けろっぴぃの日記

最近、政治のことをはじめとして目を覆いたくなるような現状が多々あります。小さな力ですが、意見を発信しようと思います。

朝日新聞が勘違いし続ける「人道上の罪」の意味

2014-08-16 23:55:23 | 政治
朝日新聞は今日の社説で、懲りもせずに慰安婦問題に絡めた記事を掲載していた。

朝日新聞2014年8月16日社説「日本と韓国―国交半世紀に向かって

毎回、よくもまあここまで他人事が出来るものだと感心する。2年前の民主党政権時代、ポピュリズムの民主党故に日本政府側がベタ降りする提案を韓国側に行い、韓国は「ベタ降り度が足りない!」と一旦は拒絶したが、そろそろ潮時と考えた調整の中で着地の可能性が一瞬見えた時、野田前総理が待ったをかけて危うく朝日の誤報がそのまま確定しかけた状態を回避した。今回、朝日新聞は誤報を訂正したが、どうやら2年前のあの時の(日本政府が最大限に譲歩した)落としどころを(誤報をカミングアウトしたくせに)基準点において交渉をするように促しているようだ。何ともタチが悪い。

折しも、「またか・・・」と言う感じでしゃぶしゃぶ店の「木曽路」の食材偽装問題が発覚した。社長などは記者会見で、偽装を行った料理長などは(営業成績的に)プレッシャーがあるような店舗ではなく、何故、その様な行為に及んだのか分からないといった言及をしており、会社の体質に問題があったのではなく、その料理長ないしは店長に問題があり、会社側にはあくまで管理責任的な問題しかないといったニュアンスのことを語っていた。思い出せば、阪急阪神ホテルズの食材偽装の際には、自ら自白する形で名乗り出て自浄能力もある程度期待できる環境であったのに、マスコミはボロクソに叩いて社長を辞任にまで追い込んだ。偽装が発覚したのだから、その責任を負うべきは経営層で、その最高責任者は社長だから自認して当然という論調であった。

であれば、今回の朝日新聞問題であれば、偽装(ここでは「誤報」の代わりに比喩的に用いる)が発覚し他紙がその偽装ぶりを糾弾して長い年月が経ち、その結果としてその関係者に取り返しのつかない致命的な損失を与え続けたのに偽装の告白をせず、どうにもこうにも行かなくなったところで偽装の告白をしておきながら、「当時は松坂牛と安価な牛の区別がつかなかった」「他のお店もやっていた」と開き直り、一面広告を出したと思ったら「やっぱり、食の安心・安全が第一」「これからも、わが社のお肉をどうぞ!」と謝罪しているのか謝罪していないのか分からない状況で優良企業と胸を張っている。

という以前の問題で、下記の記事を読むと、朝日新聞はハナから謝るつもりはないらしい。というか、謝る必要性を感じていないらしい。

Livedoorニュース2014年8月11日「慰安婦の虚偽報道めぐり朝日社長が謝罪を拒否『歴史的事実を変えることはできない』

この様な態度を考えると、櫻井よしこ氏の主張する「朝日新聞は廃刊すべき!」という主張もまんざらではないかも知れないが、そこまで急進的に進めようとすると無理があるので、もう少し論点を整理するならば、朝日新聞の誤報訂正を受けての橋下大阪市長の記者会見が神がかって良く整理されている。

BLOGOS編集部2014年8月6日「橋下市長、朝日新聞の従軍慰安婦特集についてコメント

ぶら下がりの際のコメントで、ペーパーの準備もなくアドリブで語りながら、ここまで論点が整理されているのは素晴らしい。先週の新報道2001にも出演していたが、その際のやり取りよりもこの記者会見の方が分かり易い。

ポイントは、日本と韓国との間の平和条約である日韓基本条約締結で「完全且つ最終的に解決」しているのに未だに問題になっているのは、韓国側の無茶な主張は別として、世界的に見れば橋下市長のご指摘の通り、ナチス・ドイツの様な時効すら成立しえない例外的な犯罪である「人道上の罪」に「慰安婦問題」が該当するか否かがポイントである。だから、国際法の概念上、例外的な「人道上の罪」に該当すれば日本政府は慰安婦に対して国家賠償の義務が生じるし、該当しなければ例外には当たらずベースとなる日韓基本条約の対象として議論するのが妥当である。後者であれば、韓国サイドの主張である第3条での両国の解釈の違いがある場合の紛争解決のルールを定めた部分に関し、純粋に国際法的に処理を行えばよい話である。つまり、例外的な「人道上の罪」に該当するかしないかがポイントで、その判断の分かれ目が「強制連行」であると橋下市長は主張している。そして、法的な責任はあくまでもこの基準で議論し、一方で道義的責任については強制連行の有無に関係なく存在し、日本政府が誠意を持って対応すべきとしている。ちなみに、この道義的な責任に関しては、アジア女性基金などの対応から、日本政府は非常に誠意を持って対応しているから、その点は我々は胸を張ってよいということになる。橋下市長があれ程までに「強制連行」に拘っていた理由はここにあり、流石、弁護士というところだろう。法的に議論した場合、極めて真っ当な論理立った説明である。「強制連行がなければ、日本は無罪放免!」という右寄りの主張とは一線を画している。この辺は、私も反省しなければいけないというところである。

ところで、ここまで橋下市長が丁寧に説明しているにも関わらず、未だに「海外では『強制連行』の有無は問題になっていない。本人が望まない中で『強制的』に慰安婦にされた事実が問題にされているのだ・・・」と言った主張を良く見る。しかし、これは全く橋下市長の論点が分かっていないらしい。

例えば、韓国国内で借金のカタに身を売られた女性が何人かいて、その女性たちがいる売春宿に日本からのツアー客が頻繁に立ち寄り、その女性の人権を蹂躙する事件があったとする。勿論、日本人客は道義的に責められて然るべきだが、日本政府にその女性たちが損害賠償を求めたらどう思うだろうか?

誰もが「お門違い」と思うに違いない。これは、国際法的に例外的な「人道上の罪」ではなく単なる犯罪行為で、普通に裁判で裁けば良い話であり、裁判で決着が着いた後で日本政府に国家賠償を求めるような話ではない。日本人側に買春の罪を問うても、日本政府に対する問題ではない。人身売買という人道的な問題も存在するし、それは韓国国内で行われたことだから、当然韓国人の罪も問われて然るべきである。お客となったのが日本人というだけで、日本政府が断罪されるべき話ではない。あくまで、道義的な責任として誠意を尽くせば良いのである。この様に、多くの人々が、国際法上例外的な「人道上の罪」への該当性の有無と、法的責任と道義的責任の区別がつかなくなってしまっている。

なお、本人の意に反して自由を奪われた慰安婦の問題は、韓国国内でも米軍慰安婦問題として問題になっている。朝日新聞からすれば、彼女たちも「強制性」の被害者のはずである。朝日新聞が「強制性」と盾に開き直るなら、せめて米軍慰安婦問題も「いわゆる従軍慰安婦問題」と同様に「非人道的」と非難してみてはどうだろうか?そうすれば、もう少し朝日新聞の擁護者も増えると思うのだが・・・。

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