けろっぴぃの日記

最近、政治のことをはじめとして目を覆いたくなるような現状が多々あります。小さな力ですが、意見を発信しようと思います。

「韓国で何かあれば絶対日本が助けてくれる」という確信から来る誤解

2013-10-28 23:06:37 | 政治
関係のある、ふたつの記事について紹介してみたい。後述するふたつ目の記事を読むと、ひとつ目の記事の疑問がストンと理解できる面白い内容である。

まずは1件目であるが、下記の朝鮮日報のふたつの記事で、韓国が日本の集団的自衛権について噛み付いている

2013年10月28日 朝鮮日報「日本の集団的自衛権行使、韓国の同意なしに認めない
2013年10月28日 朝鮮日報「【社説】日本の集団的自衛権は米日だけでなく韓国の問題だ

まず、上述の記事は共に概ね同様の論点であり、下側は一般論としての記事、上側はその一般論を韓国大統領府から外交ルートで正式に米国に意思表示したというものである。

まず最初に、上側の記事をタイトルだけ読んでその記事の中身を想像して頂きたい。私はこのタイトルから、日本海上で米国の艦船が北朝鮮(ないし現時点では想定できないが中国)から攻撃された場合、日本が集団的自衛権を行使して米軍を守ろうとする場合には、「韓国の同意を得なさい!」と韓国政府が主張しようとしているのかと誤解した。韓国人からしてみると、こんな馬鹿げたこと(緊急性のある事態で、とても誰かの許可を得るのを待てないこと)にまで韓国が日本に対して口出しする権利があるのかと思えれば、こんな楽しいことはないのだろう。だから、その様な期待を持つ読者に媚びる形で、新聞の編集者はこの様なミスリードを導くタイトルをつけているのだと思う。しかし、実際の記事の内容はまったく別である。例えば、北朝鮮からの攻撃を受けて在韓米軍基地が攻撃されたとすると、その時に米軍を守るために日本の自衛隊が韓国に出かけていって、韓国国内で軍事行動を起こすかも知れない。しかし、その様な韓国国内での自衛隊の活動を韓国は認めないし、仮に認めるとしても韓国政府の承認が必要であるという記事なのである。

しかし、考えて欲しい。日本政府はその様な形での集団的自衛権を行使したりはしないのである。誰もそんなことを考えてもいないし、仮に韓国政府に頼まれても同盟関係にない韓国に対しては「それは出来ない」と断るのが日本政府の今後も含めた一貫した方針なのである。巷で言われる「日本の裏側論」にしても、それは米軍が戦争しているから自衛隊も出かけていって戦おうというのではない。例えば、石油などの外国からの資源に依存する日本としては、その様な資源の海洋輸送ルートの安全を確保するのは死活問題だから、正常が不安定化した場合にはこの様なルートに艦船を派遣する可能性があり、その場合に同様の目的で艦船を派遣した米軍がたまたま近くに存在する状況で、米軍がどこからかミサイル攻撃を受けたらそのミサイルの迎撃行動を自衛隊が行うことがあり得ると言っているに過ぎない。だから、集団的自衛権の行使という形で、韓国国内に自衛隊を派遣することはありえないのである。それは韓国だけでなく、仮に台湾やフィリピンなどから求められても、その様な形で自衛隊が戦闘に加わることはない。アメリカからハワイの防衛を求められても、多分、自衛隊は出動しないのである。

ただ、厳密に言えば韓国の領海に海上自衛隊が派遣されることはあり得る。それは、例えば朝鮮戦争が勃発し、国連決議などに基づき平和維持活動であるPKO活動の一環として自衛隊が活動する場合である。ただ、この場合には、韓国政府が拒否すれば日本政府も無理に韓国国内に自衛隊を派遣することはしない。本音では自衛隊員の命を無駄に危険に曝したくはないのだから、仮に韓国からその様な要請があれば、喜んで領海外からの給油などの補給活動に限定すれば良いだけの話である。つまり、自衛隊が韓国に派遣される話は集団的自衛権との絡みで議論すべき話ではない。だから、朝鮮日報の記事は、議論の論点が全くの的外れなのである。

ただ、ここまで話を整理してみると、イマイチ、腑に落ちないことがある。

上記の下側の一般論の記事では、日本がアメリカとの集団的自衛権の関連で、軍事力強化を図りだすのではないかという懸念を伝えており、これは(その危惧の妥当性は横に置いておくとして)その様な危惧を抱く国があったとして、それはそれで十分に理解できる話である。韓国の様に日本を敵視する国であれば、その様に感じるのは当然だろう。しかし、「日本が韓国に自衛隊を派遣したいと思っている」と多くの韓国人が考えているという、その根拠が私には理解できない。常識的に考えて、日本が何処かの国から攻撃されて困っているときに、アメリカが日米同盟を発動して日本を助けてくれるのは期待するだろうが、同盟関係にない韓国が日本国内に軍隊を派遣して助けてくれると考える日本人はいない。北朝鮮からの攻撃であれば、韓国軍が北朝鮮国内に侵攻して結果的に日本を助けることは考えられるが、日本国内に派兵することは考えられない。その裏返しも同様である。だから、どうして韓国人はその様なありもしないことで一喜一憂しなければならないのかと疑問に思った。

