けろっぴぃの日記

最近、政治のことをはじめとして目を覆いたくなるような現状が多々あります。小さな力ですが、意見を発信しようと思います。

消費税増税議論の通信簿

2012-06-26 23:59:49 | 政治
消費税増税法案の採決で、予想より若干多い人数が反対票を投じて民主党の崩壊が確定的となった。民主党内の最近の党内手続きを色々見ていると、「学級崩壊」状態そのものであり政党の体をなしていない。そこには、議論してお互いが納得できる着地点を探そうという努力は全くなく、単に罵声を浴びせ合うことに終始している。もちろん双方にはそれなりの言い分があるから、対立する両者を一方的にどちらが悪いというのも芸がないので、もう少し詳細に通信簿をつけることを考えるのも悪くない。

今日はその一例として、今回の消費税騒動について、論点毎に私なりに判定を下してみた。もちろん何らかのバイアスがかかっているのは否定しないので、あくまで私の目で見た感想である。

■マニュフェスト違反となる法案は許されるか?
賛成派→ギリシャ危機などをみれば分かる様に、選挙の時とは状況が変わっているのに、3年前の状況を引きずった判断をするのは誤り。
反対派→「マニフェスト」は契約書だから死んでも守らねばならない。

判定→間接民主制は決定プロセスの迅速化のためにあり、政治家は状況の変化を常に捉えて、臨機応変に対処するのが本分。ただし、契約違反をするのであるから、迅速な対処(法案成立)が済んだら可及的速やかに解散総選挙を行うことで責任を取る義務を負う。

■デフレ状況下での増税は許されるのか?
賛成派→今やらねば日本のギリシャ化が避けられないので今しかない。実際、増税が実施されるのは2年後だから、本当にまずければその時に止めることも出来る。
反対派→デフレ下での増税は日本経済を停滞させ、結果的に税収を下げるのでNG。

判定→タイミング的にはデフレ下での消費税増税は当然NG。ただし、日本国債が暴落し金利が高騰すると、その影響は税収の低下以上のインパクトがあるので、そのリスクは相当「安全側」のバイアスをかけて見積もる必要がある。「日本国債大丈夫論」は、発生確率の分布のピーク(ないしは期待値)としては正しいと思うが、国債暴落という確率分布の裾の確率を適切に評価しているかは不明。ヘッジファンドなどは、「本当は大丈夫か否か?」ではなく、マーケットが「ひょっとしたらヤバイかも知れない」と思えばそれで博打を打てる。不確定性があるならば、多くのアナリストの評価を総合し、その平均値ではなく悲観論者の評価にウエイトを置いて判断すべき。リスクマネージメントの視点から十分な対策が求められ、その対策もなしに「大丈夫!」というのは無責任。現時点では法案を通し、最終判断を直近に行うというのであれば、少なくとも増税が実施されるまでの期間のリスクは最小化される。まずは最終判断まで時間を稼いだと評価し、最終判断までにより精度の高い解析を進めるのが良いのでは・・・。

■増税の前にやるべきことがある(増税をするならその後)
賛成派→増税の前にやるべきことがあるのは事実だが、それをやらなければ増税してはいけないというのはおかしい。
反対派→まず身を切る努力を見せないと国民は納得しないから、その前の増税はNG。

判定→反対派の人々が執行部にあった(鳩山総理、小沢幹事長)時代に身を切る努力を実現できなかったのだから、今後、その努力が実行できるという保証は何処にもない。であれば、何時まで経っても増税が出来ないことになるが、現状は待ったなしである。であれば、身を切る努力と増税をパラレルに実現する努力が正攻法である。増税を逆に逆手に取り、(増税したのだからということで)身を切る努力を強制するアプローチの方が議論が前向きである。

■税と社会保障の一体改革を目指すべき(社会保障を切り離すのは良くない)
賛成派→今回は法案を8本セットで採決にかけており、その意味では一体改革である。
反対派→民主党のマニュフェストで掲げた最低保障年金や後期高齢者医療制度の廃止など、様々な項目を棚上げする内容であるから一体改革とは言えない。

判定→社会保障に関しては国民会議で1年間議論するとしており、棚上げとの指摘は正しい。社会保障に必要な財源だけを消費税増税でまかなうという前提に立てば、必要な額が決まらない段階での増税は筋が通らない。「一体改革」が「社会保障の充実」という「飴」と「消費税増税」という「ムチ」をバランスさせたパッケージを意味するのであれば、「ムチ」だけを先行させることは確かに問題である。一方、現在赤字国債を垂れ流しているのは社会保障だけが原因ではなく、それらを含めて消費税増税で補填するという考えに立てば、プライマリーバランスが大幅に赤字である現状では、増税は一概に悪いとは言い切れない。社会保障として「高福祉」ないしは「中福祉」を目指すなら、社会保障だけでも財源不足なのは明らかである。「見返りがなければ増税は許さん!」という考え方はそろそろ捨てるべき時であり、遅かれ早かれこの程度の増税幅は必要になると言うのであれば先行する増税を許容して、将来の社会保障の目指すべき姿についての国民のコンセンサスをまとめる努力をすべきではないか?

・・・あくまでも上っ面のコメントで恐縮だが、これらを総合すれば、少なくとも最後の一線を時の総理大臣が決断することが許される程度には、消費税増税にも大義はあるように思える。一方で、自分達が選んだ党代表(総理大臣)が政治生命をかけて臨むと宣言した政策を、気に入らないからと(棄権ではなく)反対票を投じることには(組織人として)大義を感じない。野田総理が会期末までに解散を決意しなければ話は別であるが、当面は野田総理に分があるのではないだろうか?

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