西洋音楽歳時記

旧称「A・Sカンタービレ」。07年には、1日1話を。その後は、敬愛する作曲家たちについて折に触れて書いていきます。

作品番号

2009-04-13 23:06:20 | ベートーヴェン
ベートーヴェンの作品を見ると、その前に作品番号が打たれている。
《田園》交響曲はOp.68とあり、ベートーヴェンの少年期の最初の作品「ドレスラーの行進曲による9つの変奏曲 ハ短調」はWoO63とある。また同じく少年期の作品である「ピアノ、フルート、ファゴットと管弦楽のためのロマンス ホ短調」にはHess13とある。これらは何を意味しているのだろう。

Op.(またはop.)はピリオドが付いていることからわかるように、opusの略語である。「(音楽の)作品」の意味である。ベートーヴェンは、1895年24歳のときに出版した「ピアノ三重奏曲集」に作品1(Op.1)の番号を付け、カール・リヒノフスキー侯爵に献呈した。このことからわかるように、Op.は、ベートーヴェン自身が世に問うべき作品として自分の意思で生前出版した作品に付けた番号なのである。
WoOはWerke ohne Opuszahlの頭文字を取ったものである。つまり「作品番号無しの作品」ということであり、G.キンスキーとH.ハルムが作品を整理した時にOp.の付いていない作品に付けたものである。
第3のHessは、ブライトコプフ・ウント・ヘルテル社のベートーヴェン作品全集に収められていない作品に対してW.ヘスが番号を付け、Hess番号と呼んでいる。ここに来てようやくベートーヴェンの全作品が明るみに出たと言ってよいだろう。

Op.番号は、1から138まである。それらの作品がベートーヴェンの「生前」「自分の意思で」出版したものであれば何も問題はないのであるが、実はこの中には、「生前」でなく「死後」に、また「自分の意思で」はなく、勝手に出版されたものもある。また驚くべきことに、他人の作品も含まれているのである(尤もベートーヴェンの作品を他人が編曲したということであるが)。
138の作品番号を見てみると、以前に記したように2曲セット、3曲セット、6曲セットのものまである。これらはいずれも同種の作品であるが、そうでない番号が2つだけある。
一つはOp.81で、aがピアノ・ソナタ第26番「告別」で、bが六重奏曲である。もう一つが、Op.121で、aが「ヴェンツェル・ミュラーの《プラハの姉妹》からのリート「私は仕立て屋カカドゥ」によるピアノ三重奏曲のための10の変奏曲」で、bが「《奉献歌》第1稿、第2稿」である。どうしてこのようなことが起こったのかを書いた文章にまだ接していない。

交響曲の9曲の番号は、順に21・36・55・60・67・68・92・93・125である。
弦楽四重奏曲16曲は、順に18(6曲)・59(3曲)・74・95・127・130・131・132・135となる。このほかに、Op.130の終楽章(所謂大フーガ)が独立して出版され、133の番号を与えられている。
ピアノ・ソナタ32曲は、順に2(3曲)・7・10(3曲)・13・14(2曲)・22・26・27(2曲)・28・31(3曲)・49(2曲)・53・54・57・78・79・81a・90・101・106・109・110・111となる。
以上作曲の3本柱を見たが、これらで138のうちの42を占めている。(但し、
81はbが残っている。)残り96(と81b)はどのようになっているのか。

4月12日 ピアノ三重奏曲第3番 ケンプ、シェリング、フルニエ
      ピアノ三重奏曲第4番 ケンプ、ライスター(クラリネット)、フルニエ

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