この週末に行われた世論調査によれば、今回の選挙で国民が最も重視する点は景気の改善、経済政策ということのようである。私は経済学は大学でも学んだことがないのでど素人だが、昨日のTVタックルは面白かった。素人なりに考えたことを整理してみたい。
このTVタックルでは、高橋洋一さんと藻谷浩介さんの直接対決ということで、素人にはその議論の勝敗は分り難いが、白熱した議論がこの問題の本質を炙りだしているような気がした。結論などはなかったが、少なくともデフレに特効薬はなく、最低でも3年以上の継続的な適切な処方箋に従った政策で国の舵取りをし続けないと、一時的に快方に向かっても直ぐにリセットされて振り出しに戻ってしまうということのように私は理解した。選挙後の新体制により急激な経済回復を期待していたので話を聞いていて少々がっかりしたが、本格的な景気回復効果が出始めるのは少し先であり、短期的にはあまり過度の期待はしない方が良いのかも知れない。ただ、それでも正しい処方箋を出せるか出せないかで道は大きく別れるから、各政党の言い分をよく聞いて、選挙での投票先を判断をしなければならない。
経済というものが完全に無機質なもので、自然界の物体がニュートン力学で規定される物理法則によって運動するかのごとく、何らかの理論上の数式に従い振舞うものならば難しくても研究の末にはいつかは正解にたどり着けるのであろうが、実際には人間の行う経済活動故に有機質的な怪しげな不確実性が伴い、それが非常に複雑に見える一方で実は超単純な処方箋で解決したりする可能性も秘めている。その意味では、経済とは量子力学的な不確実性を伴う状態でもあり、日銀がお金を刷ってインフレターゲトを2、3%に設定してデフレを脱却するというシンプルな処方箋は、それが正しいか否かはあくまでも確率論的にしか議論できず、観測(政策の実効)により状態が確定する一方で、その観測行為が観測前の状態を乱すことになり、「間違っていたからやり直そう」と思っても、もう元には戻れない厳しさがある。それは一種の博打のようなものだから、正解がない中で直感的に答えを見切らなければならない。
ただ、ややこしい背景があることは確かでも、韓国や米国がウォン安、ドル安誘導の政策を取る一方で日本円だけが取り残され、一人だけ極端な円高に誘導されている現状が大きなハンディになっているのは間違いない。円安によるエネルギー資源の輸入コストの増加と、電化製品などの価格競争力の改善効果を天秤にかけ、そこに火力発電のウエイトが高い状態での電気料金の高騰も考慮した上での理想的な為替レートをはじき出し、そこまで(ないしはターゲットとするインフレ率が目標値に達するまで)は円の供給を増やして円安誘導を行うことは短期的には効果があるだろう。この結果、株価の上昇は十分に期待できるが、上昇した株価が消費拡大につながらなければ、実感の伴う景気回復にはつながらない。その意味では、お金持ちのマネーゲームで潤ったお金を強制的に消費に回すための方策として、資産課税すべきという藻谷浩介さんの提案には私は納得した。
多分、処方箋は一つではなく、金融政策、財政政策、税制などを中心にお金が回る仕組み作りというひとつの根本的な治療法と、それでも経済の血液であるお金が不足すれば輸血(公共事業など)で補うという対処療法の合わせ技が必要で、そのためには様々な有識者の知恵が必要なのだろう。ただ、悲しい話ではあるが、学者というものの性として、主義主張の類似性を探すよりも僅かな差分を探し出し、ことさらその差分を強調する傾向もTV番組内で見て取れた。この辺が、学者と実務家の違いかもしれない。その意味では、船頭多くして船山に登らないように、アイデアを出し合った後の最後の決断は、少数の見識ある人に託さざるを得ないようである。その意味で、政治家の背後にいるブレーンも、判断を行う上での大きな参考情報になるのだろう。
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このTVタックルでは、高橋洋一さんと藻谷浩介さんの直接対決ということで、素人にはその議論の勝敗は分り難いが、白熱した議論がこの問題の本質を炙りだしているような気がした。結論などはなかったが、少なくともデフレに特効薬はなく、最低でも3年以上の継続的な適切な処方箋に従った政策で国の舵取りをし続けないと、一時的に快方に向かっても直ぐにリセットされて振り出しに戻ってしまうということのように私は理解した。選挙後の新体制により急激な経済回復を期待していたので話を聞いていて少々がっかりしたが、本格的な景気回復効果が出始めるのは少し先であり、短期的にはあまり過度の期待はしない方が良いのかも知れない。ただ、それでも正しい処方箋を出せるか出せないかで道は大きく別れるから、各政党の言い分をよく聞いて、選挙での投票先を判断をしなければならない。
経済というものが完全に無機質なもので、自然界の物体がニュートン力学で規定される物理法則によって運動するかのごとく、何らかの理論上の数式に従い振舞うものならば難しくても研究の末にはいつかは正解にたどり着けるのであろうが、実際には人間の行う経済活動故に有機質的な怪しげな不確実性が伴い、それが非常に複雑に見える一方で実は超単純な処方箋で解決したりする可能性も秘めている。その意味では、経済とは量子力学的な不確実性を伴う状態でもあり、日銀がお金を刷ってインフレターゲトを2、3%に設定してデフレを脱却するというシンプルな処方箋は、それが正しいか否かはあくまでも確率論的にしか議論できず、観測(政策の実効)により状態が確定する一方で、その観測行為が観測前の状態を乱すことになり、「間違っていたからやり直そう」と思っても、もう元には戻れない厳しさがある。それは一種の博打のようなものだから、正解がない中で直感的に答えを見切らなければならない。
ただ、ややこしい背景があることは確かでも、韓国や米国がウォン安、ドル安誘導の政策を取る一方で日本円だけが取り残され、一人だけ極端な円高に誘導されている現状が大きなハンディになっているのは間違いない。円安によるエネルギー資源の輸入コストの増加と、電化製品などの価格競争力の改善効果を天秤にかけ、そこに火力発電のウエイトが高い状態での電気料金の高騰も考慮した上での理想的な為替レートをはじき出し、そこまで(ないしはターゲットとするインフレ率が目標値に達するまで)は円の供給を増やして円安誘導を行うことは短期的には効果があるだろう。この結果、株価の上昇は十分に期待できるが、上昇した株価が消費拡大につながらなければ、実感の伴う景気回復にはつながらない。その意味では、お金持ちのマネーゲームで潤ったお金を強制的に消費に回すための方策として、資産課税すべきという藻谷浩介さんの提案には私は納得した。
多分、処方箋は一つではなく、金融政策、財政政策、税制などを中心にお金が回る仕組み作りというひとつの根本的な治療法と、それでも経済の血液であるお金が不足すれば輸血(公共事業など)で補うという対処療法の合わせ技が必要で、そのためには様々な有識者の知恵が必要なのだろう。ただ、悲しい話ではあるが、学者というものの性として、主義主張の類似性を探すよりも僅かな差分を探し出し、ことさらその差分を強調する傾向もTV番組内で見て取れた。この辺が、学者と実務家の違いかもしれない。その意味では、船頭多くして船山に登らないように、アイデアを出し合った後の最後の決断は、少数の見識ある人に託さざるを得ないようである。その意味で、政治家の背後にいるブレーンも、判断を行う上での大きな参考情報になるのだろう。
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