けろっぴぃの日記

最近、政治のことをはじめとして目を覆いたくなるような現状が多々あります。小さな力ですが、意見を発信しようと思います。

マスコミに露出しない小泉元総理の脱原発論の裏にあるもの

2013-10-03 23:58:31 | 政治
最近、小泉元総理の脱原発発言が話題になっている。先日も、報道ステーションでこの話題を取り上げていたし、ネットでも話題になり始めている。今日はこのことにコメントしてみたい。

まず、小泉元総理の脱原発発言の話題は今に始まったことではない。私が見たのは毎日新聞の2013年8月26日付の記事「風知草:小泉純一郎の『原発ゼロ』=山田孝男」が最初だったが、3.11の東日本大震災以降、その様な発言は徐々に聞かれていたらしい。その様な発言が話題にならないのは、報道ステーションでもコメントしていたが、小泉元総理がマスコミの前での脱原発発言を極めて慎重にしているからである。カメラや録音を許さない講演会での発言や、一部の人々との世間話モードにおいて積極的に発言しているが、もし本気で「俺が事態を変えてやる!」と思っていたらもっと露出した環境で大々的に発言をしているはずだから、その発言内容の積極さと、その実効レベルでの積極さは別物と考えるべきであろう。と言うか、あれほど小泉元総理を嫌っていた報道機関が、小泉元総理の発言を受けて「小泉さんが言うんだから間違いない!」と虎の威を借る狐の如く、自慢げに話をするのは面白く感じられる。

さて、ここで頭を冷やして考えるならば、小泉元総理の主張は要約すれば「トイレのないマンションはおかしい!」であり、これは安倍総理にしても原発推進派の人にしても、間違いなく全ての人は賛成するはずである。細かい発言のひとつひとつを理解している訳ではないから間違っているかも知れないが、仮に小泉元総理の主張が下記の様な物であれば誰もが納得するだろう。

曰く・・・

「トイレのないマンションに人は住めない。だから住みたいならトイレを急いで作らなければならない。既に人は住んでいるのだから、タンクに溢れる糞尿の量を考えれば、既に原発を止めてトイレ作りに邁進しなければならない。しかし、民主党野田政権が閣議決定できなかった背景には、完全脱原発で六ヶ所村の再処理計画を即時中止にしていたら、それはかろうじて糞尿を溜め込んでいるタンクに穴をあけてばら撒くことに繋がり、その様な糞尿の溢れを回避したいなら、騙し騙し舵を切らねばならない。しかし、この騙し騙しという表現は微妙で、気づかれない様にゆっくりと舵を切っているつもりが、気づかれない様に、舵を切ったふりをして本当は直進してしまうような輩が出てもそれに気が付けない可能性がある。本当に騙し騙し舵を切るためには、政権に近いところに居ながら実際には政権と距離を置く注目度の高い人間が、『舵を切れ!切れ!』と叫んでアシストする必要がある。私がその役を買って出よう!」

まあ、本当のことは分からないが、安倍総理が「即時、脱原発!」と言ったときにどの様な魑魅魍魎が現れるかは野田前総理が痛いほど味わったし、その状況を見ていた小泉元総理が理解できない訳がない。一方で安倍総理もトイレのないマンション論は熟知しているから、実は安倍総理と小泉元総理の両者の間はそれ程差はないのかも知れない。唯一ある差とは、安倍総理の方が現在の脱デフレに対する使命感が極端に強いということだろう。ここで失敗すれば、日本は再び中国、韓国の後塵を拝する国に成り下がりかねないから、再び過去の栄光を求めるならば、その舵のゆっくりとした切り方のペースはおのずと変わってくる。

あと2年ほどすると、北米からの安いシェールガスの輸入が始まる。更に数年すれば、日本海側のメタンハイドレートの本格的な採掘が軌道に乗り、資源がないが故に円安に伴う輸入原材料の高騰のインパクトをもろに受けていた状態を改善することが可能になる。温室効果ガスの問題もその頃にはさらに深刻化しそうではあるが、その問題を除けば原子力から火力への乗り換えが軌道にのり、原発の緩やかなフェードアウトが現実のものとなっている可能性がある。

以前のブログ「脱原発依存とBest Mixの向かうべきゴールとは?」で書いた結論では、火力発電の量を極端に増やすことなく脱原発分の電力の不足を再生可能エネルギーで補うことの非現実性を受け止めるべきで、再生可能エネルギーの幻想は愚の骨頂ということだったが、安いシェールガスとメタンハイドレートの発電所を増設することを前提とするならば、実は異なる結論に辿り着ける可能性が実は隠れている。うさみのりや氏の議論では、再生可能エネルギーの不安定さ故に、再生可能エネルギーの導入のためには再生可能エネルギーの総発電量の30%程度の火力発電が必要で、火力発電の総量が現状維持だとすれば、結果として再生可能エネルギーとして受け入れられる上限が自ずと存在するから、それ以上の高望みは無理ということだったが、それは火力発電の総量が増えれば再生可能エネルギーの導入量を増やすことが可能であると言っている。今、急激な再生可能エネルギーの普及のために高額な買い取り制度を持続するのは愚の骨頂であるが、買い取り価格を今よりも低く抑え、幾ばくかの時間を稼ぎ、その間に太陽光パネルの価格低下の技術革命が起きるなら、例えば10年後には原発を増発した火力発電と増発した太陽光発電で補うことが出来るかも知れない。太陽光を最大限活用すれば、火力におけるシェールガスとメタンハイドレートの使用量も抑え、温室効果ガスを減らすことに役に立つかも知れない。多分、時として最低限稼働する火力発電の電力と太陽光発電の容量が需要をオーバーし、結果的に無駄になる事態が起きるかも知れないが、その辺は目を瞑るしかない。

この様な状況へのシフトを考えれば、その間は僅かに再稼働可能な安全な原発を動かし、その間に火力発電所の建設とメタンハイドレートの採掘施設を建設し、中期的には火力発電所の増設を行い、さらに長期的には再生可能エネルギーへの緩やかなシフトを促し、その中で原発を限りなくゼロにしていくというのが現実的である。そのためには、その稼いだ時間でトイレの建設と、六ヶ所村の再処理工場やプルトニウムの扱いなど、問題を解決するための検討を早期に進めるのだろう。だから、そのためにもまずは時間を稼ぐのが重要なのである。

小泉元総理のことであるから、この程度の戦略は考えているのではないか・・・というのが私の予想である。当たっているかどうかは知らないが、(マスコミに露出してパフォーマンスをしない様に)あの人は短絡的な人ではないから、何か良い意味での裏があるのではないかと私は読んでいる。

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