けろっぴぃの日記

最近、政治のことをはじめとして目を覆いたくなるような現状が多々あります。小さな力ですが、意見を発信しようと思います。

落ちこぼれの将軍様

2012-01-25 20:26:03 | 政治
北朝鮮のキム・ジョンイルの長男の金正男氏が、東京新聞の編集委員、五味洋治氏との150通ものメールおよび7時間ほどのインタビューで語った内容が本になって出版されたそうだ。「父・金正日と私:金正男独占告白」というタイトルで、Amazonの書評を見ても、読者は概ね好感を持って読んでいるようである(私は読んでいないので詳細は知らない)。

私がこの本を知ったのは一昨日の報道ステーションで、この本の内容を特集で取り上げたからである。正直、キム・ジョンイル後の後継選びでキム。ジョンウンが選ばれたのには違和感があった。なぜ、彼なのだろう・・・と。もちろん、長男の正男氏はディズニーランドに偽造旅券で遊びに来て捕まってしまうような情け無い奴なので、父親が見限ったと言うのは予想できたが、なぜ次男の正哲ではないのかは甚だ疑問だった。長男と次男・三男は異母兄弟であり、最終的にどちらの母親がキム・ジョンイルの寵愛を受けたかを考えれば、兄弟の順位が逆転するのは容易に理解できるが、母親が同じ次男・三男であれば人格的な適・不適に大きな差がなければ、兄の方を据えた方が体制維持的には都合が良い。実際、昨年にシンガポールなどを次男の正哲氏が旅行した際の映像を見ると、あくまでも見た目や行動などから、三男のキム・ジョンウンよりはかなりカリスマ性は高そうだ(と言うか、キム・ジョンウンにはカリスマ性が全くない)。相対的ではあるが人間としての落ち着きがある。大体、国民が飢餓で苦しんでいる国で、あれだけブヨブヨ太った様は指導者としての資質に欠けると誰もが思うはずだ。なのに、何故、三男になったのか。昨日の報道ステーションを見ていて分かったような記がした。

金正男氏によれば、彼も父親のキム・ジョンイルも共に、社会主義体制で3代世襲は常識的にありえないと思っていたようだ。つまり、当初は子供達に権力を引き継ぐつもりはなかったようである。子供達をスイスに留学させたのも、多分、自分の様に死ぬまで北朝鮮に篭るのではなく、欧米諸国の異国文化を体験し、国外でも生きていけるようにとの思いだったのだろう。しかし、長男の正男氏と次男の正哲氏は北朝鮮国外での生活に順応してしまい、次男の正哲氏は耳にピアスまでしているという。ひとりだけ落ちこぼれた三男のキム・ジョンウンだけが、資本主義・民主主義に毒されることもなく、北朝鮮に順応することが出来たのだろう。

実際、正男氏の発言には、その外見から感じさせる金一族のボンクラという印象とは全く異なる、国際社会の常識に沿った内容のものが多い。父が、本来は3代世襲を嫌ったのにそれを選択せざるを得なかった理由も冷静に解析している。自分の身を危険にさらす可能性のある内容を敵国である日本の記者に語り、当初はその発言内容を出版しても構わないと言っていたのであるから、それなりの覚悟を持った行動なのだともいえる。父のキム・ジョンイルに「北朝鮮が生き残るには改革・開放を進めなければ駄目だ!」と迫ったのも、その辺の人柄と整合性が取れている。

だからこそ、彼は後継争いから脱落したのであろう。次男の正哲も、やはり同様に常識を身に付けてしまっていたのだろう。リビアのカダフィですら、国際社会の中での常識を身に付けた途端に身を滅ぼした。最も常識を身に付けなかった三男が結果的に選ばれた。しかし、それは崩壊への道を決定付ける判断である。

多分、中国はキム・ジョンウン体制が遠からず崩壊した際に、安定的に中国型の集団指導体制に移行するための「つなぎ(保険)」として金正男氏を囲っているのだろう。そして話せば分かる人物が北朝鮮にもいることを海外に印象付けるために、この様な発言を容認しているのだと思う。中国も中々したたかである。

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