西洋音楽歳時記

旧称「A・Sカンタービレ」。07年には、1日1話を。その後は、敬愛する作曲家たちについて折に触れて書いていきます。

ワルトシュタイン伯爵

2008-01-11 11:19:25 | 音楽一般
ベートーヴェンが、ブロイニング家で知り合った人の中に一人の重要な人物がいた。フェルディナント・エルンスト・フォン・ワルトシュタイン伯爵(1762-1823)である。1787年頃、ケルン選帝侯が団長を務めるドイツ騎士団に入団するためにボンにやってきたのだった。
ドイツ騎士団とは、テンプル騎士団、ヨハネ騎士団とともに、十字軍運動に際し、聖地エルサレムに生まれた三大宗教騎士団のうちの一つで、後に東方殖民運動に活躍し、13世紀頃プロシア公国を建てた。17世紀になると、ブランデンブルク辺境伯領と合併し、ここに18世紀初頭のプロシア(プロイセン)王国の誕生を見る。
ワルトシュタイン伯爵は、非常に巧みなピアノの名手であり、青年ベートーヴェンの才能に注目することになる。そして、その腕を磨くためにウィーン留学を強く勧めるのだった。ウィーン留学が無ければ、ベートーヴェンのその後の音楽活動は無かっただろう。そのような意味で、ワルトシュタイン伯爵に出会ったことは、大きくいえば、ベートーヴェンの生涯を決める大きな出会いだった。
ウィーン留学から12年ほどたった頃、ベートーヴェンは「ピアノ・ソナタ ハ長調」を作曲した。これが「ワルトシュタイン」と献呈者の名前で呼ばれる21番のピアノ・ソナタである。10年以上前のワルトシュタイン伯爵の恩義に報いるために献呈したのだろう。

私は、この「ワルトシュタイン・ソナタ」の名を見ると思い出すことがあります。大学時代、どのようなことからか友人とある女子大に行った。歩いていると、このソナタの冒頭のピアノの連打が聞こえて来た。暫く聞きたい気持ちもあったが、そのまま友人とすぐその場を去った。なぜこんなことをいつまでも覚えているのだろうとも思いますが。



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