまり反論は上がらないような気がする。一方で、自宅を含む資産が5000万円以下の人であれば、相当な反論が出るであろう。この辺の中間をリニアに結んだ形で受給額を減額すれば、それほど問題とはならないだろう。元々、小沢元代表も、最低保証年金の7万円を受け取れなくなるのは年収1200万円以上と言っていたのであるから、維新の会ほどラディカルではないにせよ、「年金を必要としない人にそれほど支給しなくても良いだろ」という考え方は持っている。この様な前振りの下で世論調査をやれば、かなりの人が「賛成」と言えるような気がするが、前振りなしに「年金は掛け捨てと言われたら、賛成しますか?」と聞かれたら「反対」となるだろう。この辺の世論操作を狙った発言が多く見られたようで私は不満である。

一方、非常に面白いと感じたのは、「国民全てに確定申告をさせる」という提案である。私はサラリーマンであるが、子供の医療費が非常にかかっているため、医療費控除を目的に確定申告している。やはり、国民が納税者意識を強く持つことは、政府の税金の無駄遣いを抑止するに非常に役立つと思う。北欧でも、高い消費税率の代わりに、食料品などの品目に対する税金の還付申請を国民が行い、これが納税者意識を高めていると聞く。これは、些細なこと、面倒なことかも知れないが、ボディーブローの様に将来的には大きな意味が現れる提案だと感じる。

確かに、首相公選制や参院の再定義などは憲法改正が必要な案件で、特に参院廃止を採決にかけて「賛成すれば失業しかねない現職議員」に2/3以上の賛成を期待するのは現実的ではない。しかし、橋下市長は「自らを失職させるために大阪市長になった」その人なのだから、その様な奇特な人が集まれば何とかなるかも知れない。特に、憲法改正の第1関門のハードルを、「衆院、参院の半数以上の賛成とする」提案もしているので、こちらを先に通せば可能性は高まるかも知れない。

また、資産課税については今後、役人に制度設計をさせて、それを叩き台にして発展させるのだというが、どの様な姿になるのかが全く予想できない。例えば、「死ぬまでに財産を全て使い尽くす」という言葉の意味が、生きているうちに土地家屋などの資産にどんどん課税されて、「生きているうちに家屋を没収される・・・」と言うのであれば多分、誰からも賛同は得られないだろう。しかし、帳簿上は課税されるが実際に納税するのは死後に行うというのであれば、逆に早期の子供世代、孫世代への相続を促す効果も期待できるかも知れない。憲法で謳う「法の下の平等」との整合性が取れないかも知れないが、若年層ほど資産家税率が低くなれば、高齢者が持つ資産を若年層に積極的に移転するモチベーションにつながるかも知れない。もちろん、海外の資産やタンス預金などの資産への課税は技術的に厳しいので、制度設計が本当に出来るのかは怪しいが、もし仮に成功すれば死んだお金を流通させて生きたお金に変えることも出来るだろう。ひとつの仮説として検討してみる価値はあるだろう。それこそ、学者さんの腕の見せ所である。

それらをまとめて「実現性がない」と切り捨てるのは如何なものか。実現性のなさでは「財源なんて何とでもなる」と言った民主党のマニュフェストと同類かも知れないが、しかしポピュリズムの真逆のチャレンジという意味では大いに評価できる。これからどんどん政策の方向性が修正され、最終的な姿(制度)は相当変わったものになるかも知れないが、前向きの取り組みと評価している。

もっと詳しい話を是非聞いてみたい。

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