けろっぴぃの日記

最近、政治のことをはじめとして目を覆いたくなるような現状が多々あります。小さな力ですが、意見を発信しようと思います。

ミサイル防衛システムと空気が読めない朴大統領の悲劇

2013-10-01 21:41:57 | 政治
安倍総理が消費税8%への増税を発表した。私は長いこと1%刻みでの増税だと主張していたので大外れである。この辺の読みの誤りは素直に認めるとして、私なりに判断を誤った理由を振り替えるならば、それは思い当たる理由がひとつある。安倍総理からすれば3本の矢、とりわけ第3の矢である「成長戦略」は最重要テーマであり、消費税がどうのこうの言う前に、「成長戦略」がブーストロケットに点火をしてくれれば、デフレ脱却の最大の要因となり得る。しかし、岩盤規制を打破するためには、その様な足を引っ張る理由に何らかの餌を捲いてやる必要があり、消費税増税に伴う景気減速を補うばら撒き政策はその最大の餌となる。その餌の財源を財務相は渋るだろうが、消費税増税とセットであれば文句も言えない。だから、アメリカまで行ってウォール街で「規制改革こそすべての突破口」「直ちに大胆な減税を断行する」とまでぶち上げたのだろう。6月中旬の成長戦略の内訳が明らかになった時に物足りなさが残ったが、ひょっとしたらこの様な餌巻きと改革断行のバーター的な考えは、この頃から安倍総理の頭の中にあったのかも知れない。流石にそこまでは読めないので脱帽である。

まあ、以上が消費税に関する私の総括であるのだが、今日の真のテーマは消費税ではない。朴槿恵大統領の横暴とアメリカの考え方について今日は書かせて頂く。

まず、朴大統領は昨日、米国のヘーゲル国防長官に対し「歴史、領土問題などで時代に逆行する発言をする日本の指導部のせいで(日本とは)信頼関係ができていない」と愚痴りまくったという。毎度のことながらご立派と言うべきか・・・。この情報は韓国の大統領府の青瓦台が発表したのだが、韓国の報道を見てもヘーゲル国防長官のリアクションが載っていなかった。不快この上ないニュースなのだが、色々と調べると実態が見えて来る。

まず、順番に見てみよう。ヘーゲル国防長官が韓国に向かう専用機の中で、日本の集団的自衛権に絡んだ発言をしている。

時事ドットコム2013年9月29日「憲法改正「助言できる」=是非は語らず-米国防長官

この文章を読んで頂ければ、日本政府とは相互に尊重し合い、信頼に基づく良好な信頼関係が築かれていることがうかがい知れる。一方で、次の2件の記事を見て頂きたい。

朝鮮日報2013年10月1日「統制権:米国、移管再延期の交渉でMD参加を要求か

北朝鮮の暴発が予想される現状において、アメリカと韓国の間では戦時作戦統制権(統制権)の韓国軍への移管を如何にするかが重要なテーマとなっている。ヘーゲル国防長官は、この様な重要なテーマとリンクさせて韓国のミサイル防衛(MD)について議論すべきことを明言し、如何にミサイル防衛に対してアメリカが真剣であるかを暗に示した形である。そして、この辺の問題を議論するために数日の滞在日程で韓国に乗り込んだのである。しかし、韓国側はヘーゲル長官のミサイル防衛に対する言及を認めたくないらしく、「専門家らは、これまでの米国政府や米軍高官の動きからみて、ヘーゲル長官のMD発言は米国のMDを念頭に置いたものである可能性が高い」と分析しているようだ。その後の記事は、この分析を必死で補強しようとするこじつけの解説の様で、如何にヘーゲル長官が韓国のミサイル防衛に不快感を感じているかは絶対に認めたくないかが良く分かる。