しかし、直接関係のない記事だが、答えは次のブログの中に載っていた。こちらが、ふたつ目の記事である。

2013年10月26日 地政学を英国で学んだ(奥山真司氏ブログ)「韓国トップたちの怪しい『世界観』

このブログはアメリカの国際情勢の専門家エドワード・ルトワック氏が出版したアジア地域の現状を考察した本「自滅する中国」の翻訳者である奥山真司氏が、その本の記載内容と最近の動向を合わせて韓国という国の理解の仕方を整理したものである。ちなみに韓国論はこの本のごく一部であり、ブログでは基本的に韓国に関することにのみ言及している。

さて、このブログでの整理内容は非常に興味深いものがあるのだが、著者が先の本のポイントとして指摘している点をさらに(私なりに)抜粋すると、以下の様になる。

(1)国家は普通は独立を尊ぶものだが、韓国は中国に従属したがっている。
(2)従属したがる理由は幾つかあるが、そのひとつは韓国は自国の安全保障のコストとリスクを受け入れず、代わりに中国(及びアメリカに対しても同様に)従属して安全保障の責任を逃れようとしている。
(3)この安全保障の責任を逃れようとする姿勢の矛盾を「日本との争いを欲する熱意」という歪んだ形で紛らわしている。

若干、分かり難いところを私なりに噛み砕いているので間違っていたら申し訳ない。そして、この従属したがる国という内容を裏付けるような最近の動向として、今年の8月に韓国で行われた日本と韓国の多くの政治家を交えたシンポジウムのような「日韓次世代指導者交流」にて、出席した日本の政治家が韓国の政治家から見聞きした内容を紹介している。その内容の中の興味深い部分を(私なりに)抜粋すると下記の様になる。

(1)鳩山元首相の言ったような「日中韓による”東アジア共同体”を作ろう」というリアリズムに欠ける発言が韓国側から多く出されて正直困った。
(2)韓国側の議員は、メディアの前とそうでない時で、態度がまったく違った。
(3)韓国側は「いざ有事になったら日本は必ず助けに来てくれる」と根拠もなく確信をしている様子であった。

民主党政権の失敗を経験した日本では、政治とは結果が伴って何ぼのものであり、理想の空論を幾ら語っても何の足しにもならず、国民を幸せにするないしは国益を増進する上で、あくまでも結果が全てであることを勉強した。結果が伴うためには現状を見据えた行動が必要であり、気に入らない現実であってもそれを受け入れて行動しなければならない。しかし、韓国の政治家(韓国国民も同様)は、何故か現実逃避をし、その現実逃避のリスクが怖いから中国に従属しようとする。政治家は現実逃避をしているから、当然の如く国会議員としての存在意義を結果を通して勝負することが出来ない。結果で勝負ができないから、虚像の中で勝負するしかない。虚像としては、日本を徹底的に攻撃し、国民に対して「スカッとした気分」にさせることで勝負しようとする。しかし、本音ではないことを国外の者はいとも容易く見切るから、メディアの前では役者に徹しても、昔からの交流がある人々にはガードがあまくなる。中国に従属しているから基本的に日本などに頼ることはないのだが、心の中では中国のことを信用しきっていないから、その中国に裏切られたらその時はアメリカと日本に助けを求めようと考える。彼らは、日本はお人よしの国だから、絶対最後は「助けてくれる」ないしは「助けなければいけない!」と確信しているのである。

最初の記事の腑に落ちない部分に関しては、北朝鮮がひとたびことを起こした際には、日本の自衛隊も絶対に助けに来てくれるという変な確信が韓国人の中にあると考えると理解できる。これは、政治家や報道関係者の間では全く疑いのない絶対的な確信のようである。しかし、一方で中国とアメリカに加え韓国軍の力をもってすれば、北朝鮮の攻撃の抑え込みは十分に可能だろうと思っているから、日本なんかに恩を着せられるのは不愉快な部分もあり、それを「日本との争いを欲する熱意」という歪んだ形で日本にぶつけることで納得しようとしていたのである。しかし、本気で日本の自衛隊の入国を忌み嫌うのであれば、「韓国の同意なしに認めない」などと言う代わりに「何があろうと絶対認めない」と断言すれば良いのである。しかし、「韓国の同意なしに認めない」という発言の裏返しとしては「韓国の同意があれば認める」という意味を含んでいるから、最後の最後には「日本は韓国を助けなさい!」という暗黙のメッセージも発信しているのである。

さて、この様に見てきたとき、アメリカ政府はこの程度の背景を熟知しているから、今回の件で韓国がアメリカ政府から勝ち取ったものは何もなく、単に「また馬鹿なこと言ってやがる。もう、こんな馬鹿には付き合いきれん!」という思いを強くされただけである。日本からしてみれば、韓国が頭を下げなければPKO活動でも韓国に自衛隊を派遣する必要が無くなったから、これは願ったり叶ったりである。韓国政府は「日本との争いを欲する熱意」を発散できたから勝手に何かを得たつもりでいるのだろうが、実際には失ったものしか存在しない。そのツケを払うのは韓国国民であるが、その韓国国民もマスコミと一緒にお祭りを楽しみ続けているのが現状である。

今回の記事は、その状況を再確認させられたニュースである。

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