朝鮮日報2013年10月1日「朴大統領『韓米同盟を東北アジア協力の中心軸に』

この記事の前半は「60周年韓米同盟の日」について書かれているが、問題は後半部分である。一部を抜粋してみよう。

===朝鮮日報===============================================
韓国国防研究院(KIDA)が30日に開催した「韓米同盟60周年、その評価と展望」と題するセミナーでは、中国の台頭が韓米同盟に及ぼす影響について集中的に議論された。米国ブルッキングス研究所のポラック研究員は「米国は日本と韓国を含むより統合された地域防衛体制の必要性を訴えている。しかし韓国は(中国を意識し)、戦略同盟という概念に大きく反することを知りながら、(米国のミサイル防衛体制に加わらず)独自のミサイル防衛を目指している」と指摘した。
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発言者はヘーゲル国防長官ではないが、防衛戦略という非常に重要度の高いテーマの中で、その中核を占めるミサイル防衛体制においても韓国は米国との協調関係を無視し、中国に色気を使いながら独自路線を歩もうとしていることに対するアメリカ側の不快感が伝わってくる。これに対する返答がまた笑える。

===朝鮮日報===============================================
これについて峨山政策研究院の崔剛(チェ・ガン)副院長は「米国は韓国に対し(米国か中国かという)選択を迫るのではなく(経済的・地理的に密接な)韓中関係について理解することが必要だ」と反論した。ソウル大学の全在晟(チョン・ジェソン)教授は「現在、米国はアジア重視戦略を通じ、軍事面で中国をけん制する成果を出しているが、韓国に対しては地理的要因や北朝鮮問題などを考慮し、多少の例外を考慮しているようだ。しかし統一後の韓半島において、アジア重視戦略が引き続き留保されるかは見極める必要がある」との見方を示した。
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つまり前半部分の記述では、「韓国は中国に対して色々事情があるんだから、ごちゃごちゃ言わないで許してよぉ~~」という論調である。人を馬鹿にしているとしか言いようがない。しかし単なる馬鹿ではないようで、それを受けての後半部分は「北朝鮮問題が解決したら、朝鮮半島からアメリカが撤退する可能性も否定できない」との自覚も示しているようだ。

最近の北朝鮮情勢は半ばパロディの様である。本来は、先行き不透明な中国と北朝鮮の存在故に韓国はアメリカとの軍事協力が必要なのだが、最近では韓国は中国の方にひた走りたいのにアメリカがいるから中国との結婚が出来ず、その三角関係のバランスを保つのに北朝鮮が一役買っているという感じだ。北朝鮮の脅威が無くなったら、韓国は素早く中国と同盟を結び、アメリカと一線を画す可能性すら否定できない。その時、38度線は日本海に置き換えられ、東アジアの安定性は大分様変わりすることになる。もちろん、あれだけ本心では仲の悪い韓国と中国がうまくやれるとは思えないのだが・・・。

ところで先ほど産経新聞に掲載された記事は笑える。

産経新聞2013年10月1日「『北に核が役に立たないと認識させる』、韓国『国軍の日』で朴大統領 最新ミサイルも登場

朴大統領が韓国のミサイル防衛システムを自慢げに語り、「核とミサイルがもう役に立たないと北朝鮮政権に認識させる」と挑発しているのである。アメリカのミサイル防衛システムですら核ミサイルの迎撃成功確率が怪しいというのに、低い弾道で短時間で到達する韓国において、より小規模で精度の劣る韓国のミサイル防衛システムで北の核ミサイルを無力化できるというのだから笑止千万である。上述の2件の記事との関連で言えば、統制権問題ではアメリカが北朝鮮との戦争の最前線に残ることを希望しながら、一方では自国の軍事力を過信している。如何にも、旧日本帝国陸軍的なイケイケ・ドンドンの発想である。

昨日のブログでも朴大統領のブレについて言及したが、論理的な思考能力(というか、ブレーンとして適切な人材がいないということ)が既に失われ、空気を読まずに好き放題言っている状況が日々露わになってきている。

ヘーゲル国防長官は確実に韓国のことを「お荷物」として頭を抱えたに違いない。それと対照的に、日本は徐々に株を上げているのだろう。東京オリンピックで示した日本のロビー活動能力であるが、韓国や中国の信頼度の低下は逆に我々の信頼度向上のチャンスである。消費税増税も結果論で言えば国際公約の忠実な実行に繋がるから、ここは一気呵成に攻め立てる時であろう。

日本の復活は近い。(希望的観測が半分は含まれるが)そう実感したニュースである。

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